チョロQの時代
最近子供から大人まで、ミニ四駆が流行っています。
このおもちゃの開発段階では「今どきの子供は自動車なんかに興味をもたない」と言われて非難されていたそうなのですが、やはり車というのはいつの時代も男の子のあこがれなのかも知れません。
そういうわけで、私が子供の頃は「チョロQ」でした。今でもこのおもちゃはありますし、当時は大ブームだったので説明の必要はないかもしれませんが、小型のデフォルメされた車に小さなぜんまいを仕込み、後ろに引いて手を離すと勢い良く走って行く、あれです。
先日押入をがさごそ漁っていたところ、当時の私のチョロQコレクションを発掘しました。たいしたものではないのですが、紹介しようかと思います。
チョロQのしくみ
と、その前に、せっかく「社会の歯車」なんですから、チョロQの仕組を解説しておきましょう。チョロQの心臓部は当然ゼンマイと歯車の組み合わせなのですが、小さいながら非常に良くできています。
チョロQは、ゼンマイを巻くときと走るときで、力の伝達が変化します。これが、ちょっと後ろに引いただけで長い距離を走るチョロQの秘密なわけです。
歯車は全部で5つありますが、写真では3個、「タイヤ」と「ぜんまい」を取り除いた状態になります。
ゼンマイを巻くときは、上図で赤で示された経路を通って力が伝達します。このとき2の青い歯車は、宙に浮いた形となって使用されません。タイヤの回転に対するゼンマイの回転数が大きくなるようにギアが設定されるのがわかると思います。
これに対して、走るときは今度は1の赤い歯車がはずれ、青で示された経路で力が伝達します。今度はさきほどと逆で、ゼンマイに対するタイヤの回転数が大きくなるようにギアが設定されます。
つまり、1.巻くときは力はいるが距離は短く、2.走るときは力は出ないが距離が長いということをやっているのです。
ちなみに、走っているときにゼンマイが伸びきると、1、2、両方の歯車が宙に浮きます。これで邪魔な抵抗は無くなるので、動力を失った後も惰性で走り続けることが出来るのです。
チョロQコレクション
そんなわけで、私のもっているチョロQと、モドキたちです(笑)
売れる商品があると偽物が出回るのは世の常で、そういうのも含めて「1ブランド1種類」を目指して作られたコレクションです。
結構量が多いので、画像は小さめにします。ごめんなさい。
最初は、ノーマルのチョロQ、「ターボファミリア」です。
このモデルは、すでにチョロQブームになった以降だと思いました。サンルーフが稼働したりと、凝った作りになっています。
これは「コンバットチョロQ」の「チャーチル戦車」です。
コンバットシリーズは別売りのジオラマキットをはめ込んだ状態のまま走るのが特徴で、写真では「市街」のジオラマに取り付けています。
これはチョロQの高級機種「チョロQシルエット」の「RX-7」です。シルエットシリーズはデフォルメしない1/80スケールで作られており、その完成度の高さから模型マニアの間でも話題になりました。が、値段が普通のチョロQの3倍もしたこともあり、あまり売れなかったはずです。
これは変わり種、「アイデアチョロQ」の「コンパス」です。アイデアシリーズは主に文房具にモチーフを取っていましたが、鉛筆削りや消しゴムを取り付けただけのモデルが多いなか、コンパスだけは形状もユニークで人気がありました。
これも変形もの、「チョロQダグラム」です。当時ダグラムというアニメが流行っており、チョロQブームに乗ってダグラムを可愛らしくデフォルメしたアニメが劇場公開 されました。
(たしか、ザブングルの同時上映。今でも続く「SD(スーパーデフォルメ)シリーズ」のハシリですな)
その映画とのタイアップ商品です。変形していない状態では、タイヤがまったく見えない人形で、チョロQだとは思えません。
これは秘蔵品、「豆ダッシュ」です。といっても、当時そう呼ばれていただけで、正式名称はないはずです。
ずっと豆ダッシュだと思っていたのですが、これは海外で販売された「ペニーレーサー」であると言うご指摘を頂きました。
チョロQ発売直後、あまりの人気に生産が追いつかず、海外向け製品が国内で販売されたこともあったそうです。僕が入手したのもどうやらそうしたものの一つのようです。
情報をくださった方々に感謝いたします。
これ以降は、タカラ以外が作ったチョロQモドキ。まずは野村トーイの「ター坊」です。ゼンマイエンジンではなく、ただのはずみ車を使っているのですが、はずみ車がジャイロの役割を果たすために不自然な姿勢を保ち「アクロバットが出来る」と言うのが売りでした。
子供に人気が出れば、当時駄菓子屋やスーパーの前に置かれていた「ガチャガチャ」(小型玩具販売機)にも入るのは当然です。
この3機種は、ガチャガチャメーカーの「コスモス」のロゴが入ったものです。しかし、スクーターというのはかなり珍しいデザインです。偽物にしておくのはもったいないくらい。
バンダイもモドキ製品を作っています。しかし、子供心を知るメーカー故に、かなり欲張ってわけのわからないものになっています。
自動車形態とロボット形態に変形可能で、しかもどちらの形態でも走ることが出来る・・・のですが、どちらの形態も何がなんだかわからない、カッコ悪いデザインです。動力ははずみ車でした。
はずみ車式の中で一番良くできている、と思うのがこれです。メーカー不明。しかし、とにかく小さい。当時は子供の間では「はずみ車は劣っている」という風潮があったのですが、ここまで小さいと許せます。となりのチョロQと比べて見てください。
いちおう、コレクションはこれでおしまい。他にも数点あるけど、これといって面白い特徴もないものばかりです。
ところで、このページを書くことにしてから「古いエンジンを分解するのは勿体ない」と思っているところに、渡りに船でモドキ製品を無料で入手出来るチャンスがめぐってきました。
大喜びでひとつ入手して、もち帰ったのがこの写真のものです。ところが、実はすごい機能がついていることがわかり、勿体なくて分解しませんでした。
なんと、こいつは前進・後退可能なのです。シャーシがスイッチになっており、障害物にぶつかると進行方向を逆にするようになっています。
今まで作る会社がなかったのが不思議なくらい単純で面白い機能なのですが、今となってはどこで入手できるかわかりません。もっともらってくれば良かった・・・
結局、分解したのは今も売っているチョロQのエンジンなのですが、昔のエンジンと仕組は一緒ながら、部品点数は大幅に減っているのに気付きました。そのぶん組み立てが微妙な部分もあり、ばらした後の組み立てが大変でした。
最近ではミニ四駆のブームに乗って、チョロQも性能を少しづつ変えたエンジンやタイヤなども売っているそうで・・・それも時代の流れかとは思いますが、この手のおもちゃは安く楽しむのが面白いのだと思うのですが。