IHについて
うちはオール電化にして、IHとエコキュートを使っています。理由は単純に「エコノミーだから」。別にエコロジーだとか思っていません。
利点も欠点もあるので、好きにすればいいと思うんですよ。でも、未だに十分に理解されていないのか、WEB上で間違った情報を良く見かけます。しかも、それが宗教論争のように、間違えた情報に立脚して論争になっている。
ここでは、少しでも正しい情報を知ってもらいたいので、使っているものの立場から情報を書かせてもらいます。
これが、現在購入を検討している人への「正しい導き」になればよいと思います。
最初はひどい内容だったのですが (^^; 自分でも整理しているうちに、怒りも収まってきて、なんとか見られる内容になったかな、というところ。
もしかしたら、ところどころで当初の「怒り」が残った記述があるかもしれません。ご容赦ください。
IHの使い勝手
まず、論争で良く取り上げられるいくつかの点について整理しておきましょう。
だいたい、この3つの点に立脚して「だからIHは駄目だ」と主張する人が多いようです。
というわけで、ひとつづつ論理的に崩させてもらいます。
IHは火力が弱い?
イメージで話をしている人が居ます。電気コンロなんて火力が弱いに決まっている、と。
これはもう論外ね。電熱線ヒーターは確かに火力が弱いですが、IHはそもそもの発熱方式が違うので、同じ話だと考えているのが大間違い。
多少良心的な人は、卓上型のIHヒーターを購入して使ってみて、火力が弱い、と断じているようです。
ただ、その論点は、卓上型のカセットコンロは火力が弱いからガスなんて駄目だ、というのと一緒です。ブタンガス、都市ガス、プロパンガスを一緒にして論じたらおかしなことになるように、100V の卓上型IHと、200V の据え置きIHコンロを一緒にしてはいけません。
と、ここで公平を期すために、実際の「火力」を調査しておきましょう。
一般的なガスコンロは、1口 3600kcal/h 程度の熱量です。最近では、炎を内側に向け、鍋の底だけを集中して暖めることで効率を上げたタイプ(内炎式)もありますが、これだと 4000kcal/h 程度出ます。これに対し、カセットガスコンロは 2500kcal/h 程度です。
IHの場合、普及初期は 2.0kW でしたが、普及期からは 3.0kW 以上のものが一般的になっています。卓上型は 1.2kW 程度。
…はい、単位が違うので比べようが無いですね。でも大丈夫。1W=0.86kcal/h という変換式があります。これで変換すると、IHコンロは 1.2kW = 1032kcal/h 、2.0kW = 1720kcal/h 、3.0kW = 2580kcal/h 、となります。
「なんだ、やっぱガスのほうが強いじゃん」と考えるのは早合点。このエネルギーのどれだけを、目的となる仕事(=鍋を熱すること)に変えられるか、という熱効率というものがあります。つまり、「無駄な光」や「無駄に室温を上げる」ことが少ないほうが、熱効率がよいのです。
IHの場合、熱効率はおよそ 90% 。ガスの場合、 40% ですが、内炎式では 56% 程度まで上がるそうです。この係数をかけて、それぞれのコンロの「火力」を比較すると次の表のようになります。
| ガス | IH | |||
|---|---|---|---|---|
| スペック | 実効熱量 | スペック | 実効熱量 | |
| 卓上型 | 2500kcal/h | 1000kcal/h | 1.2kW | 928kcal/h |
| 据え置き | 3600kcal/h(通常) | 1140kcal/h | 2.0kW | 1548kcal/h |
| 4000kcal/h(内炎式) | 2240kcal/h | 3.0kW | 2322kcal/h | |
「ハイパワー」なガスなら、「ローパワー」なIHに勝っています。卓上型でも、火力が弱いといわれるガスよりも、さらにIHのほうが弱いくらい。でも、「通常の」ガスコンロは「現在普及型の」IHに勝てない。
実際、ガス会社は比較の際に、好んで「最新型の」ガスコンロ(4000kcal/h=4.65kW)と、「旧型の」IH(2.0kW)で比較したがります。これだと「お湯を沸かしても同じか、ガスのほうが早いくらいの時間」になりますが、比較がフェアでないので注意しましょう。
ただね、IHを使った経験から言うと、3.0kW は湯沸しにしか使いません。火力が強すぎて、煮物では吹きこぼれるし、フライパンなどに使ったら熱で変形します。(変形させた経験済み)
通常使うのは 2.0kW で十分で、これでも特にハイパワーでないガスコンロよりも火力が強いのです。
