コーヒーミルのしくみ
わたしが気に入っている「歯車」はいくつかあるのですが、第1回を何にしようか・・・と考えた結果、コーヒーミルにすることにしました。
最近ではコーヒーを趣味とする人も増え(日本ほど多彩なコーヒーが飲める国はないそうです)、おしゃれなコーヒーミルも多いのですが、わが家のコーヒーミルは私がもの心ついたころからある、20年選手です。
このコーヒーミルは10年ほど、ずっとしまってあったのですが、数年前にコーヒーミルとドリッパーの一体型の、いわゆる「コーヒーメーカー」を買ったところ、うちの親父殿(コーヒー通)が「コーヒーメーカーのコーヒーはやはりまずい」と言い出して最近再登場となりました。
使い始めて数日、今度は「もうちょっと荒引きにできないか?」と親父がいいます。そういえば、コーヒーミルなら挽きを調節できる機能があるはず・・・としらべてみたら、ひじょうに巧妙に作られているのに気付いて、お気に入りになってしまったのです。
それでは、その仕組を見てみましょう。ミルの取っ手部分の拡大図は、右図のようになっています。わかりやすく分解図を描くと、右下図です。
上から順に(部品の正確な名前は知りませんが)
- ハンドル止めネジ
- ハンドル
- ばね
- 回転止め
- 臼歯止め
- 軸
- 臼歯(台のなかに入っていて表からは見えない)
となっています。私が分解したときに直観的に役割がわかるのは、臼歯(豆を粉にする)、臼歯止め(重力で歯が落ちないようにする)、軸、ハンドル、ハンドル止めネジ(この3つは当然必要)くらいでした。
さて、挽きの荒さを変えるにはどうするか? とうぜん臼歯止めを弱く留めれば、臼歯のすき間が多くなりそうです。でも、臼歯止めはネジ止めなので、それだけではハンドルを回したときに位置が変わってしまうのでは?
・・・あぁ、それで回転止めの役割がわかりました。回転止めは八角形のような形に作ってあり、軸は円柱に切り込みを入れた形で作ってあります。回転止めはこの切り込みにひっかかって回らない形になっていますから、これを臼歯止めのうえにかぶせれば、臼歯止め自体を回らないようにできます。
これでハンドルをはめ(これも軸の切れ込みに引っかかるようになっています)、ハンドル止めのネジを閉めれば、使えそうです・・・とすると、ばねの役割は?
これは、バネなしで組み立てて使って見れば簡単にわかります。豆を挽くときの振動は結構大きいので、バネで押さえておかないと回転止めが跳ね上がり、臼歯止めがくるくると回転してしまうのです。
ははぁ、なるほどね・・・ミルの仕組に気付いたときは、感心しました。こんな何気ないもので、部品点数もそれ程多くないものなのに、驚くほどよく考えられています。
しかも、それらが美しくまとまっているのです。(臼歯止めの幾何学的な形や、ハンドルを回したときにバネが螺旋状に動いて見える様など、なかなか美しいのです)
日常使う道具は、こうでなくちゃな、と思わせられるコーヒーミルでした。