庭の片隅にバナナが生えている。
20年近く前に家を購入したとき、費用の問題もあって庭の整備は頼まなかった。
それで、時々園芸店に行って庭木などを探していたのだが、そこでバナナの原種に近いものを見つけ、面白いから植えてみたのだった。
このバナナは種があるのだが、ちゃんとバナナの味がする。
ほとんど種で、食べるところはないので、飴玉のように口の中で種を転がす感じなのだが。
バナナの栽培と、種がなくなる変異のどちらが先かは知らないが、こんなおいしいのに種が無いものを見つけたら、それは大切に栽培して増やしただろう。
幸い、バナナは宿根草だ。1年で地上部は枯れるが、翌年にはもっと増えて芽吹く。
そんなわけで、我が家のバナナもどんどん増え、密生している。
今は花もつぼみで、芭蕉科の青々とした広い葉っぱが茂っている。
バナナもうまいが、せっかくあるのだからこの葉っぱを使いたい、というのはしばらく前から考えていた。
昨日買い物に行って肉屋に行ったときに、突発的に豚もも肉を2ブロック買ってきた。
およそ 1Kg 。
昔テレビの旅行番組で見た、どこかの地域の料理を作りたい。
地面に穴を掘って焚火をし、
2時間ほどたつと蒸し焼きになっているので、それを食べるのだ。
具体的にはカルアピッグ、と思った。穴を掘って焚火は、いつかやりたい夢ではあるが、今回は圧力鍋で蒸す。
実際、現代的にはこちらの調理法の方が普通なようだ。
ネットで作り方を調べたが、伝統的な素朴な料理なだけに、作る人によってレシピはまちまち。
あまり気にせず適当にやることにした。
材料:
バナナの葉2枚、豚もも肉2ブロック、塩。
豚もも肉はフォークでめった刺しにしてから塩をたっぷり擦り込む。
そのまま2時間ほど置いて馴染ませる。
それから、バナナの葉でくるんで…バナナの葉は細長いし、折れやすいので1枚で綺麗にくるむことは難しい。
2枚の葉で、縦横2方向にくるんだ。
圧力鍋に水を少し入れ、蒸し調理用の板を入れ、バナナの葉でくるんだ豚肉を置く。
このまま、圧力をかけて弱火で 20分。煮物なら 10分で十分だが、蒸すのだと火が通りにくいと考え長めにした。
圧力が抜けるまで5分ほど待ち、蓋を開ける。
バナナの葉の良い匂い。竹の皮と同じような匂いだ。
熱いうちに肉を細かくほぐす。
熱いので大きなフォーク2本で行ったが、難しいというか、うまく力が入らずもどかしい。
途中から手づかみでほぐした。指先は熱いので時々休みながら。
鍋の底に最初に入れた水は、肉から落ちた油でいい感じのスープになっている。
ほぐした肉はスープに入れ、よく味を吸わせる。
食べるときは、肉部分だけスープから引き上げ、さらに盛って提供したり、この肉でさらに別の料理を作っても良い。
スープもうまいので別の料理に使うと良い。
バナナの葉の良い香りが付くことを期待したのだが、香りは特に感じない。
ということは、バナナの葉が無くても、豚肉を蒸してほぐせばカルアピッグだな。
周囲の葉っぱもおいしく食べた記憶があるのだが…と思ったら、先ほど調べたところ、それはラウラウという別のハワイ料理だった。
こちらは、豚バラ肉を食べやすいサイズに切ってから、里芋の葉でくるんで、さらにバナナ等の葉でくるみ、地面の中で蒸し焼きにする。
里芋の葉は食べるための食材、バナナの葉は、食材に土がつかないように守る役割だ。
そして、ポイも作ろうと思って材料を買ってきてあった。
ポイはタロイモのペースト。日本ではタロイモは入手が難しいが、近縁種の里芋で作ってみよう。
実は、カルアピッグと先に書いたラウラウを混同していたわけだが、ラウラウはポイと一緒に食べると美味しかったので作ろうと思ったのだ。
里芋を茹で、皮をむき、小さく切る。
この後、本来は水を加えながらペーストになるまで潰していくのだが、ミキサーでやってしまおう。
以上、出来上がり、ミキサーでやったら、少し粒状感が残る。
滑らかなペーストになるのが理想。
ポイは主食だが、作るのは重労働だったようで、昔は男が数日分まとめて作っていたようだ。
出来立てでも食べるが、数日置くと発酵してしまう場合もある。
そのため、現代的には通常発酵させてから食べるのだが、素人が発酵料理を作るのは危険なのですぐ食べる。
過去にハワイで食べたときには、発酵食品だとは知らなかったので、ピリピリとした味を「タロイモの消化酵素が残っているのではないか」と推察しているね。
これは間違いで、発行して炭酸ガスが発生しているので、ピリピリするようだ。
そんなわけで、カルアピッグとポイが出来上がった。
作ってすぐに家族で試食。皆美味しいと評判が良い。
もっとも、結構手間がかかっている割には素朴な料理で、また作るかは微妙なところ。
急に作ってみたくなって作っただけで、昨日の晩飯はこれとは違うものにした。
そのため、大半はまだおいてある。
今日は日曜日で、久しぶりに家族そろって晩飯が食べられるのでそこで提供しよう。
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