グノーシア、というゲームについては、購入して少し遊んだ時点で一度書いている。
我が家では、家族全員が気に入って繰り返し遊んでいる。
いち早く「完全クリア」した長女は、その後もわずかな暇があるときに遊び続けている。
(まとまった時間があるときはスプラ2やるとか、使える時間に応じてゲームを変えている。
グノーシアは、1回5分程度から遊べる)
さて、僕も少しづつ遊び続け、年末年始の休みでやっと完全クリアに至った。
やはりいいゲームだった。感想を書いておこう。
ここで「完全クリア」と書いてあるのは、単にエンディングを見たのではない、という程度。
本当は、きっとまだ「完全」ではないだろう。
グノーシア自体は、人狼を元にしたゲームだ。
閉鎖された宇宙船内で、人間に感染し、人間に敵対する「グノーシア」と多数決で戦うゲーム。
見た目は人間と変わらないため、外見からは判別できない。
ただし、船に一人だけ乗り込んでいる「エンジニア」は、船が空間転移…定期的に行われる、ワープ航行の際の特殊な状況を利用して、一人だけグノーシアかどうかを検査できる。
しかし、それで誰がグノーシアかを確定できるのは、当のエンジニアのみ。
グノーシアは「嘘をつく」ことができるため、エンジニアを名乗って情報を混乱させる。
本人以外は、情報が本物か偽物かもわからない。
ゲーム上、5回の「話し合い」が1ターンで、ターンごとに投票して一人の「コールドスリープ」を決定する。
ここは人狼に比べて穏やかなところ。人狼では投票で「処刑」するのだが、眠ってもらうだけだ。
そして、コールドスリープ状態にあるものは、これも船で一人だけの「ドクター」が検査して、人間かグノーシアかを判別できる。
もちろん、ドクターを名乗って情報を混乱させるグノーシアもいる。
グノーシアも、ただやられるのを待つだけではない。
ターンの最後に、一人だけ「消滅」させることができる。
空間転移の際の特殊な状況を利用し、人間を一人、完全に消し去るのだ。
このほか、絶対に人間であると互いに保証できる、二人一組の「留守番」、人間だがグノーシアを崇拝し嘘をつく「AC主義者」、存在していることが異常で、最後まで残ると宇宙を崩壊させる「バグ」など、いくつかの役職があり、それらの存在が状況を複雑にする。
ただし、ここまでは単に舞台や役職名を置き換えただけの人狼にすぎない。
グノーシアには、ストーリーがある。
いや、ストーリーと言ってよいのかどうか…世界観、という方が良いかもしれない。
グノーシアとは何なのか。なぜ人間に敵対するのか。
なぜ、どうやって人間を「消滅」させるのか。
1回のプレイは、グノーシアを全員眠らせて人間が勝利するか、もしくはグノーシアが過半数を占めて船を乗っ取るかで終わる。
しかし、時々この世界についての情報の断片を入手できる。
それは、登場人物の生い立ちだったり、全く意味の分からない…でも、すべてが明らかになった時に納得できるイベントだったりする。
少しづつ違う設定で繰り返し遊ぶことになるのだが、これも「そういう世界観」の一部だ。
プレイヤーと、もう一人の重要キャラクターだけが、並行宇宙を彷徨い、繰り返し同じ時間を過ごす能力を持っているのだ。
なんで? その能力は何のためにあるの?
