先週土用日(15日)、全公立展に行ってきた。
神奈川県下の、全公立高校が一堂に会して、それぞれの学校のアピールを行う会。神奈川新聞主催。
次女が今年は高校受験で、もう行きたい高校は大体絞り込んでいるのだけど、一応見に行きたいとのことなので。
普段ならこういうのは妻が付き添うのだが、ちょうど妻の大学の OB 会と重なってしまったため僕と次女で行った。
各高校、2m四方くらいの小さなブースを作り、宣伝を行う。
学校によって内容はまちまち。
偏差値は高いが、卒業後は有名大学に入ることばかりが求められる、という噂の学校は、やはり進学実績を前面に押し出していた。
評判によれば、進学塾のような詰込みが多いらしい。勉強の「本質」ではなく、「テクニック」を教えるということだ。
また、文化祭などはあまり盛り上がらず、高校生らしい青春はあまりないとのことだ。
一方で、部活や文化祭の楽しさを中心に書いていて、勉強のことを一切書いてない学校もあった。
偏差値的にはちょっと残念な高校。
高校進学では偏差値が大きな指標となるが、それがすべてではない。
それぞれの個性があり、それを宣伝できるのは良い事だと思う。
次女は、学力的には結構有名な、偏差値の高い学校に入れそうではある。
ただ、以前はその学校は、卒業後の進学実績はあまりよくなかった。高校生活の充実を教育理念に掲げていて、進学塾的な勉強は行わなかったためだ。
数年前に、神奈川県の教育委員会から、学力向上進学重点校というものに指定されて、少し進学塾的になってきているという噂を聞く。ちょっと心配だが、まだ今なら高校生活は楽しめるだろう…と思う。
次女としては、部活動のリストを見て、自分が入りたい部活がないことの方が重要なようだ。
端の方に、一般高校ではなく、農業・工業・商業などの専門高校が並んでいた。
農業高校の前で、多肉植物の寄せ植え体験、というのをやっていた。
次女がやりたいというので並ぶ。多肉は妻が好きで家にそれなりにあるのだが、いろいろな種類を持ち帰れれば家で増やせるかもしれない。
やっている最中に、隣に別の家族が来て、お父さんが「なんで多肉植物っていうんだろう?」とつぶやいていた。
「せっかく専門の高校生いるんだから、聞いてみたらどうです?」と、目の前で寄せ植えの方法を教えていた高校生に聞いてみる。
…答えられなかった。仕方ないので代わりに僕が答える。
葉っぱとかが肉厚になって、水を蓄えられるようになった植物の総称です。水を蓄えられるので、乾燥した環境などでも活きられるし、生命力も強いです。
こんな風に(と寄せ植え体験のやり方を示しながら)葉っぱを土に植えると、根っこが出てきて増えたりします。
次女がそれを継ぐように、主に砂漠に生える植物で、サボテンなんかも仲間ですねーとか話し始める。
おお、と感心する高校生。
いや、ここは専門高生の知識をひけらかすタイミングを与えたつもりだったのだが、中学生の言動に感心していてはダメでしょう。
農業高校は、教科書の展示もやっていた。色々な教科の教科書が置いてある。
次女の友達が、学力が低いので農業高校でも行くかな…と言っているらしい。いや、「でも、しか」で行くような世界じゃなくて、かなり高度だよ? と言いながら、教科書を開いてみる。
植物の生理学を化学反応込みで解説していたりとか、栽培に適した畝耕の方法を植物ごとの生理などから理論だって解説していたりとか、農業機械の整備に必要なエンジンの仕組みから解説していたりとか。
流通技術や、商業としての会計技術もある。
「かなりガチじゃん」というのが次女の反応。
そう、専門高校は希望者が少ないから、足切り偏差値が低めになってしまうだけ。
偏差値が低いから頭が悪くても大丈夫だと思われてしまうが、そんなことはない。
むしろ、実学だからこそ、教える内容は高度だ。
義務教育である中学までの内容は全部理解している、という前提で、それらを組み合わせて仕事に役立てる方法を教えている。
だから、頭が悪いと自認するなら一般高校に行った方が良い。
そちらなら、中学までの勉強の延長なので、まだついていけるだろう。
工業高校は、ストームグラスづくりを体験できた。
え、これは僕が欲しい。次女にお願いして体験してもらい、入手。
はんだ付けでなんか回路作る体験もやっていて、次女はやりたがったのだが、これは時間がかかるそうで1時間に4名だけの受付だった。残念。
商業高校は、神奈川の特産品や、別地域の商業高校が開発した特産品などを販売していた。
売り上げはすべて能登半島地震の復興支援として寄付するそうだ。
何かないかな…と探していると、淡路島の玉ねぎを使ったクッキー、というのがあった。
淡路島の玉ねぎは、生で食べてもおいしい甘い玉ねぎとして有名。売り子をしていた高校生に、食べてみたか訊いたところ、オニオングラタンスープのような味がして美味しい、という。
