あ、ちょうど2年前ではないか。
ちょうど2年前、BABA IS YOU というパズルゲームを購入した。
ゲームの説明は、上のリンク記事で。
2年たって、やっとすべての面をクリアできた。
…いや、厳密にはまだ終わっていない面もある。
「マップコンプリート」で「THE END」の状態に持っていけた、というのが正確な説明で、一応ゲームの目的は果たしたことになるのだけど、まだやることは残っているから。
パズルゲームは好きなのだが、このゲームは普通のゲームとは違った。
2年もかかったのは、もちろん難しかったからだ。
ただ、「難しい」のかというと、そうでもないように思う。
普通のパズルなら、「難易度」というような指標が、なんとなくではあるが存在する。
しかし、BABA IS YOUはそういう尺度に当てはまらない気がするのだ。
難易度が普通は数値で示せるとしたら、なんか虚数軸方向に伸びてしまった感じ。
パズルゲームのネタバレをするわけにはいかないので、別の話で例えよう。
ファミコンの初代「ゼルダの伝説」には、「裏」と呼ばれるステージがある。
エンディングを迎えたものが遊べる、もう一つのゼルダの伝説。
ここに、今でも感心するギミックが用意されていた。
ゼルダの迷路には、明らかに「なにかある」と分かるのに、入れない部分がある。
これは、隣から爆弾を使って壁を壊すことで、入れる。
これはもう、ゼルダを遊ぶ上での常識だ。長い旅を終えて、エンディングを迎えたものにとってはそうなのだ。
にもかかわらず、「裏」では、絶対に何かあるのに、散々周囲の壁に爆弾を仕掛けても入れないところがある。
これ、プログラムを作ってあるにもかかわらず、「裏」になるまで登場しない新ギミックなのだ。
壁に向かって歩き続けると、すり抜けることができる。
「壁は爆弾で壊すもの」という常識を作り上げておいて、その常識とは違うことを求める。
「裏」は、面データなどが変わっただけのゲームだと思って遊び始めていたら、ここでまさかの新ギミック登場なのだ。
常識というのは、視野を狭くする盲点でもある。
こういうことをされると、なかなか正解に辿り着くことができない。
BABA IS YOU は、こんなことの繰り返し。
パズルなのに、ある面で使った解決方法はほかの面で役に立たない。
それどころか、「常識」を形成された後で、それを疑わないといけないような面を用意される。
だからなかなか正解にたどり着けない。
一週間も同じ面で悩み続けていると、全然 BABA IS YOU を遊んでいなかった妻が横から「こういう風にすればいいんじゃないの?」と、常識外れの解法をよこして、それが正解だったりする。
なんか、難しいとかそういうゲームじゃないのだ。
ゲームの根底にある常識を疑わないといけないのだけど、遊んでない人には常識が形成されていないから簡単に解けたりする。
こんなのが、200面以上ある。
まぁ、2年間 BABA IS YOU ばかりをやっていたわけではない。
忙しくて一切ゲームをやってなかった期間もあるし、サクナヒメやグノーシア、GOLF STORY なんかを遊んでいた時期もあった。
(GOLF STORY については日記に書いた気がしていたが、書いてなかったようだ。
面白かったけど、人に勧めるほどのゲームではなかったからな…
サクナヒメは、すごく話題になったゲームなので、わざわざ僕が書く必要はないと考えて書かなかった。)
しかし、他のゲームを遊んでいても、一息ついたら BABA IS YOU に戻ってくる、という感じだった。
2年前の紹介記事にも書いたのだけど、内容をちょっとおさらい。
基本的には、倉庫番タイプのパズルゲーム。何らかの「物体」を、主人公キャラで押したり引いたりしながら面クリアを目指す。
ただ、この「物体」として重要なものに、「単語」があって、単語を組み合わせることでゲームのルールを変更できる。
主人公も、面クリア条件も、障害物も、ルール組み換えの対象だ。
最初の方の面は、この組み換えの楽しさを知ってもらうためか、大味な面が多くなっている。
面クリアの方法で「別解」がいくつでも作れたり、画面上に主人公を大量発生させて、数の暴力で障害を乗り越えたり。
でも、こうした過程でゲームのルールを把握したころには、本格的なパズルゲームになっていく。
なにせ、200以上ある面で、「同じような解き方」の面がほとんどないのだ。
ある面で使った方法は、別の面では役に立たない。