ついでに書いておきましょう。ガス会社は「IHは3口、または4口同時に使用できない」ことを言いますが、確かにフルパワーでの使用は出来ません。過電流を防止するため、どこかのパワーがセーブされるか、使用できなくなります。
ただ、ガスだって全部をフルパワーで使用しようとすると、「元栓の太さ」が制限となって、全体の火力が落ちます。コンロのカタログなどを読んで、1口づつの最強火力の数値の合計と、全体を最強でつけた場合の数値を比較してみればわかります。
もうひとつ、料理文化の違いを理解しないで比較して「IHは弱い」と断じる人がいます。
これについては、勉強してください、としか言いようがありません。世の中、料理は中華料理だけではございません。フランス料理の「ストーブ」のように作られたIHで、中華料理の「ガスコンロでの」技法を使おうとすれば、うまく行かないのは当たり前でしょうね。
でも、それは中華料理が作れないということではない。中華料理の鉄人こと、陳健一さんもIHのほうが便利だと、お店でも全面的に採用しているのですから。
悪いのはガスとかIHとかいう「道具」ではなく、使う人の腕なのです。
IHはエコロジーではない
そうですね。僕はエコロジーかどうかはともかく、エコノミーで選んで買いました。
エコロジー、という言葉は曖昧で、人によって考えが異なるため、宗教論争のようになりがちです。そのため、まずは比較を可能とするための定義から入らなくてはならないのですが、これに関しては長くなるため、別ページにまとめました。
IHそのものがどうか、という話を離れた波及効果としては、IHは周囲の熱を上げにくい、ということがあると思います。
先に書いたように、ガスの仕事効率は 40% 程度。一部機種でしか採用されていない内炎式でも 56% です。余分のエネルギーは、一部は光に変わりますが、ほとんどが「部屋の空気を温める」ことに使われます。
夏場の台所が暑い、というのは誰しも経験したことがあるでしょう。最近流行の対面式キッチンだったりすると、ダイニングとキッチンの間に壁が無いため、ダイニングの室温まで上がることになります。
これをクーラーで冷やす、ということを考えると、無駄なエネルギーを使用することになります。
IHの電磁波は人間に害がある
まず、「IHの」かどうかはともかく、電磁波に害があるのかどうかが問題です。
電磁波で小児ガン・小児白血病が引き起こされる、という噂は有名です。IHが人間にとって害がある、と考える人も、多くはこの噂を信じてのことでしょう。
実際、国際がん研究機関(IARC)は、家電品からでる電磁波のうち「磁界」(磁力波)にガンを引き起こす疑いがある、と発表しています。また、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)は電磁波の強度を制限しており、IHからはこの強度にちかい電磁波が出ている、という測定結果もあります。
そもそも、ICNIRP のガイドライン自体が危険で、そのガイドの強度では小児ガンを引き起こすとされる強度を遥かに上回ってしまう、という主張もよくみかけます。
…が、安全です。少なくとも現在のところ、IHの電磁波に害は無いと考えられています。
ICNIRP のガイドラインは、小児ガン・小児白血病の噂も含め、十分に正しい調査が行われたうえで定められていますし、IARC の「ガンを引き起こす疑い」も、今のところ気にする必要はありません。
そういわれても安心できない、という方は、別ページに詳細をまとめましたのでお読みください。
白血病の疑い、という噂は何なのか? IARC も「疑いがある」としているのに、なぜ安全だといえるのか? ICNIRP のガイドラインは、なぜ妥当性があるといえるのか? …などなど。電磁波の害についての科学的調査の歴史と、現状認識をまとめてあります。
というわけで、納得していない人は詳細を読んで納得してから先に進んでください。
詳細ページは「電磁波の害」について一般論を書いたものでしたが、以下はIHに限定して話をします。
まず、IHクッキングヒーターからは、2種類の周波数の電磁波が出ています。電源に使用されている50~60Hzの「極低周波」と、加熱に使用される 20kHzの超長波、オールメタル対応機種では 60~90kHzの長波も使用しています。
各社の「よくある疑問」などのコーナーから、IHの電磁波に対する説明を読んでみましょう。
ナショナルは「心配ない」というだけで、IHから出る電磁波の強さについて、説明していません。
日立の説明によれば、電源部分からは、5μT以下の磁界が、加熱部分からは 2μT以下の磁界が発生しているそうです。測定条件が書かれていないのだけど、IEC62233 (ICNIRP のガイドラインを適用する場合の測定方法規格)に従っているのかな?
