メーカー決定

僕たち夫婦の間では、見積もりを取った段階でスウェーデンハウスに決定していました。

だってそうでしょう? 他のメーカーは「その予算では家が建たない」というのに、スウェーデンハウスのHさんだけが「何とかなるでしょう」と言ってくれたのですから。


その言葉が、注文ほしさの安請け合いではないかどうかも確認しました。大船の町を自転車で走り回り、教えてもらったあたりを見て回ったのです。

自転車で回ったのは、条件の一つに「大船駅から自転車で行きやすいこと」があったためです。Hさんの教えてくれたあたりは駅からそう遠くない上に平地ですが、古くから家が立ち並んでいたようで、いわゆる分譲地ではありませんでした。

分譲地でない場合、変形地が多くなります。道幅も狭くなります。北向きで日が当たらないような土地もあります。場合によっては、法律上家を建てることが出来ないような土地も見受けられます。(そういう場合も、申請を出して条件をクリアすれば家は建ちます)

そして、そうした問題のある土地と言うのは値段が安いのです。でも、僕らにとってはそんなことはあまり問題ではありません。北向きでも、断熱のしっかりした家なら寒くないし、十分な採光も出来ることを知っているからです。


教えられた土地だけでなく、大船近辺の自転車でいけるような範囲を縦横無尽に走り回ります。そして、コピーした大船の地図に情報を書き込みます。

ここは急坂なのでマイナスポイント。ここは車どおりが激しくて怖いのでマイナスポイント。ここは工場近くで土地が安いけど、行って見たら何の問題もなかったのでプラスポイント…などなど。

自分たちの住みたい街で、自分たちが住めそうな場所がだんだん浮かび上がってきます。闇雲に土地を探すのではなく、絞り込むための条件が出来上がっていきました。


ある程度「住めそうな場所」がわかってきたところで、両親に連絡を取って実家に行きます。

僕らがスウェーデンハウスを気に入っているからといって、両親がどう考えるかわかりません。やはり問題は、スウェーデンハウスが「日本風」の家の作りをしていないこと。

両親も歳ですから、普通の家が良いと言うのであれば三井ホームにすることも考えていました。また、頑丈な家がいいのであればへーベルハウスに、収納が多いのがいいというのならミサワに…と、一通りの答えとパンフレットを用意して望みます。


昼過ぎに実家に着き、一緒に昼ごはんを食べます。早く来たのは、出来ればこの後モデルハウス見学に行こうと思ったからですが、これは状況に応じて臨機応変に…

食事の後、家の計画について話し始めます。土地は大船にしようと思うこと。だいたいこのあたりなら(と地図を見せながら)何とかなるのではないかと言うこと。間取りなんかの希望があれば今のうちに聞いておくのでしばらく考えてみて欲しいことなど…

「それで、メーカなんだけど、僕としてはスウェーデンハウスって言うのが気に入っている。でも、他にもいろいろ資料持ってきたから…」と資料を出そうとすると、父から質問が出ます。

「スウェーデンハウスって、その会社はスウェーデンの会社なのか?」

ありゃぁ、やっぱり来たか。やっぱ日本の家がいいって言われるのかな…と思いながら「いや、スウェーデンと名前にはついているけど、日本の会社だよ」と答えます。

「じゃぁ、スウェーデンから輸入した木材で出来ているのか?」と聞かれ、「まぁ木材も輸入しているけど、もう現地で加工して窓とか壁とかになったのを輸入してる」と答えます。


すると、父から思いがけない言葉が。「俺はスウェーデンハウスがいいと思う

えぇっ!? まだ資料も見せていないのに!?


実は、うちの父は35年ほど前に海外旅行が解禁になった直後、仕事の視察でヨーロッパ旅行をしています。

パリやロンドンに行った、と言うのは聞いたことがあったのだけど、実はスウェーデンも行ったことがあるのだそうです。

その時に現地の会社の社長さんにホームパーティに招かれ、そのお宅で一泊したのだとか。外はすごく寒い国なのに家の中は非常に暖かく、その機能性にすっかりほれ込んでいたのだそうです。


その後帰国し、自分で家を建てる時にはスウェーデン風の家を建てられるところを探したそうです。でも、なにぶん30年以上も前にそんなメーカーはありません。結局建売の大きめの家を購入します。(僕は、この家で小学校低学年まで育ちました)

その後、オイルショック後の不況で会社が経営不振になった時に、家を売却して会社の経営を立て直します。その代わりにその後の僕ら一家は狭い借家住まい。バブル景気の時に家を買う計画もあったのですが、「この景気は何かおかしい」という父の勘で様子を見ているうちにバブル崩壊。家の計画も頓挫します。

その後はずっと借家に住み続け、僕が結婚・独立したのを機に、両親は父の会社の近くに狭い家を借りて移り住んでいました。これも、バブル後の不況で経営が苦しかったため通勤時間を減らすためだったのですが…ついにその会社も畳む決心をしました。

僕が「家を建てる」と両親に話したのはその頃で、しかも今回「スウェーデンハウスにしたい」と持ちかけたわけです。もう家を持つこともあきらめ、スウェーデン風の家など日本では無理だと考えていた父にとっては、一も二も無く賛成した、と言うわけ。