遊ぶ方にも歯ごたえのあるゲームだが、それほど多くのパターンを用意した作者側に舌を巻く。
倉庫番なら、ルールの中で「荷物を動かすルートを考えて」「そのルートを確保する手順を考える」というような思考で解くことができる。
しかし、BABA IS YOU は上に書いたように、ルールが書き換えられてしまう。
目指すべきゴールがどこにあるかもわからない状態にされて、ゴールから逆算して考える、ということもできない。
それでも、「何がゴールとなるべきか」も、遊んでいるうちにだんだんわかってくる。
面ごとにゴール条件は異なるとは言っても、「主人公に設定されたオブジェクトが、ゴールに設定されたオブジェクトに重なること」という基本は変わらないのだ。
ゴールが分かれば、そのゴールを実現するためのオブジェクトの動かし方を考える段階に入り、倉庫番と同じような方法で解ける。
しかし、BABA IS YOU にはもう一段階先の難しさがある。
ルールを作る「単語」は時々追加され、その単語の意味をゲーム中で十分に把握する必要があるのだ。
ここで、先に書いたような「常識」の形成が…ミスリードするように行われる。
間違った常識は、ゲームの障害になる。
先に「ゴールが分かれば」、後は解ける、と書いた。しかし、間違った常識により、この過程が阻害されるのだ。
オブジェクトは、常識外の動作をする。
常識外なので、最初は「これ、バグじゃないの?」とすら思う。
だけど、バグじゃないのだ。間違っていたのは自分の常識の方。
試行錯誤の末にクリアして、常識が上書きされ、より正しいルールを理解できるようになる。
もちろん、そんな面ばかりではない。そこまでに作られた常識をうまく組み合わせるだけで解ける面も多い。
…もっとも、「うまく組み合わせる」のが難しいのだけど。
まぁ、作った側も「難しい」だろうことは予期しているのだろう。
全ての面を解かないでもよいようなゲーム構成にはなっている。
面は、様々な「テーマ」ごとにエリア分けされていて、エリア内の半数くらいの面を解くと、次のエリアが表示されるようになっている。
エリア内の面も、解けないならあきらめて、別の面を試せるようになっている。
だから、先に進む目的では、実はそれほど難しいゲームではない。
僕が2年もかかった、というのは、あくまでも「マップコンプリート」を目指していたため。
先に書いたエリア内の面を全部クリアすると「エリアコンプリート」となり、用意された全部のエリアをクリアすると「マップコンプリート」になる。
つまりこれは、基本的に用意された面の全面クリアを意味する。
そう、「基本的に」用意された面しか、まだクリアできていない。
ゲーム上、たくさんの「隠し面」があるのだ。
隠し面は、ゲーム上のいくつかの面で、「ゴールする」以外のことを行うことで現れる。
…いくつかの面には、面を解く以外にも、まだやることがあるのだ。
詳細を書くと、その方法を見つけたときの衝撃を奪ってしまうので書かないけど。
この「別のことをする」のも、面ごとにやるべきことが異なる。
でも、気づいてしまえば、やるべきことは見えてくるように作られている。
そうなった時に、もっと大きな別のパズルの存在に気づくだろう。
…驚かされっぱなしのゲームだ。
こんな飛びぬけた発想のゲームを良く作った、と思うし、その「発想」が、発想どまりにならずに高いレベルでまとめ上げられていることが素晴らしい。
なんかもどかしい書き方になっているな…パズルだからネタバレしてはつまらない。
パズルゲームが好きな人には、非常にお勧めなゲームだ。
ただし、完全に自分の力で解こうと思ったら、すごく時間がかかる覚悟は必要だ。
どの面も、「解けた」瞬間には驚きがある。
その驚きこそが楽しいゲームなので、時間をかけても攻略サイトなどを見ずに解くことをお勧めする。
先に書いたように、僕もまだやるべきことを残している。
…そして、先日「追加面」が無料配信されたんだよね。
主に「開発中で没にした面」を揃えているようだけど、また 200面以上あるらしいですよ。
こちらは没にした面、というだけあって、本編を知っていると楽に解ける面も多い。
とはいえ、そこは BABA IS YOU だ。没面でも驚くような解き方が多い。
追加面はまだ少ししか遊んでいない。先は長そうだ。
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