メーカー廻り(1)
すでに書いたように、モデルハウス廻りをしながら必要な間取り等を考え始めていました。
まず、自宅で仕事をしているので仕事部屋。サーバーを置くサーバールーム…これは半畳ほどの押入れでかまいませんが、電源が来ていること、LAN配線があること、排熱がしっかりしていることが条件です。
子供部屋は4畳半が2つあれば十分。子供に広い部屋を与えてもろくなことにはなりません。子供が3人でも、男部屋と女部屋に分ければ良いでしょう。
寝室はちょっと大きめに…というのも、高級なベッドを買ってしまっているので、それを置けないのは困るからです。
リビング・ダイニングはちょっと広めで、12畳くらいあればいいかな。妻はカウンターキッチンが良いそうです。合計で16畳くらいか。
さらに、これとは別に和室が欲しいところ。ここは、いざと言うときは両親の居室にします。
僕も妻もコレクター気質で、いろいろな資料を溜め込んでいます。無駄に溜め込んでいるわけではないのですが捨てられないものもあって…
こうしたものを収納するために、ある程度の収納空間は必要です。
間取りはこんなものですが、さらに要望があります。
妻は冷房の風が嫌いなので、冷房無しでも暮らせる家が良いと言います。実際、今のアパートは風通しがよいため、3年間で3回しか冷房を使っていません。(光化学スモッグ警報が出たため窓を閉めた時と、友人が遊びに来たときだけ)
僕は暑いのは嫌いですが、冷房もそれほど好きではありません。なので自然で涼しい家があるならそれに越したことはありません。
そのための方法はいくつかあります。屋上緑化、冷気の井戸、打ち水、などなど。
このことを考えていた頃、新聞に「光触媒で冷房無しでも涼しい家」の実験の記事が出ていました。良くわからないけど、高親水性を示す光触媒を使って空気中の水分を水にして、その水が気化するときの気化熱で壁全体を冷やすとか…
「探していたものはこれだ!!」と注目したのですが、その後テレビでも取り上げられて違うものであるとわかりました。大きな倉庫などで使われる技術で、水道の水を散布してその気化熱で温度を下げるのだとか。光触媒の壁面は、あくまでもその効果を上げるためにすぎません。
でも、こんな情報まで追いかけるほど、真剣に涼しい家を求めていたのです。
ところで、家を建てるならミサワホームの「蔵のある家」に憧れがありました。
蔵と言うのは、天井の高さが 1.4m以下の空間のことです。立って歩けないようなスペースは「居住空間」とはみなされないため、現実には広い床面積があっても、法律的には狭い家と言うことになります。
すると何が良いのか? 家を建てる時には、床面積が敷地面積の何パーセント以内、と言うような規制があるのですが、この規制の範囲内にも関わらず実際には広い家が建てられます。また、固定資産税は家の床面積を元に計算されるので、狭い家とみなされれば税金が安くて済みます。
さらに、「蔵」は、1階の下か、1階と2階の間に作るため、2階の位置が高くなります。すると、周囲の家よりも少し窓の位置が高くなるため、風通しがよくて夏は涼しく、日当たりがよくて冬は暖かい家になります。
これはよさそう。蔵の一部をサーバールームにする、というのはすでにやっている人が多いようですし、風通しがよくて涼しい家と言う条件にもかなっています。
早速ミサワの展示場に行って、プラン集をもらってきます。蔵のある家にはいくつかのタイプがありました。
「蔵のある家」「Otype KURA」「SMART STYLE KURA」…SMART STYLE が一番安いタイプで、これなら手が出そうな値段です。
SMART STYLE はミサワの規格化住宅です。ある程度の規格の中で間取りなどを自由に変更できるのですが、完全自由設計と言うほどにはなっていません。ちょうど、自由設計と建売の中間でしょうか。
プラン集を元に、どこをどう変えたら自分の要望を満たせるか考えます。無料の間取り設計ソフトもつかって、1週間くらいごちゃごちゃといじり続けていました。
…だめです。建築設計は難しいので素人の手出しできるものではない、ということはわかりましたが、それ以上にわかったことがあります。
蔵という存在が大きすぎ、設計の大幅な変更が難しいのです。プラン集に載っているのも、どこか似たような間取りばかり。SMART STYLE を選ぶのであれば、やはりサラリーマンで子供が2人いて…というような「想定しやすい家族」でないといけない気がします。
プロに頼めばもっとうまく処理するのかも知れませんが、収納は要望の優先度としてはそれほど高くありません。そのために別の希望が叶えられないならよくない、と考えるようになり、ミサワは候補から外れます。
ミサワをあきらめた後も、「蔵」への憧れはずっとありました。収納が欲しい人には、ミサワはいい選択肢だと思います。
間取りを自由にしたい、という意味では、住友林業なんかは良いようです。
住友林業は木造在来軸組工法では最大手のメーカーです。木造在来軸組工法というのは、つまり昔ながらの日本の家の建て方ということ。
「昔ながらの木の家がいいなぁ」という考えもあったので、住友林業に行って詳しい話を聞いてみます。
ちなみに、最初に出合ったスミリンの営業さんは、出合った後すぐに会社を辞めたようです。時期を考えると話を聞いた時にはすでに辞めようと考えていたようで、それで「他のメーカーもよく検討して」と言うような発言になっていたのでしょう。
住友林業、間取りデザインなどがおしゃれ…と考えていたのですが、別のモデルハウスを見るとそれほどではありませんでした。(何度も書きますが、スミリンと勘違いしていたから。でも、スミリンも最初に見たのが特にオシャレに出来ていたようです)
しかし、構造材に使っているパネルなどの話を聞くと、随分頑丈そうな家です。住友「林業」と言うくらいで、本来は林業から始まった会社。木の特性をよく知り、木を活かした建築を行っている気がします。
かなり気に入ったので、営業さんの薦めるまま、後日家造りセミナーに参加してみる事にしました。
セミナーの後、設計士の方を交えて話をする場が設けられます。
それまで間取りの要望をいろいろ考えていたため、全部伝えてみます。すると設計士さんから「外観はどうしますか?」という質問。
外観か…考えてなかったな。
家の中身についてはよく考えていらっしゃるようですが、家というのは案外外観も重要なものですよ、と設計士さんのアドバイス。
町を歩く時も、回りの家を見ながら自分がどういう家に住みたいのか考えて見てください、と言われます。
設計士さんとの会談は、これだけで終わりでした。
せっかく設計士さんと話せるのだから、ラフでも良いから間取りをまとめてくれると思ったのに…ちょっと残念。
営業さんが言うには、実際の設計に入るには専属の設計士をつけないといけないし、10万円払って契約して欲しい、との事でした。
自分で考えているだけでなく、間取りプランとして見せて欲しいな…とは思ったのですが、メーカーを決めるにはまだちょっと早い気がします。
「もうちょっと考えさせてください」
そう返事をしてセミナー会場を後にします。この後も何度か営業さんから電話がかかってきましたが、結局この後住友林業に行くことはありませんでした。
やっぱり在来工法はいいなぁ、なんて考えていたのに、実は良いと思っていたのは 2x4 だった。これがきっかけで、在来工法に対するこだわりはなくなり、選択の幅が一気に広がりました。
そして、選択の幅が広がったら住友林業でないといけない理由も見当たらなくなってしまったのです。
木造在来軸組工法は、やはり古くからの日本の家の雰囲気を残していて良いものだと思います。そのような家を望んでいる場合は、住友はよい選択肢なのではないでしょうか。