建築許可申請
第4回の打ち合わせのあと、営業のHさんより電話がありました。
スケジュールを前倒しにするなら、すぐに建築許可申請を出さないといけないそうです。
そのためにも、10月頭までにやらなくてはいけないことがあるので、ちょっと時間をいただきたい…という内容でした。
家を建てるには建築確認申請が必要です。通常は、土地に対しての家の面積(建蔽率、容積率)が基準に収まっているか、どの部屋も十分に光が入るか、その地域の特別な基準に沿っているか、などが書類上で審査されます。
この審査は、行政のほうでも行っていますが、民間にも委託しています。
この「民間委託」がミソで、行政と民間では判断が微妙に異なる場合もあったりします。
今回、土地が変形地で設計に影響が出ているため、いくつかの審査機関に相談していて、一番判断が甘いところで通そうという作戦 (^^;
今回、土地がいわゆる「ウナギの寝床」で土地境界から壁・窓が近いのですが、土地境界と窓が近い場合はそれだけで「採光性がわるい」とみなされます。実際は、隣は田んぼで非常に光が入るわけですが…
特にキッチンの採光性が悪いとみなされているため、そのままではキッチンカウンターの一部を切って、リビングからの光が入るようにしなくてはなりません。
そんなことをしても使いにくくなるだけなので、ここはなんとか通してしまいたいところ。
さて、一番の問題は、買った土地が「43条第1項但し書き道路」にしか面していないということです。
建築基準法では、4m以上の道路に土地が2m以上の幅で接続していなければ、家を建てられないことになっています。
これは、消防車などの緊急車両が入れないところに家を建てるのは危険だからです。
ただし、東京の下町のように建築基準法の制定前から家が立ち並んでいて、道路幅が4m以下しかないような場所では、「42条2項道路」という指定をして条件付で家を建てられるようにしています。
条件とは、将来的にその道路が4m幅になるように、自分の土地を提供(セットバック)することです。
構造物を建てられないだけで自分の土地ですから、花を植えようがベンチをおこうがかまいません。また、セットバックした部分については申請すれば不動産税がかからないそうです。
4m幅を持つ「道路」ではなく、42条2項に指定された道路でもなく、それでも事実上道路として機能している場合は、「43条第1項但し書き道路」と呼ばれます。これが、購入した土地の状態。
ここに家を建てる場合、道幅が狭ければセットバックするのはもちろんですが、建築には行政の「許可」が必要となります。これは、建築確認申請とは別のもので、建築許可申請といいます。
許可の基準は自治体によって異なりますし、判断基準は明らかではありません。しかし、法律の意味から考えれば、緊急車両などが入る場合に問題がないこと、というのは一つの条件ではあるでしょう。
実は、土地を売ってくれた不動産屋さんは、この土地に建売の物件を立てて販売する予定で、建築許可申請をすでに通してありました。
普通なら土地を売るときにはその上に立てる予定だった物件の許可申請は取り下げます。すでに建築許可申請が出ていると、別の建物を建てられないためです。
しかし、あえて取り下げないままにしておいてもらいました。
以前の申請の取り下げと、新しい申請を同時提出するためです。これで、「すでに実地調査は終わっている」ことが明確になるので、手続きが簡略化されます。
ただし、それでもまだ完全ではないのです。手続きを迅速に進めるためには、もう一つ手を打たないと…それが、冒頭に書いたHさんの電話の意図でした。
近隣挨拶
家の目の前の道は、図面上は幅1.8mしかない細い道です。
これだと、セットバックが不可欠。しかし、すでに提出されている建築許可申請ではセットバックしていません。これはなぜか?
実は、図面上は幅1.8mの道路ですが、実測では4m以上あるのです。これは、隣家の私有地が事実上の道路になっているためです。
土地を売ってくれた不動産屋さんが、隣家の方に許可を得て「事実上の4m道路として使わせてもらう」ことになっていました。しかし、それはあくまでも不動産屋さんに許可した、という書面です。
この書面を新しくして、僕の名前にしないとセットバックが必要だということになってしまいます。そうなると、建築許可申請の内容も変わってきてしまうため、実地調査が必要になる可能性が出てくるのです。
10月1日午前11時、購入した土地に集合です。
図面上は1.8mですが、事実上は一番細いところでも2mあります。しかし、途中で曲がっているところもあり、「車を入れることは無理ではないが、無茶である」とわかりました。
これは余談ではありますが、家を購入したら車も買い換えないとな…という課題でもあります。
SWHからは、営業のHさんと設計のTさんが来てくれました。Tさんのほうで、手土産まで用意してくれています。
…隣家の方は留守でした。連絡先がわからず、アポイントは取っていなかったそうです。
仕方がないので、待ちます。待っている間に、設計の打ち合わせをします。
コンセントの高さ、腰高(80cmくらい)にしようと思っていたんですが、部分的に60cmのほうが良いと思う場所があるので、位置指定して変更。
電気関係の話になったついでに、前回会議で照明が決定したので、Tさんのほうで割り振ったスイッチの位置関係の確認あり。
ところで、土地をみると随分と雑草が伸びています。前回会議で「雑草が伸びている」ことが少し話題になったのですが、これほどとは思っていませんでした。
Tさんのほうで、業者に雑草処理の見積もりを取ってくれていました。それによれば、処理費用は23万円。これはちょっと…いくらなんでも高すぎです。
雑草以外にも建築前に撤去しないといけない杭なども含めてその値段でお願いできないか、Tさんのほうで交渉してくれるそうです。
また、「シルバーセンターとかにお願いできると良いのですが」というアドバイス。では、それは僕のほうで検討してみます。
30分くらいたちましたが、隣家の方は帰ってきません。
「老夫婦だし、ふだんはいらっしゃると聞いていたのですが…」とHさん。
ところで、うちの土地から雑草が張り出していて、隣の水田の持ち主から苦情が来ているそうです。(これは、隣家の方とは別の方)
せっかくなので、挨拶がてら水田の持ち主に謝ることにしました。
…水田の持ち主の方もご不在。ただ、おばぁさまがいらっしゃったので「裏の土地を買って、家を建てますのでよろしくお願いします」と挨拶だけしておきました。正式な挨拶はまた後日。
12時になりました。老夫婦だし、午前中病院の日があるらしいのですが、多分そういう方は昼ごはんは家で食べるでしょう。あと30分ほど待つことにします。
…12時半になっても帰ってきません。一度仕切りなおすことにして、近所のファミレスへ食事に出かけます。
ファミレスで食事を済ませ(Hさん、ご馳走様でした)、戻ってくると隣家の方の車がありました。どうやら戻ってきているようです。
家の前まで行くと、奥様が家庭菜園の手入れをしていました。
「実は隣の土地に家を建てることになりまして…」と挨拶します。
家に入り、ご主人も出てきて玄関で立ち話。来年頭くらいから工事に入ること、ついては土地の前の道路を使わせて欲しいこと、資材の搬入などで1本しかない道が混雑して、ご迷惑をかけるかもしれないことなどを説明します。
お隣さんは非常に気のいい方で、「こういうときはお互い様ですから」と快く了承してくれました。
で、話は終了。
「特に書面にサイン貰ったりはしなくていいんですか?」と後でTさんに聞いたところ、ちゃんと説明したという事実があり、そのことを書面として記録しておけば十分なんだそうです。
家の前の道を使わせて欲しい、とも言ってあるので、「目の前の道路(実測4m)を使用する許可を取った」ということになるのだとか。
とにかく、これで書類手続きに入ることが出来るそうです。