忙しくて時間が空いてしまった。
これから書くのは、春分の日、3月21日のこと。
コロナ禍の直前、長男が高校受験のため、家族旅行などは余り行けなかった。
そのままコロナ禍、さらに昨年は長男の大学受験、長女の高校受験で、やはりあまり出かけられていない。
長男は、今年受けた大学は全部受かったのだが、もう一年取り組んでさらに上を目指すことにした。
なので、来年も余りでかけられないかもしれない。
じゃぁ、今のうちにちょっと遊びに行こう。
いろいろ考えると、春分の日の休みしかタイミングがない、と気づいたのは2日前。
どこ行こう。
慌てて家族で話し合うが、とにかくちょっと気晴らしで外に出られれば良いのだ、ということで、比較的近い城ヶ島に行ってみることになった。
以前から行ってみたかったのだけど、行ってなかったのだよね。
子供が小さいうちは、そちらの方面に行くなら、近くにある「ソレイユの丘」とか「京急油壷マリンパーク」の方が受けが良かったから。
しかし、今なら城ヶ島は楽しめるように思う。
城ヶ島は、地学的に非常に面白い。
大学時代に地学を専攻していた妻は、せっかく近所なのだからと、以前から行きたがっていた。
遊園地みたいな面白さではなく、学術的な面白さは、前知識が必要だ。
時間がなかったが、ネットで調べる。
早稲田大学の学生が、授業で作成したらしい、三浦半島の地学の面白いポイントをまとめた PDF を見つけた。
なるほど。城ヶ島以外もいろいろ面白そう。
もし時間があればもう一か所くらい回るのも良い、と思いつつ、多分時間はないだろう。
この PDF は、自分の Ideapad duetに入れて持っていくことにする。
特に、京急ホテル南側にあるという断層は見所だろう。
前日夜に子供たちにこの PDF を見せたところ、次女が「資料集に載ってたやつだろと思う」と、中学の理科で使っている資料集を持ってきた。
たしかに、おなじ場所と思われる写真が載っていた。
全国の学校の授業で使われているというのは、やっぱ見所なのだろう。
横須賀市自然人文博物館が、YouTube で、三浦半島の地学について解説ビデオを公開していた。
調べると、行く途中にちょっと寄り道したら、この博物館に行けそうだ。
事前知識があった方が面白いので、寄っていこう。
当日は朝8時出発。博物館まで1時間くらいの予定で、博物館は9時オープンだから。
で、博物館については今回の日記の本題ではないので、多くは書かない。
ただ、素晴らしかったとだけ記しておこう。
でも、地学要素は思った以上に少なかった。もう少し説明していると思っていたのだけど。
入場料がいると思っていたが、無料だそうだ。博物館に入った場合、駐車場も1時間無料。
次の目的地があるので、速足で内容を全部見たのだが、1時間以内だった。
「もっとゆっくり見たかった。また来よう」と家族全員の意見がそろった。
さて、途中は端折って城ヶ島。
駐車場は何カ所かにあるが、京急ホテル南側の断層というのは、西端にあるようだ。
なので、一番西の駐車場に停める。
その後で気づいたのだが、城ヶ島では、一日の間に何度も駐車場を出し入れして、何時間留めても、450円。安い。
少し歩いて、最初の目的地「長津呂の磯」(ながとろのいそ)を目指す。
磯が見えて、ちょっと驚いた。
写真などでは見ていたのでどういう場所かは知っていたのだけど、思っていたよりずっと広大だったのだ。
地層が横倒しになり、地面に広がっている。
波に侵食され、縞模様を作っている。
いわゆる「鬼の洗濯板」と呼ばれるような地形なのだけど、凄く広かった。
岩場を観察しながら、どんどん西端を目指す。
京急ホテルは、先日営業を停止して解体中らしい。
とすると、この先に見えている工事現場がそれだろう。
その南側が目的地なので、もう少し先に行かねばなるまい。
途中で急に、次女が「多分ここら辺」と、持ってきていた資料集を見始めた。
電柱の位置と、灯台の位置を見ると確かに似ている。
しかしもう少し離れた場所だな…と移動してみると、目的の断層があった。
写真でもわかりやすい断層なのだが、写真に入りきれないほど大きい、というのも現地で初めて気づいた。
これは、実際に自分の目で見る価値がある。
特徴的なリップルマーク(水の流れの跡)みたいのがあるな、と思っていて、この時は子供にそう説明してしまった。
しかし、いま早稲田のまとめた PDF 見たら違うね。火炎構造と呼ばれる模様で、下の層より上の層が重いために侵食してできた、と書いてある。
いずれにしても、特徴的で面白い模様。
この後もしばらく磯遊び。
他の兄弟に「水に落ちないでよ」と注意していた次女が、真っ先に水たまりに足を突っ込むなど。
(結局3人とも、それぞれの理由で靴を濡らしたのだが)
一旦駐車場近くの商店街に戻り、昼ご飯を食べる。
時間は1時過ぎ。実は、駐車場に止めたころが12時ごろで、どこの食堂も混んでいたので後にしたのだ。
商店街から少し離れた、人通りの少ないところに「しぶき亭」という店があった。
建物も新しくて清潔感があるのでそこに入って食べる。
人少ないし、場所悪いし、建物新しいし、最近できた店なのかな…と思っていたら、この日記を書く際に調べて「有名な老舗」だと知った。
ただ、コロナ禍で客が減ったので一度閉店して、新築して再オープンしたのだそうだ。