東芝の説明も日立と似たようなもの。電源部で 5μT以下、加熱部分で 1μT以下、と多少値が変わっています。
財団法人家電製品協会が、平成19年(2007年)にIEC62233に従った方法で実際の測定を行っています。結果は最後のほうにグラフの形で載っており、ICNIRPの基準に対して、どの程度の強さだったか、で示されています(複数の周波数を同時に計測しているため、個々の磁界の強さは示されません)。しかし、ICNIRPガイドラインよりはずっと低い(1割以下の値しか出ていない)ことがわかります。
個人の方で、自宅のIHを計測した結果を公表している方が居ます。これは IEC62233に従った計測方法ではありませんが、距離による「実測値」がわかるため、興味深いものです。
これによれば、IHコンロの前に張り付いた状態でも 27.4mG (=2.74μT)です。IEC62233では、IHの場合「30cm離れて」計測することになっていますから、これだと 1.51mG (=0.15μT)です。(実際のIEC62233では、IHの周囲4方向で、30cm離した場所で、上下方向に移動した箇所でも計測し、最大値を採用します。)
これは「極低周波」はカットして、「超長波」だけで計測した値…つまり、加熱周波数だけを計測した値ですね。(写真のモードダイアルの位置でわかります)
いずれにせよ、ICNIRP の定める、加熱周波数での6.25μTよりは、低い周波数しかでていないようです。
同じく実測した値を公開している別のページもありますが…IHのトッププレートに乗せてしまう、というのは計測方法が明らかにおかしいですし、30cm離した時の計測方法でも、値が変です。
おそらく、これは極低周波用の電磁波計測器を使って、超長波を計測してしまっています。超長波のほうが周波数が高く、エネルギーも高いために、このような使い方をすると計測器が異常な値を表示してしまうのです。道具は正しく使いましょう、としか言いようがありません。他にもこのようなページが多数ありますが、冷静に見分ける必要があります。
さて、ここまで書いたところで、「ガイドラインに準じている」ことしかわかっていません。懐疑派の人は「ガン発生リスクはどうなんだ」ということが気になるでしょう。
疫学的な研究によれば、50~60Hz で、4mG 以上の磁界に「恒常的に」さらされている子供は、小児白血病の発症リスクが2倍程度に高まることになっています。
ただし、これは現在では否定される傾向にあります。IARCは「念のために」疑いがあるとリスク評価していますが、IARCの立場では完全に否定できる証拠がそろうまでは、リスクがあると考えるしかないためです。
また、50~60Hz の周波数以外では「研究はされていません」。つまり、リスクが有るか無いか、まったくわかりません。
懐疑派の人たちによれば、IHの加熱周波数は50~60Hz の周波数よりもエネルギーが高いので、害は「あるに決まっている」ようです。しかし、周波数が高ければ害がある、という主張では、もっと周波数の高い可視光線などは危険きわまりないことになってしまいます。根拠の無い推定はおこなわず、科学的に議論しなくてはなりません。
ちょっと話が脱線します。
第二次世界大戦後、まだ台所で薪を使うのが当たり前だった時代、GHQは「女性の地位を向上させる」施策の一環として、ガスコンロを普及させようとしました。
薪の火は火力調節が難しく、近くで見守らないといけない上、煤なども出るために視力を落とす女性が多かったためです。
しかし、これに対して世の多くの男性が反対しました。「昔からの日本の伝統を守れ」「薪の強い火力でたかないと、米飯はうまく炊けない」などの主張に混ざって、「ガスは人間に害がある」というのも広く信じられた説でした。
実際、ガスは爆発しますし、不完全燃焼で一酸化炭素を発生させることもあります。ガス火を燃やしている部屋にネズミを入れると、やがて二酸化炭素が充満して死んでしまう、というような実験も、害があることの証拠にされたようです。
しかし、不完全燃焼は薪でも起こりえますし、二酸化炭素は薪でも出ます。結局、ガスが普及して薪を駆逐したのは多くの人がご存知の通り。