それも謎の一つになっているが、ストーリー上やがて解き明かされる。
そして、多少ネタバレになってしまうが、「際限ない繰り返し」から脱出することが、ゲームクリアの条件となる。
それを達成するとエンディングが流れ、「1周目」のクリアとなる。
…のだけど、先に「完全クリア」と書いた通り、1周目クリアは完全クリアではない。
まだ謎がたくさん残っているし、ひとまずのエンディングではあるが、未解決問題も残っているのだ。
またネタバレで申し訳ないが、プレイヤーがゲームを始めるときに、性別を選ぶことができる。
ゲーム上性別はほとんど関係ないのだが、ストーリー上わずかな影響を与える。
このため、すべてを知ろうと思ったら、少なくとも2周クリアする必要がある。
(性別は三種類。男、女、汎、になっている。先にクリアした長男によれば、汎専用のイベントは用意されていないらしい)
そして、2周目をすべて終わらせる前のどこかで、1周目で未解決だった問題が解消される。
これが本当のエンディングだ。
すべての伏線が収束して綺麗に閉じる。
まぁ、ゲームとしての面白さを優先しているので、ストーリー的な荒さは多少あるのだけど。
実は、子供のプレイで先にこのエンディングは見てしまっているのだけど、自分で見るとまた違った印象になった。
それまでの過程…断片情報の積み重ねによる世界観の把握があるかどうかで、意味合いが変わってくるためだ。
なので、多少のネタバレがあってもこのゲームは楽しめる。
家族で遊ぶのにもお勧め。
さて、人狼面倒くさそう、という人向けに、このゲームが人狼と違って面倒くさくはないことを書いておこう。
相手が人間ではなく、コンピューターの動かすキャラなので自分のペースで進められる、というのは大きな要素の一つだ。
これは遊び始めてすぐの日記でも書いた。
でも、それ以上に、本物の…対人の人狼とは違う気楽さがある。
ゲーム進行に伴い、自分の能力があがり、使えるコマンドが増えるのだ。
対人の人狼では、「なんか嘘くさいな」と思っても確証を持つことが難しい。
でも、グノーシアでは自分の能力値次第では、相手が「嘘を言っている」と気づくことがある。
確実に嘘をついている、と分かるキャラがいて、そのキャラと妙に仲の良いキャラがいれば、それがグノーシアのグループではないか、と芋づる式に見つけ出すことができる。
(グノーシアが複数人いる場合、グノーシア同士は誰が仲間か知っている)
もっとも、だからこそ人間なのに嘘をつく「AC主義者」などの配役もあるのだけど、AC主義者はグノーシアが誰かは知らないため、微妙な反応の違いで見分けられたりするのが、また楽しい。
コマンドも、最初の内は「疑う」「かばう」「同調する」などの簡単なものしか使えないのだが、能力が上がるにつれて「反論する」「同意を求める」「哀しむ」「絶対に敵だ」…果ては「土下座する」なんてものもあり、適切に使うことで楽にゲームを進められるようになる。
1回のターンは5回の話し合いから成るのだが、ある程度能力があがってからの僕の1ターン目はこんな感じ。
自分はエンジニアでやった場合。
・名乗り出ろ 留守番
・名乗り出ろ ドクター
・役割を明かす エンジニア
・人間だと言え
・(流れに任せて静観)
「名乗り出ろ」は、役割を持つキャラに、役割を明かすように指示するコマンド。
自分の能力値が低いと誰も名乗り出ないこともある。
(役割は重要なものなので、明かすことでグノーシアに消される危険があるため)
留守番は互いに保証する必要があるため、必ず「人間」2名が名乗り出る。
ドクターとエンジニアは、偽物も名乗りを上げる。
そして「人間だと言え」は、全員に「自分は人間だ」と言わせるコマンド。
グノーシアは嘘をつくことになるので、嘘に敏感な…自分も含め、能力値が高いキャラなら嘘を見抜くことで、グノーシアに気づくことができる。
自分がエンジニアの場合、この後怪しい人間を調べていくことになる。
もっとも、自分がグノーシアを知ったとしても、それを他のキャラに信じてもらうのが大変なのだけど…
ちなみに、上の戦略を十分に能力値がないことにやると、目立ち過ぎてグノーシアに狙われたり、怪しまれてコールドスリープさせられたりする。
逆に言えば「育てたキャラなら無双できる」のであり、一人用のコンピューターゲームらしい気楽さが、そこにある。
人狼が面倒くさいと思うような人でも楽しめる人狼。よくできている。
ちなみに、登場人物は自分を含めて15人。
コンピューターが担当する14人は、細かな性格付けができていて、同じような状況でも人によって反応が違ったりする。
この性格を覚えるのも、ゲームを勝ち抜くためのコツで、対人戦だったらそんな簡単にはいかないだろう。
(人間には当然性格はあるが、「こういう性格だからこういう行動をとる」と言えるほど単純ではない。
グノーシアはゲームなので、各人の性格による行動の違いはあるが、各人が予想外の行動をとることは少ない)
2周もやると、それらの性格付けも含め、キャラクターが愛すべきものになっていく。
最初の内は怖かった謎のキャラも、様々なバックグラウンドがあるだけで、みんな優しいいいやつなんだ。
何度も遊べるゲームシステム、よくできた世界観、綺麗に収束するシナリオ、生き生きとしたキャラクターの性格付け…
非常によくできたゲームです。
改めて、お勧めです。
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