家族五人で頼んだもの。
マグロ丼(次女)、いかさし丼(長男)、それらが半分づつのミックス丼(妻)。
マグロカツ定食(長女と僕)。
せっかく三浦半島まで来たのだからマグロ食べたい、と思っていたので、大満足。
美味しかった。
食後に、客席係のおじいさんが、三浦大根を一本くれた。
(そういえば、料理にも全部、大根と大根葉の浅漬けがついていた。これもおいしかった)
磯遊びしているときに、遠くに馬の背洞門が見えた。
これも、城ヶ島の有名スポット。
次はあそこへ行こう。島の東側からハイキングコースを通っていける、ということなので、車で東側の駐車場に移動。
最初、僕が間違えて、東端の城ヶ島公園に入ってしまい、勘違いに気づいて戻る。
ハイキングコースの途中には、ウミウ展望台がある。
ウミウは、県の天然記念物になっていそうだ。
ここから見える崖も、地学的に面白いそうなので見る。
…正直、それほど面白さはない。下の方に初声層、という地層があり、ここが削られた後で、上部に関東ローム層ができているのが見えるのだそうだ。
なるほど。言われてみれば地層の模様が下側にえぐれている部分があるが、断層のようにわかりやすい派手なものではない。
さらに歩けば、馬の背洞門。…の、上側に出る。
本当に真上は、危険なので立ち入り禁止。
馬の背洞門は、海の浸食で崖が削られて、大きな穴が開いたところ。
上の部分が、わずかに繋がっているので「穴」になっている。
これが崩れたら、陸側と海側に、それぞれ岩が立っているだけだな。
自然にこんなものができるのはすごいな、と思うが、妻曰く、「すごいと思うが、ただ削られただけで、地学的に面白いところはない」とのこと。
でも、見た目のすごさは重要。いわゆる「映えスポット」で、多くの人が記念撮影していた。
…のみならず、ウェディングフォトを取っているカップルも、「この場にいるだけで」5~6組。
入れ替わり立ち代わり、別のカップルが来ている。ハイキングコースを歩いているときにもすれ違った。
コロナ禍で披露宴とかやりにくいので、結婚の報告を写真で行う例増えてるんだよね。
この日、少し雨が降っていて、山道はぬかるんでいた。
貸衣装屋さんは後で洗うの大変だろう、と妻がいらぬ心配をしていた。
ここで妻が、僕の Duet に入れてある PDF を見せて欲しい、という。
しばらく眺めて、「ここだ。ここ行きたい」と言ったのは、城ヶ島公園の東端にある磯。
実は、地学徒に非常に有名な場所はここなのだそうだ。
城ヶ島の紹介では必ず出てくるので、城ヶ島に行けば当たり前に行けると思っていたら、どこに行っても違うから今調べていた、とのこと。
城ヶ島公園は、先ほど少し入り、勘違いだと分かって引き返した。
でも、もう一度一番端の、安房崎まで行く。
ここの地層は、初声層(ウミウ展望台でも下側に見えた層)と、三崎層が、重なった上で横倒しになっているのだそうだ。
しかも、下側にあるはずの三崎層は、上にある初声層に斜めに削り取られている。
その境界には、礫(小さな石)が沢山みられる。
三崎層の上で大きな海底地すべりがあり、その上に初声層が堆積した、ということらしい。
そのダイナミックな動きが地層に現れているので、ここは有名。
…らしいのだけど。正直よくわからん。
それぞれの地層は、はっきり色も違って分かりやすいらしい。乾燥していれば。
でも、この日は雨が降ったりやんだりしていて、全体に濡れていた。
そのせいで、地層の違いがよくわからない。
(と言っても、せっかくだから散々探してそれらしい場所は見つけたのだけど)
PDF 改めて読むと、城ヶ島の外側の三浦半島の地層と比べた際に、「地層の位置が逆転している」というのも見どころらしいですね。
それだけ、地層をねじる大きな力が働いた、ということ。
でも、これは城ヶ島だけ見ているとわからない。
そろそろ戻ろうとしたところで、公園内のアナウンスがありました。
時間は4時半。5時には駐車場は閉鎖なので、帰り支度を促すものでした。
そういえば、公園の端に灯台が立っています。先がとがった白い灯台で、地面付近は緑色のグラデーション。
「三浦半島でとれる新鮮な野菜をイメージ」だそうですが…。つまり、三浦大根だよね。
大根をさかさまに立てたイメージの灯台。なかなか面白いです。
駐車場は閉鎖、というのでこの日はこれでおしまい。
もう一つ見たいのあったのだけど…地層全体が褶曲(曲がりくねっている)するのではなく、1つの層だけが褶曲する「スランプ層」というのがどこかにあったらしい。
改めて調べたら、昼ごはん食べた、しぶき亭の近くだった。
下調べ不足。気になるものをチェックするだけでなく、ちゃんと見る順番も考えておくべきだった。
帰り道、かっぱ寿司三浦店に入って、美味しい三崎の海の幸を堪能しました。
回転寿司でも、魚がおいしいところの店は美味しい。と思う。
20年くらい前に入った三崎漁港近くの回転寿司屋が、安いのにすごくおいしかったの。
本当はそこに行こうと思っていた。
でも、ネットで調べても、そこに寿司屋はありませんでした。
まぁ、20年も経つと、店が無くなっても当然よね。
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