僕としては、IHの電磁波を問題にするのは、これと同じ問題だと思います。出始めだから、いたずらに不安を煽る人もいるでしょうが、普及してしまえば別に怖いものではない、という結果に終わると思います。実際、揚げ物をする時など、IHのほうが遥かに安全だと感じています。
(過信するのは禁物で、IHだから大丈夫、と揚げ物中にコンロをつけっぱなしにして離れてしまい火災になったような事例もあります。IHのほうが安全ではあるが、絶対大丈夫ではないという、当然の話)
そのほか
ネットで良く見かける主な主張は上の3つなのですが、他にも細かな「疑問」や「質問」などもあるようなので…
IHで料理すると、臭いが部屋に充満する
あぁ、ガス会社のキッチン比較で説明されたのですね。そうでしょうとも、ガスキッチンと同じ設備でIHを使うと、換気扇が効果を発揮できず、臭いが部屋に充満します。
ガスの場合、周囲の空気を温めるため上昇気流が生まれ、上にある換気扇に向かってにおいも一直線に進みます。これに対し、IHでは上昇気流が弱いため、「ガス用の換気扇」までは届きにくいのです。
だから、IHを利用する際はIH用の換気扇を使用してください。IH用の換気扇は、換気扇の下のほうから空気を送り、上昇気流の流れをサポートします。これらの換気扇は、「屋外から取り入れた空気で巻き込んで、屋外に空気を排出する」構造なので、冷暖房で整えられた部屋の空気も無駄にしません。
…新築の場合ならともかく、コンロだけ変えたい場合にはリフォームが必要になってしまいますね。ガス線しか来ていないところに200V の電源を持ってこないと、IHへの交換は出来ないので、どちらにせよ工事は必要なのですが。
トッププレートが熱くなるので危険
これもガス会社の影響か、良く言われているようです。使用後は 300度にもなることがあるのだとか。「だから、IHを使う人は使用後に濡れ布巾を掛ける癖が付く」のだとか。
使っている人間として言わせて貰えば、まず使用後にトッププレートを触りたくなるような状況、というのが理解しがたいです。料理をした直後であれば、料理の入った鍋がそこに置かれているわけですし、せいぜい配膳後の「空っぽの鍋」があるでしょう。
…はいはい。世の中僕みたいにずぼらな人間ばかりでなく、空っぽの鍋はすぐに流しへ、という人も居るのでしょうね(僕は、熱い鍋をいきなり流しに入れるのが嫌で、コンロの上で荒熱を冷まします。場合によっては、汚れを落ちやすくするために水を少し入れるので、さらに速く冷めます)。
僕も、コンロの掃除がしたくて、あえて熱いうちに鍋を退かす事はあります。飛び跳ねた油などが熱いうちのほうが、掃除しやすいからです。この場合、たしかに濡れた布巾でコンロを拭きますね。蒸して汚れを落ちやすくしようと、掛けておく人もいるでしょう。でも、熱いのが怖いから掛けておく、ということは聞いたことないです。
IHは鍋を温めることしかできないので、300度になるとしたら、鍋の中身も300度です。煮物なら水が入っているから、100度以上にはなりません。テフロン加工のフライパン用の、ナイロン製ターナー(耐熱温度220度)が溶けたことはありませんので、炒め物でもこんな温度にならないでしょう。
揚げ物油は温度調節機能がついているので、普通なら 180度程度になっていると思いますが、あえて揚げ物機能を使わずに油を温め「うっかり火事になりかけた」状態(サラダ油の自然発火温度は360度)なら、300度くらい行っているかも知れません。でも、それを通常の「使用後」っていうのはどうなのよ?
IHは鍋が振動するのがいや
これはそのとおり。嫌、といわれてしまえば、はいそうですか…というだけです。
鍋の柄を強く握れば、かすかな振動が伝わってきます。とはいえ、気づかない人は気づかない、というレベル。「振動するらしい」と前知識を持って触ればわかるかな、というくらいです。
鍋が軽ければ動きやすいので、中身が入っていない余熱中の卵焼き器、などは結構振動がわかります。オールメタル対応でアルミ鍋を使ったりするとはっきりわかるそうですが、うちのIHは鉄鍋しか使えないので未確認です。
IHで使える鍋は限られるの?
