エコキュートとオール電化

前のページでIHについて書きましたが、長くなりすぎるのでページを分けます。

このページでは、エコキュートについて書いて、オール電化のまとめをしようと思います。

エコキュート

湯切れの心配があるガスよりも給湯効率が悪い2階ではお湯が使えないお湯が直接飲めない設置面積が大きい冬は効率が落ちる

エコウィル・エネファームとの比較

オール電化

ライフラインを電気だけに頼るなんて怖いオール電化はピーク電力を上昇させる


エコキュート

IHは「誤解」が多いために、いろいろと書こうという情熱につながったのですが…エコキュートは、それほど誤解がないようですね。誤解がないというか、興味をもたれていない。

見かけるのは「誤解」というよりは、ガス会社によるネガティブイメージの流布です。しかも、それすら中途半端な…。なにがどう中途半端なのかは、おいおい説明することになると思いますが。


ネガティブイメージ広告も含め、良く言われる欠点は次のようなものかな?


湯切れの心配がある

ガスよりも給湯効率が悪い

2階ではお湯が使えない

お湯が直接飲めない

設置面積が大きい

冬は効率が落ちる


なんか、最後に行くにしたがって瑣末な話になっていますが、とりあえず答えていきましょう。




湯切れの心配がある

ガス瞬間湯沸かし器である「エコジョーズ」などとの比較では、エコキュートは湯切れする、という可能性が指摘されるようです。

まぁ、瞬間湯沸かし器に湯切れはないですからね。深夜電力でお湯を溜めて使う、というエコキュートでは湯切れは心配ですし、実際自分も使い始めるまで心配でした。

タンク容量は機種によっても異なりますが、370ℓタンクを使ったとして、使えるお湯の量は 370ℓが上限…ではありません。実際には80~90度のお湯を溜めておき、それを水で適切にぬるくしながら使用しますから。


ところで、先ほどとは別ページのガス会社の主張(エネファームの宣伝)によれば、60度で200ℓのお湯があれば、ご家庭のほとんどの給湯需要をまかなえるのだそうです。

90度370ℓだと足りなくて、60度200ℓだと足りる、とする根拠がわかりませんが、まぁガス会社だっていろんな立場がありますから、主張が食い違うこともあるのでしょう。あとは、購入を検討する方が判断することです。


話をエコキュートに戻すと、うちの場合は食洗機(ホシザキ製)が60度のお湯を使用するのと、お風呂にお湯を入れる・追い炊きする(42度)程度の使用で、湯切れは起こしません。

お湯を沸かす量は、毎日の使用頻度を見ながら需要を予測し、自動で調整しています。予測を上回る使用量だった場合や、予測される需要量がタンク容量以上になってしまった場合は、深夜以外でも沸き増し(追加のお湯を作ること)をするので「湯切れ」は起こしません。安い深夜電力でお湯を沸かすのではないことになるので、コスト高ですが…(通常は夜間に沸き増しします)

沸き増しはいろいろと設定可能で、沸き増ししないことも出来ますし、まだお湯の量に余裕があるうちから沸き増しを開始することも出来ます。湯沸しの速度は遅いため、余裕があるうちに開始したほうがよいのですが、そうするとコスト高になりやすいのが問題…

もちろん「毎日たくさん使う」状態であれば、それに合わせた湯量を深夜のうちに沸き上げますので問題はありません。




ガスよりも給湯効率が悪い

エコキュートは「電気で」お湯を沸かすことに関しては効率がよいです。でも、単純にエネルギーの利用方法として考えると効率が悪いのは事実です。

火力、または原子力発電は、お湯を沸かしたときの水蒸気の膨張エネルギーを使って発電機を回しています。このとき「膨張の」エネルギーは使われますが、お湯の熱エネルギーは使われません。そして、できた電力が家庭に送られ…またお湯を沸かしているわけです。


ただ、原子力発電自体は物体の「存在」を消費することで、僅かな資源から非常に大きなエネルギーを取り出せます。火力発電では石炭などの「あまり使用されない」エネルギー源が使用されています。両方とも、普通は家庭で利用するようなエネルギー源ではありません。

家庭用ガスと同じ原料である液化天然ガスも使用してはいますが、これも「石油採掘の副産物」という側面を持ちます。使用しなければ、焼却処分されてしまうこともあるような原料です。

さて、これらの「普通使われない」エネルギーを、使いやすい形に変換することを、「効率が悪い」と一刀両断に切り捨ててよいものでしょうか?


