間取りと土地(2)

6月28日。2回目の打ち合わせです。

設計士のTさんのほうで、近所の造成地にプランを乗せてくれていました。前回出した要望も取り込まれ、間取りはかなりよくなっています。

でも、すでにこの造成地は興味を失っています (^^; あくまでも見積もりのための参考、として話を聴きましょう。

しばらく T さんの解説が続きました。建具1枚、コンセント1箇所まで数えて値段を出してあります。少し値引きもあって当初予定の値段に収まったので、これは納得。この金額を元に、6月30日に正式契約と言うことになりました。どうも、Hさんとしては6月中に契約したかったようです。(上半期のノルマとかあるのでしょうか? (^^; )


さて、ある程度話が終わった頃に、不動産屋 Mさん登場。僕としては、早く75坪の土地の詳細を知りたいところ。


…ところで、いま住んでいるアパートを探した時も、三井ホームで土地を案内された時も、その後別の不動産屋に行って見た時も…不動産屋って、なんであんなにいい加減なんだろう、と思っていました。こっちの要望をちゃんと聞いていないし、売りたい物件を見せたがるだけで…

しかし、Mさんは違いました。自己紹介に続いて、自分がどういう仕事をしているのか、と言う説明から入ります。不動産屋って、土地を紹介して手数料を取っているだけではないの?


Mさんの話は以下のようなものです。

まず、売り手は不動産屋に土地売却を依頼します。この不動産屋は、一定期間その不動産を独占的に扱う権利を得ます。ここで売買が成立したら、この不動産屋は売り手と買い手の両方から仲介手数料をもらいます。

しかし、1社の力では広く買い手を捜すことは難しく、買い手がつかないと売り手の損となります。そこで、不動産業界の協定で決められた期間を過ぎると、その情報を広く公開して他の不動産屋にも買い手を捜してもらうことになっています。売買が成立すれば売り手・買い手はそれぞれ仲介手数料を払うので、情報を他社に見せても損にはならない仕組みです。

買い手が見つかった場合、買い手側不動産屋は買い手の代理として、売り手側不動産屋は売り手の代理として、互いに値段交渉を行います。

購入の申請があってから、1週間が値段交渉の期限です。ここで話がまとまれば手付金1割を支払って契約となります。契約後ローンの申請を行い、1ヵ月後に支払いとなるわけですが、この期間にローンが組めなかった場合は、白紙撤回となって支払った手付金も戻ります。


この話のポイントは、不動産屋は仲介をするだけの存在ではなく、売り手・買い手を代表して値段などの売買条件を交渉するということ。でも、世の中には「とにかく売っちゃえば手数料もらえるから」と、買い手の権利を十分に守ろうとしない不動産屋も多いそうです。

Mさんはここで、自分は今回買い手側なので、ちゃんと値段交渉などを引き受けますと宣言。こんなにキッチリした不動産屋には初めて会いました。


つづいて、Mさんは入手した資料を広げます。時間が無かったので資料がまだ十分集まっていない、と詫びながら…

まず、不動産の位置の確認です。1つの土地でしたが、登記上は3つに分かれていました。そして、中央の土地には「上に高圧線を通す権利」(地役権)がつけられています。

地役権があるので、高圧電線に届くような高い建物を建てられません、と言われます。ただし、地役権が無くてもこの土地には風致地区の制限があるため、高い建物は建てられないそうです。


さて、3つの土地になっている、と言うことを前提に、3通の登記簿を見せられます。

登記簿を見れば、過去にこの土地がどのように使われてきたかがわかります。それによれば、この土地は最初は人が住んでいたのだけど畑にされ、その後遺産相続の税金として大蔵省に現物納入されています。

