日曜日、妻の高校時代の親友が出演している劇を見に行った。
子供が生まれる前、20年くらい前にも見に行ったことがある。
その時は市民劇団に所属していて、主役を演じていた。市民劇団とはいっても大きなホールで演じられる程度の集客力はある劇団だった。
今回は主役ではないが、もっと大きな劇団に所属している。
劇団の団長が、あまり知られていない才能を発掘する番組で最近初代チャンピオンになったすごい人…
と、妻もこの程度の事前情報だけしかもらってなかった。まぁ、劇を見ればいろいろ分かるだろう、程度のつもりで見に行く。
劇じゃなかった(笑)
会場に入ってパンフレットをもらったので読んだら、劇ではなくてオペラだったのだ。
しかも、2時間では時間が足りないので、この日の公演は「ダイジェスト版」だそうだ。
オペラでは、すべてのセリフが歌として表現される。
そのため、ダイジェストとして行われたこの日の公演では、ずっと歌が続く。
多くがイタリア語で、プロジェクターによって日本語訳が示される。
そして、お話は時代劇だ。桜田門外の変前後の、吉原の話。
花魁(おいらん)たちの間での愛憎があり、井伊大老殺しの下手人が吉原に逃げ込んだ、という話もある。
この時代劇を、イタリア語でオペラとして歌い上げ、花魁たちの美を競う絢爛豪華なショーとして演じるのだ。
主人公の花魁は、団長の MARIA SEIREN さん。
井伊大老殺しの下手人であり、花魁の恋仲のお侍さんも、MARIA SEIREN さん。一人二役。
これが凄い。男性の声と女性の声を完全に使い分け、大声量で歌い上げる。
本物のオペラって初めて見たのだけど、こんなに声量出るんだと驚いたし、ソプラノとテナーを歌い分けても声量が変わらない…無理していない、という技術にも驚いた。
劇は、オペラ歌手の歌を中心に進むが、俳優が演じている役どころもある。
妻の親友の人も、俳優としての花魁の役。少し歌うが、オペラ歌手ほど多くはない。
コミカルなギャグ部分もあり、吉本芸人の人が参加している。
あと、時代劇としての和風の所作を求められる部分も多く、狂言師の方々も参加している。
狂言独特の「くさびら」の歩き方で動き回るところがあり、コミカルなのだがとても真似できない動き。
各方面から、それぞれの専門家を集めて劇を作っているのだ。
なんだこれ。こんな豪華なエンターテインメント、はじめて見た。
これで「ダイジェスト版」だというのだから、全編是非見てみたいものだ。チケット高いだろうけど。
本編は、世界ツアーでの公開になるのだそうだ。
なるほど。この内容なら、オペラの本場であるイタリアや、ヨーロッパで公演ツアーをやったら受けそうだ。
「時代劇で舞台が吉原、花魁が多数出演」というだけで十分な話題性だ。
団長さんはラスベガスでの舞台出演経験もあるようなので、アメリカも伝手があるのだろう。
途中休憩をはさんで、後半。
後半は、吉原で墨田川へ、花火大会を見に来た、という設定になっている。
得意のお客様なども招待して、飲めや歌えの大騒ぎ。
冒頭からいきなり、「乾杯の歌」だ。オペラの定番。あれを時代劇でやる。
あの歌と吉原という設定はうまく噛み合う。
またいろいろな歌を披露していく形なのだが、オペラに限らない。
「La Bamba」とか「Boogie Wonderland」といった、往年のディスコナンバーで花魁が躍る。
吉原には「槍り手婆(やりてばばあ)」という役職があったそうで(悪口ではなく)、この「ばばあ」を歌う替え歌として「ラ・バンバ」に持っていくとか、ギャグとしても面白い。
あと、前半から「禿(かむろ)」役として出演している子役がいる。
禿というのは、花魁の身の回りを世話する、まだ小さな子供だ。
で、この子供たち「小町小町」という、4人組のアイドルユニット設定のようだ。後半では歌も披露する。
後半は本当に、楽しければ何でもアリ、という感じ。
今回の公演は「花焔 - kaen -」。劇団は、MONDO PARALLELO歌劇団。
時代劇+オペラ、という軸で展開しているようで、秋にも新作公演があるらしい。
妻は友人が出演するので、ぜひまた見に行きたいとの事だが、僕は子供の面倒見るために留守番かなぁ…
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