こちらもその通り。オールメタル対応の機器もありますが、効率が落ちます。IH用に鍋を買い換えるくらいのつもりで居たほうが良いでしょう。
IHで「使える」ことと、「使い勝手が良い」ことも違います。あわてて鍋を買い換えるからと言って、安物を選ぶと良くないです。安物は薄いアルミ鍋に薄い鉄板をくっつけてあるだけだったりするため、軽くて鍋が振動する、加熱ムラがでる、などの弊害があります。
鉄板をつけたアルミ鍋でもよいのですが、十分に厚手のものを選びましょう。
IHは微妙な火加減ができないのでは?
ガスは無段階に調整可能ですが、IHは6~9段階程度の製品が多いですからね。メーカーによっては12段階、30段階なんてのもありますが。
ただ、自分で料理する人はしばらく自分の行動を気にしながら行動してみて欲しいのですが、料理をする時に「強火」「中火」「弱火」「とろ火」の4段階程度にしか、火力を考えていないと思います。料理のレシピ本なんかにも、その程度の指定しかないし。
ガスよりもIHのほうが火力調節の幅は広く、ガスで一番小さな火(とろ火)よりも小さな火力から、ガスよりも強い火力、湯沸し専用の最強火力まであります。ガスと同等の部分を4~5段階に分けたとして、全体が6~9段階になる、というのは妥当な線かと思います。
IHだって火事が起こると聞いた
そりゃ、起こります。加熱器ですから。
火がないから火事にならない、と考えている人もいますが、そんなことはないです。火がなくても、油を360~380度程度に熱すれば自然発火します。
IHではこれを防ぐための温度センサーが付いていますが、鍋の下に「米粒」などが挟まっていた場合、鍋が空中に浮いているために温度検知が出来ない場合があります。(浮いてはいても、電磁波の到達範囲なので加熱はする)
こんな場合に、加熱しすぎて火災、ということになります。…が、実際米粒なんか挟まっていたら、ガタガタするので気づきます。まぁ、現実に火災は起きているので、気づかない人もいるのだろうけど。
一方ガスの場合はといえば、こちらも最近では温度センサーが付いています。そして、こちらもセンサーに焦げ付きなどあると温度検知が出来ない、というのは同様。昔は「センサー付なのに火事。過信は禁物」というような見出しが新聞に躍ったものですが、最近はIHの火事のほうが話題性が高いので書かれないだけです。(いや、改良されたのかも知れないけど)
ところで、天ぷら油の自然発火、以外の火事に目を向けると、やはりガスのほうが火事の話は多いです。衣服に燃え移ったりとかね。フリースの部屋着が出始めた頃は表面フラッシュ燃焼等が問題になり、これも新聞に良く書かれたのですが…そもそも、これがIHが出始めの頃とかぶったので、「IHは火災にならない」神話が生まれたのだと思いました。
結局、程度問題です。道具は正しく使いましょう。
子供が本物の火を知らない状態にしたくない
ガスコンロの火なんかで本物の火を語るなっ!
…とつい興奮してしまうのは、僕の趣味がキャンプだから。本物の火を語るのであれば、親自身がマッチ一本で焚き火を起こせるようになってから言いましょうよ。
本物を知らない状態にしたくない、という意見には全面的に賛成です。年に1回でいいですから、本物の火(焚き火でもキャンプファイアーでも)を経験できるようにしてあげてください。
コンロの火なんかと違って、近づけば暖かいこと、危険なこと、火を維持することが難しいこと…親が語って聞かせることも多いことと思います。
そんな手間はかけられないけど、火を全く知らない子にはしたくない、というのであれば、ガスコンロは次善の策かも知れません。こんな「完全調整された火」は本物ではないけど、知らないよりずっといい。でも、それが最善だとは思わず、数年に一度くらい親子で焚き火を囲めることがあるといいですね。
IHの利点
IHの利点については、電気会社が嫌というほど宣伝しています。なのでここで書くまでもないのですが、やはり自分が使っていて便利に感じた点などを、さっとまとめて起きます。
揚げ物が楽
これについてはいくつかの要因があります。
まず、油温の設定をすると、自動でその温度に温めてくれること。しかし、実のところ最近のガスコンロには同じ機能が付いていることが多いので、これはIHだけの利点ではないでしょう。