大蔵省は土地を持っていても仕方が無いので競売を行い、不動産屋がそれを買い付けています。今回の売主は、この不動産屋だそうです。

Mさんによれば、この土地は1ヶ月くらい前には周囲の相場と同程度の額で販売されていたそうです。しかし、売れなかったために大幅な値下げがされた。なぜかといえば、不動産屋でも不動産を買い付けるときには銀行で金を借りるからです。この金利は住宅ローンなどと違って結構高いので、売れるのが1ヶ月遅れれば結構な額の利子が発生してしまいます。


これが、土地の安い理由でした。別に変な土地だから安いのではなく、不動産屋の商売上の都合で安かったのです。

そんな理由ならぜひ欲しい、とMさんに言ったところ、不動産を売る場合には手順として買い手を現場に案内して、十分な説明をしなくてはならない、といわれます。

まだ十分な説明をするための資料を集めているところだし、ご両親と暮らすそうなので出来ればご両親も一緒に現場を見てください。その上で買うかどうかの意思を聞きます。それに、売れないで値段が下がった土地ですから、もう少し待てばさらに下がるでしょう。それから買っても遅くはありません。

Mさんからは他にも説明を受けましたが、特に問題と思うようなことはありませんでした。


両親に連絡を取り、7月2日に土地を見に来てもらうことにします。営業のHさんにもそう連絡しました。

ところが翌日…僕は仕事で出かけていたのですが、Hさんからメールで連絡が来ます。(自宅のサーバーに来ていたものを、仕事先で読みました)

Mさんのほうで売り手の不動産会社に土地の詳細を問い合わせたところ、すでに購入検討者がいるというのです。ただ、この人はまだローンの事前審査中で、その審査が終わってから契約することになっているそうです。

契約は早い者勝ちです。たとえ「契約の意思あり」であっても、契約していないのであれば出し抜ける可能性があります。無理でなければ、ご両親の来る予定を早められないでしょうか、とメールには書いてありました。


仕事が終わってから、両親に電話して「明日来てくれ」といいます。焦らしても仕方が無いので、土地が売れちゃいそうなことは伏せて、ただ僕の都合が明日のほうがよくなったから、と言っておきます。

その上でHさんに連絡。Mさんにも連絡してもらいます。


翌日、6月30日はHさんと予定していた正式契約の日です。両親にはちょっと待っていてもらって、まず契約に調印。後日手付金を振り込みます。


実はこの日は水曜日。水、木曜日は不動産業界の定休日です。HさんもMさんも休日出勤させて申し訳ない。

さて、調印が済んで問題の土地に向かいます。Mさんとはそこで落ち合う予定。運が悪いことに、少し雨模様です。

ついでなので、近くのスーパーに車を止めて、歩いて土地まで両親を案内します。スーパーに近いこと、バス通りも近いことなどを知って欲しかったためです。

現場には、すでにMさんがいました。「前の家の人に聞いたら、先ほどこの土地を見に来ていたお客さんがいたようです」

Mさん、売り手不動産の言う「買いたい人がいる」に半信半疑だったようです。これって、不動産業界で売り手が使う決まり文句ですから。でも、不動産屋が休みの日にわざわざ案内してくる人がいるということは、本当にこの土地が注目されているのでしょう。


先日の説明も含め、Mさんが改めて土地の説明をします。現場なので、高圧電線なども実際に見ることができます。

Hさんからは「この土地にあわせて、ラフですがプランをはめてみました」と間取り図を見せられます。それまでのプランでは土地の制約で出来なかったことが素直に取り入れられ、ずっと良い物になっていました。


Tさん頑張ったなぁ、と思う一方で、高くつかなきゃいいけど、という不安も頭をよぎる…

父に「この土地買おうと思っているんだけど、いいかな?」と聞いたところ、父もこの土地を気に入ったようでした。なんといっても、庭いじりの好きな父には、広い庭が魅力なようです。

土地を見ている間に、別の不動産屋がお客さんを連れてこちらを覗いていました。これはMさんの指摘で、全員が気づきます。うーん、本当にこの土地は人気があるのかも…

(ページ作成 2004-08-05)

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