1枚100円と高めではあったが、家族分5枚購入。
と、展示会としてはこの程度で終了。他にも多少ぶらぶらしたのだが、一般高校は通り一遍の展示しか見てない。
最後、出口付近で進学塾のブースが並ぶ。今回の展示、進学塾が協賛金を出すことで行われているものだ。
各塾が、塾の入学案内パンフレットを配っているのだが、もらう人は少ない。
とある塾が「手提げ袋」にパンフレットを入れており、これはもらう人がそこそこいる。
そして、これまた別の塾は、その手提げ袋ほど入れられるほどの、大きな肩掛けバッグを配っていた。
…これ、次女が通ってる塾ですけどね。ちなみに老舗で、僕も中学の時通ってた。
みんな大きなバッグに荷物を入れてしまうので、最後にはみんながその塾のロゴの入ったバッグを肩から掛けている状態。このまま家まで帰るでしょうから、塾としてはいい宣伝ですね。
最後に、予約時の話を書こう。特別な面白さがあったので。
この「全公立展」、コロナ下では要予約制になり、人数もかなり絞り込まれていた。
ちょうど2年前、その年受験だった長女が「行きたい」と言ってきたのが直前で、すでに予約が締め切られていた。
それもあり、今年は早めに予約を入れようと思っていた。
予約開始は、6月5日の午前10時。
その前日には、妻が下調べで、予約サイトを見に行っていた。
明かに WordPress で作られたサイトだった。この時点で、妻は嫌な予感しかなかったという。
#注:
WordPress はボランティアで開発され、無料で使用できる WEB ページ作成ソフトで、人気がある。
しかし、プログラム技術的には低く、処理速度が遅い。アクセス集中に耐えられない。
人気があるので高速化する技術を有償提供している会社もあるが、この高速化技術も「通常の WEB ページ」の場合に有効なもので、申し込みフォームのようなものは本来の性能まで落ちてしまう。
妻の「嫌な予感」はこれを知っていたため。
当日、午前10時にサイトに行くも、繋がらない。503 Service Unavailable だ。
このエラーは、サーバーが過負荷で接続できないことを意味する。
何度もリロードを試みると、時々 500 Internal Server Error になったり、もっと具体的に mysql サーバと接続できない、と日本語で表示されたり英語で表示されたりする。
ふむふむ。どうやら、ある程度の負荷には耐えられるように、ロードバランサーを入れてサーバ分散しているようだ。
しかし、なぜかサーバが同じ設定ではなく、エラーが英語だったり日本語だったりする。
さらに時々リロードを行い、15分くらいたったところ、「予約が規定数に達したため締め切りました」というメッセージが表示された。
今年は、コロナは明けたので、予約制とはいっても4万人程度は入場できる、という事前アナウンスだった。
15分で全部予約が埋まったとは到底思えないので、これはサーバが落ちて緊急で受付終了したのだろう、と判断。続報を待つ。
時々リロードしていたら、12時に「過負荷の為に、何度も申込みボタンを押した人がいて、重複申込みにより規定数に達してしまった。重複を取り除いたうえで、明日10時から再度申請受付する」という表示が行われた。
…また嫌な予感しかしない。明日10時、と書いているが、1日で負荷に耐えるようなシステムを作れるのか。
翌日10時、少し前に見に行ったら、すでに 503 だった。
時々サーバに繋がり、「10時から受付を開始します」という表示が出る。
すでに10時にはなっているのだが、と表示に少し引っ掛かりは覚えた。
…で、5分でまた「予約が規定数に達したため締め切りました」。
こんなの、予約がないと入れない、10時から予約を受け付ける、とアナウンスしたら、アクセス集中するにきまってるよなー。
慌てないでも十分に予約はある、ということを明記しておかないミスだ、などと妻と話をしていたのだが…
いや、神奈川新聞社、一枚上手でしたね。おそらくこうなることは予期していた。
10時15分に、再度受付を開始したのです。いや、多分「再度」ではなく、この日の受付は10時15分からだったのでしょう。
多くの人は諦めてアクセスをやめてしまった後。だからアクセスには問題がない。
諦めた人も、おそらく後で様子を見に戻ってくるでしょうから、その時に申し込みをすればよい。
「10時から」と言って起きながら10時15分に開始する。
だまし討ちのような方法ですが、アクセス集中を避けることに成功し、見事に難局を乗り越えました。
システムで対応できないことは運用でカバー、という、見事なお手本のようでした。
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