出来るだけ設定温度を維持しようとしてくれるため、冷凍された食材を大量に入れても上手に揚がる、というのも使いやすい点です。これはIHの高火力が関係しているように思えますが…ガスコンロの場合どうなのかは、使ったこと無いので不明。
一番便利だと思うのが、「新聞紙でふたをしておける」こと。油の跳ねがないため、後の手入れが非常に楽です。「別に新聞紙でなくてもよいのでは?」と考えて、揚げ物鍋のサイズに丁度だったガラス蓋を使ったことがあるのですが、食材から蒸発した水分が蓋で水滴となり、油に落ちてひどいことになりました。
新聞紙なら、油も水分も適度に吸収してくれます。ガス火だと新聞紙に引火してしまうのでこんなことはできません。
手入れが楽
トッププレートに凹凸が無く、さっと拭くだけで後片付けが終わるので、非常に楽です。まだ熱いうちに拭き掃除をすれば、油も落ちやすいです。
以前にガスコンロを使っていた時は、五徳に汚れが焼きつくと落とすのに苦労したのですが、IHでは余り苦労がありません。
焼きつかない、ということではないです。IHでもトッププレートに焦げが焼きついたりはします。ただ、落とすための労力がそれほど要らない、というだけです。
湯沸しが速い
先に書いたように、3.0kW の火力を最大に活かせる時って、湯沸しくらいしかありません。でも、その湯沸しが速いことが結構便利です。
自分はキャンプの時は「湯沸しは料理の基本」といって、まずお湯を沸かすのですが…これは、薪の火は火おこしが大変な上、お湯もなかなか沸かないため。まず火をおこしてから、お湯を沸かす間に次の準備をするんです。
それをガスコンロと一緒にするわけじゃないですが、ガスコンロではお湯を沸かすのに「少し待たされる」感がありました。だから、お湯は電気湯沸しポットで沸かして保温しておく、という人も多いのではないでしょうか。
ところが、IHではすぐに沸く。だから、電気保温ポットで沸かして保温しておく必要もない。我が家では、電気湯沸しポットは処分しました。普通の魔法瓶に沸かしたお湯を溜めておいたりはしますが。(熱湯が欲しい時には沸かしなおしが必要ですが、低温のお湯から沸かせばさらに速いです。)
最近「お湯がすぐ沸く」と人気のT-FALの電気ケトルが1.45kWのIHを利用している、といえば、IHの3.0kWでお湯を沸かすことの速さが理解していただけるでしょうか?
あと、これは我が家の事情ですが、僕は自宅で仕事をしていて、キッチンは1階、仕事場は2階にあります。普通の魔法瓶にしたら、2階でコーヒーなどを飲みやすくなった、という利点もあります。
IHの欠点
ガスコンロではない
IHはガスコンロではない、という当たり前のことは、結構大きな欠点です。とにかく、今まで体で覚えていたことを全部学びなおす必要があります。
火が見えないで火力が数値表示であること、鍋底しか温まらず側面は熱を持たないこと、鍋を持ち上げると加熱が止まること…料理を作っていて、今まで当たり前だと思っていたことが全然通用しない、というのはかなり戸惑います。
今回、この記事を書くにあたり、各国料理の火の使い方の違いなどをまとめましたが、これもIHを使い始めてから、料理の動作の意味を一つ一つ考えるようになったから知ったことです。いや、ガスコンロを使っていたら考えずにすんだことを、IHだと考えないと使えなかった、と言ってもよいかもしれません。結局は、IHはそういう面倒くささを持っています。
僕はこのページで「IHに対する誤解」を解こうとしていますが、こんなページを作らないと「誤解」されたままになってしまう、というのはIHが使いにくいことの証拠でしょう。ちゃんと勉強して使いこなせばガスより便利だと思っていますが、勉強しないと使えないような道具なら、勉強しないでも使えるガスでいい、という選択だって十分理にかなっています。
よく、老人には危険の少ないIHを、という言い方がされているのですが、お年を召された方こそ今までの経験が長いので、今から全てを捨てて学びなおすのは大変なのではないかと思います。
危険が少ないというメリットを活かすとしたら、老人向けよりも、これから料理を覚える子供向けではないでしょうか?
次のページへ続きます。つづいては、エコキュートとオール電化全般の話題です。
(ページ作成 2009-03-19)(最終更新 2009-04-17)
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