表題の通りの不具合の修正方法なのだけど、同じ症状で困っていて解決方法を探している人は、行の頭が ▼ で始まる部分まで読み飛ばしてください。
今回書きたいのは「解決方法」ではなくて、その過程が面白かった記録なので。
長女が、PC がネットワークに繋がらなくなったと言って助けを求めてきた。
僕の前にすでに妻に相談していたらしいのだが、妻が解決できなかったので僕に回ってきた。
妻もそれなりに PC の知識はあるのだが、そこで解決できていないのだから、初心者向けのトラブルではない。
最初は WiFi の設定が OFF になっただけでは、とか思ったのだが、そんな簡単ではなかった。
見た目の上では、「WiFi 接続はできるが、その WiFi にネットワーク接続がないと言われる」状態。
リブートしても治らないので、いろいろと情報収集。
少し前に Windows 11 のアップデートである、22H2 がインストールされていた。
しかし、話を聞くと、インストール直後は問題なくネットワーク接続できていたという。
どこかでおかしくなったのだろうが、それが何かわからない。
22H2 でネットがつながらなくなった…というキーワードで google 検索。
しかし、20H2 でネットがつながらくなった、という情報が多数見つかるが、22H2 の話はない。
また、20H2 の時の対処法を試してみようとしても、最初から違う。
20H2 の時は「ネットワークのプロパティを開き、接続をプライベートに」が初手だったようなのだけど、ネットワークが接続できていないためか、プライベートかパブリックかの設定選択肢が表示されない。
もしかしたら 22H2 でこの設定なくなった?
とまで思ったのだけど、後でわかるがそうではなかったようだ。
ネットワークがプライベートかパブリックかは、「ネットワーク」に属する設定なので、たぶんネットワークに接続できない状態では表示されないのだ。
しばらく悩んで、問題の切り分けを試みる。
WiFi にはつながらないようなので、自分の携帯電話に Bluetooth テザリングしてみる。
ちなみに、携帯電話は WiFi に繋がっているので、通信料金がかかるようなことは無い。
これは、問題なくネットワーク接続できた。
ということは、WiFi 関連がおかしくて、インターネット接続自体はおかしくないのだろう。
WiFi のドライバを一度削除すると、次の起動時に勝手に再インストールする、という情報を見つけるが、ネットにつないでいない状態でインストールができるのかよくわからないので保留する。
(多分、システムディスク内のドライバから適切なものを選ぶだけだと思うが)
Bluetooth のテザリングで、通信のどのレベルの階層が使われているのかわからない。
インターネットの通信は、いろいろなレベルで階層化されており、状況に応じて交換可能だ。
たとえば、WiFi はイーサネットケーブルの代わりを行うものだ。
では、Bluetooth テザリングも、イーサネットケーブルの変わりなのか?
それとも、もっと上の IP プロトコルの代わりくらいまで行っているのか?
問題を切り分けたいと思ったのに、その切り分けの範囲がわからず悩む。
ここで少し、ネットワーク知識のお話を。
インターネットで通信を行うとき、この通信は非常に多くの「層」を経由して行われている。
一般的には7層あることにされているが、これは後付けで整理したものだ。
本当は、もっとぐちゃぐちゃとして、混然一体として、綺麗に切り分けられるものでもない。
しかし、この切り分けをうまく使えば、層ごとに別のものに交換が可能だ。
一番下は「物理層」。昔は、ネットに接続すると言えば、イーサネットケーブルを使うものだった。
しかし、電話回線を使うこともできたし、今では WiFi もある。
携帯電話の電波を使ってネット接続するのも普通のことだ。
全然特性が違うのに、どれを使っても同じように通信できるのは、物理層が「どのようなことができればよいか」が規定されていて、その規定を守れば交換可能だからだ。
物理層の上には、どのように送受信を行うか、という規定を行っている、ネットワーク層がある。
その上には、ネットワーク層を使ってどのように「意味のあるデータのまとまり」を送受信するか、という規定を行う、トランスポート層がある。
これより上は、クライアント・サーバ間の取り決めだ。セッション層という。
例えば、Web ブラウザで Web サーバにアクセスする、というのはセッション層だ。
先に Bluetooth のテザリングで、Web アクセスできるのは確認した。
これは、セッション層より上は問題ないらしい、という問題の切り分けを行ったことになる。
しかし、その下のどこがおかしいのかは、よくわからなかった。
情報を求めて、Windows の設定画面やドライバ画面をいろいろ見て回る。
どこだったか忘れたが、「ネットに接続できていない」にもかかわらず、Windows マシン自身の IP アドレス表示が行われた。
(ネットワーク設定画面には表示されていない。ネットに接続できておらず、IP アドレスはないためだ)
この IP アドレスが、我が家のローカルネットワークのものではなかった。
IP アドレスがネットワークのものと違う場合、そのマシンはネットワークに「物理的には接続している」にもかかわらず、トランスポート層での通信を行うことができない。
通常、IP アドレスは自動設定されるのだが、うまく行っていないのか?