もうひとつ、「夜お湯を沸かし、半日以上あとに使う」ことの効率の悪さもあります。これも、まぁそのとおり。お湯は多少冷めますよ。冷めることも考慮して沸かしているので実害はありませんが、「効率が悪い」といわれればその通り。

冷めるというのはどういうことかといえば「お湯の熱が空気に逃げている」ということです。エコキュートは空気の熱でお湯を沸かしているので、投入した電気エネルギー以上の効率でお湯を沸かしていますが、その熱がもう一度空気に戻ってしまう、ということ。

では今度は、ガスの場合を見てみましょう。瞬間湯沸かし器の場合、名前の通り使用する瞬間に沸かしていますから、冷める、ということはありません。その代償として、最初から熱効率は悪く、水だけではなく空気も一緒に温めています。

普通の瞬間湯沸かし器はガスの熱の 80%、熱効率を最大限に高めた「エコジョーズ」でも 95% しか、水に伝えられません。あとは最初から「空気を温めている」のです。熱が空気に逃げてしまう、という効率の悪さは、なにもエコキュートだけではないのです。


家族構成が変わった場合に無駄という主張もあるらしい。(リンクしたページの下のほう)

この主張は…なにをかいわんや。ばかばかしくて話になりません。

お湯を沸かす量は手動でも調整可能だし、毎日の使用量を見ながら自動調整しているのに、なんで「何十年」ものスパンで無駄にお湯を沸かす必要があるのだか。




2階ではお湯が使えない

瞬間湯沸かし器は水道の水圧をそのまま使用しています。エコキュートも水道の水圧を利用してお湯を「押し出して」いるのですが、水道の水圧を一度減圧しています。このため水圧が低く、お湯が2階まで届きません。

減圧は、90度のお湯を沸かした際に貯湯タンク内の圧力が高まり、破裂するのを防ぐためです。同じ貯湯式であっても、ガス会社のエコウィル・エネファームなどでは、湯温が60度までしか上がらないため減圧が必要ありません。


2階でお湯を使いたい場合は、補助ポンプで再び圧をかけるか、貯湯タンクを強化して高圧に耐えられるようにしたタイプを使用する必要がありますが、いずれの場合でも、やはり「水道本来の水圧」よりは圧が落ちます。

日立は「ためられたお湯で、水道水をお湯にする」ということをやっています。つまり、お湯による瞬間湯沸かし器。これなら水道水の水圧そのままで、2階でも3階でも届きます。80度のお湯で42度を沸かすなら十分可能なようです。




お湯が直接飲めない

飲めないことになっています。一度沸かしているため塩素が抜け、その状態で長期保存しているため、水道法上の「飲料水」とは認められません。

ただ、勘違いしている人が多いのですが、「法律上は」水道水じゃないから飲めない、と言っているだけで、細菌が繁殖しているわけではないです。加熱されれば細菌も死にますし、そもそも細菌が入るとしたら「水道」から入るしかないんです。エコキュートのお湯は汚い、というのであれば、それは水道水が汚いということ。少なくとも、うちの水道水は直接飲んでも大丈夫な程度にきれいです。


というか、自分は引っ越す以前の瞬間湯沸かし器のお湯でも飲んだこと無いんですが…。瞬間湯沸かし器のお湯を飲む習慣がある、という人ってどれくらい居るのでしょう? お湯の温度が安定するまで、しばらく水を捨てないといけないでしょう?

どうしても、という方には、先に挙げた日立の「お湯による瞬間湯沸し」の方法もあります。




設置面積が大きい

うちで導入したのは結構大きかったですね。でも、断熱材の改良でだんだん小さくなっているようです。

ガス瞬間湯沸かし器に比べれば、まだまだ大きいですけどね。どんな家でも、隣家の敷地とは 50cm 以上あけなくてはならないはずなので、そこに収まるサイズにはなっています。普通、設置するなら北側の狭くて日陰のスペースに押し込むことになると思いますが、そんなスペースでも花を植えたり物置にしたい、という方はやめておいたほうがよいのでしょう。




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(ページ作成 2009-04-09)
(最終更新 2016-11-25)

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