「スウェーデンの家は気密性が高くて、とても暖かいんだよ」

「寒い国なので、木材も目が詰まっていてとても丈夫だ」

「窓も2重サッシなので、外の寒さが全然こたえない」

「家具や絨毯などのデザインも簡素で、センスのよさを感じる」

などなど。昔泊めてもらった家のことを思い出しながら、父がスウェーデンの家のよさを語ります。

35年前のスウェーデンの家はどうか知りませんが、現在のスウェーデンハウスは3重サッシです。家具や絨毯のセンスは調度品の話なので家とは関係ありません。でも、それ以外はだいたいそのとおり。


あまりに入れ込んでいて怖いので、スウェーデンハウスにも欠点があることは伝えておきます。元々寒い国はあまり虫がいないので、窓の外に網戸をつけるという概念がありません。日本では工夫されて窓の内側に網戸をつけられる(オプション)ようになっていますが、これだと網戸に虫がついているときは、窓を閉めると虫を家の中に入れてしまうことになります。

また、窓は非常に良く出来ていますが、日本の窓とは違うので開け閉めに慣れが必要です。最初のうちは怖いと感じるかも。

でも、多少の欠点はかまわないからスウェーデンハウスがいい、と父は言います。せっかくなのでへーベルハウスの紹介などもしましたが、やっぱりスウェーデンハウスがいいそうです。


もう高齢の両親に、一気にいろいろな情報を入れても混乱するだけでしょう。モデルハウスめぐりは翌日にすることにしました。

スウェーデンハウスのHさんに、両親の実家付近でスウェーデンハウスの建っている展示場を聞いてありましたので、そこに向かいます。

まずは、目的であるスウェーデンハウスに。結構暑い日だったのですが、中は快適な気温に保たれていました。「ここは二世帯を想定して作ってあります」と営業のお姉さんの案内の元、中を見て回ります。

僕が見せたかったのは、まず和室。スウェーデン風の建築でも、和室に違和感はありません。窓枠が木で出来ているので、むしろアルミサッシのメーカーよりも和風な感じすらします。

「この畳は、ちょっと小さいねぇ。団地間サイズですか?」と父が営業の人に聞いています。僕はあまり1畳の感覚を持ち合わせていないので気づきませんでしたが、確かにそうかもしれません。


通常の家は、91cmを基準に家を作ります。この場合、1畳と言うのは182x91cmの面積のことです。しかし、スウェーデンハウスは120cmを基準に家を作ります。これだと、120*3/2=180 120*3/4=90cm が一番1畳に近いサイズになりますが、実際には壁の厚みなどもあるのでさらに畳のサイズは小さくなります。

スウェーデンハウスは基本的に「トップターンウィンドウ」という窓を使います。しかし、和室などではスライディングドア(和風の引き違い戸)を使うこともできます。

スライディングドアは日本風…とは言っても、気密性を高めるために随分変わったつくりになっています。まずは、両親にスライディングドアを開け閉めしてもらい、それほど違和感が無いことを確認します。


続いて、別の部屋にあったトップターンウィンドウを説明します。少し開けてからチャイルドロックを外せば、ぐるりと一回転。窓の外側を掃除するのも簡単です。

これはやはり慣れないようでしたが、多分しばらく暮らしていれば慣れるでしょう、との反応。怖そうだから嫌だとか、そういうことはないようです。安心しました。

他にもいろいろと見せてもらい、スウェーデンハウスは終了。


せっかくなので、へーベルハウスも覗きます。寒いほど冷房を利かしていましたが、3階建て+屋上の最上階まで登ると随分と蒸し暑くなっていました。ここらへん、やはり断熱性が悪いのでしょう。

へーベルハウスが強固であり、そのために自由な間取りが取れること。屋上庭園も作れるので、狭い土地でも庭を造れることを説明します。

さらにミサワ「蔵のある家」があったので説明します。ここの良さは、大容量の収納。事実上3階建てでも法律的には2階建てで、2階は高い位置にあるので採光性に優れます。

三井は…スウェーデンハウスの窓が嫌だといわれた時の代案だったので、あえて見せません (^^; あまり情報が多いのも混乱するだけなので。


ともあれ、3軒を見てモデルハウスめぐりは終了。

いろいろな作り方があるということを理解した上で、それでも父はスウェーデンハウスがいいと言いました。母もその意見に賛同します。


家に帰り、スウェーデンハウス営業のHさんに連絡を取ろう…とメールを書いている最中に、Hさんから連絡が来ました。

「ご両親とモデルハウスを見学にこられたそうですが、いかがでしたか?」

すごい情報網だ。実は、どこのモデルハウスを見学してもすぐに担当の営業から電話がかかってくるという、ある意味うざったいシステムもスウェーデンハウスの特徴。

このときは連絡しようと思っていた矢先だったので、電話はむしろありがたいです。両親も気にいったのでぜひ正式にお願いしたい、と伝えます。

「いま大丈夫ですか? すぐ行きます!」 と、30分後にはHさんが家まで来ていました。


スウェーデンハウスは、正式契約の前に土地調査の契約を結びます。地盤によっては家が建てられないこともあるためです。

土地はまだ持っていないが、見つかり次第地盤調査と言う約束での契約になりました。通常は調査料金10万円ですが、いまならキャンペーン価格で3万円。しかも、マスコットキャラクターである「ムース君」のぬいぐるみ、大中小の3点付き(笑)

契約を急いだのは、調査費が安いこともあるけど、実はこのぬいぐるみ目当てだったりして…結構かわいいんで、モデルハウスとかで見て気に入っていたんですよ (^^;


(ページ作成 2004-08-05)

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