と考え、WiFi 接続設定の画面で、ネットワークの設定を手動で行ってみる。
マシンに仮に固定 IP アドレスを設定し、ネットマスクとデフォルトゲートウェイとプライマリ DNS サーバを設定。
今度は、無事ネットワークに接続できた。
どこに問題があるかは判明した。DHCP だ。
先ほど、ネットワーク階層のどこに問題があるかを切り分けようとしていて悩んでいたのだが、DHCP はそれらの階層とは違うところにある。
あえて言うならばトランスポート層なのかなぁ。トランスポート層の設定を自動的に行ってくれる仕組みなので。
しかし、これは「設定を行う」という仕組みで合って、トラブルが起きてもトランスポート層のトラブルというわけではないのだ。
先ほど書いたが、ネットワークは7階層から成っている。
そして、インターネットにも使用されるトランスポート層である、「インターネットプロトコル」接続では、設定がなかなかにややこしい。
もっと厳密にいえば、インターネットプロトコル ver 4 、略して IPv4 の設定がややこしい。
歴史的経緯により、後から機能が足され続けてきたからだ。
(ちなみに、IPv6 というプロトコルもある。いつかは v4 に変わる予定だったが、一長一短あって今は共存状態だ)
そして、IPv4 のややこしさを解消すべく、DHCP という仕組みが作られた。
DHCP は、ややこしい IPv4 の設定を自動で行ってくれる。
さて、今回どうやら Windows が DHCP を利用する仕組みにバグがあったようで、自動設定がうまく行っていない。
そのため、ネットワークにうまく接続できないのだ。
▼問題の解決方法
冒頭から読み飛ばしてきた人は、ここから読み始めて欲しい。
さて、問題が DHCP だと分かったところで、再度検索。
今までは「ネットワークに繋がらない」とか、ふわっとした検索語句だった。
しかし、「Win11 22H2 DHCP trouble」で検索すれば、このことを書いた英語ページが多数見つかった。
なるほど、やはり 22H2 で、DHCP の設定ができなくなるバグがあったらしい。
で、気になる修正方法は、「すでに修正アップデートがあるので、アップデートすること」。
なるほど。ネットワークにつなげないトラブルを解消するために、ネットワークアップデートが必要。
先に書いたように、DHCP による自動ネットワーク設定ができないだけなので、IP アドレスやネットマスクなどの設定を手動で行えば、ネットワークには接続できる。
恐らく、それなりのネットワーク知識がある人でないと設定できないけど。
設定方法などは、ネットワークにより異なる、としか言いようがない。
だって、「ネットワークごとに異なる」部分の設定を行うためのものだから。
今このトラブルで困っている人は…頑張ってください。
問題点と解決方法は示しましたが、解決のための「設定パラメータ」はどこかから入手する必要があります。
長女のマシントラブルの場合は、でアップデートで無事修正された。
22H2 へのアップデートの後、「数日後に」問題が出たのだけど、この数日は大丈夫だった、というのは謎。
何らかの理由による「猶予期間」があるかもしれないのは事実なので、22H2 にアップした人は、すぐに追加のアップデートがないか確認しましょう。
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