2021年07月04日の日記です


251D 使用レビュー  2021-07-04 16:54:00  コンピュータ

QNAP の NAS TS-251D の導入だけで大変だった、という話を書いたが、ここからはやっと「本来やりたかったこと」を試した話だ。


旧機種 220 は、ARM CPU だった。これは家庭用 NAS としてはエントリーモデルだ。

この頃の「上位機種」は 251 だった。Intel CPU だ。


さて、220 の後継機種は 230 になる。そして、251 の後継機種は 251D だ。

今回、単純な後継機への乗り換えではなく、上位機種の乗り換えにもなっている。


220 と 251 は、当初同じ機能が提供されていた。ただ、251 のほうが動作が高速だった。

その後、新機能は 251 にのみ提供されたり、機能差が出来ていく。


僕が 220 を購入した最大の要因は、家族写真・ビデオの整理だった。

220 には「トランスコード」という機能があり、各種フォーマットのビデオファイルを、スマホや WEB でも見やすい mp4 に変換してくれた。


ところが、ある時の OS バージョンアップに伴い、このトランスコード機能が 251 だけの提供となった。

それまで使えていた機能が、ある日から急に使えなくなったのだ。



現時点で、230 と 251D には同じ機能が提供されている。

ただ、251D の方が「処理性能が高い」というだけだ。

(あと、251D は拡張可能だが、230 はそうではない)


しかし、以前の経験があるから、上位機種を買っておこうと思ったのだ。




ではそのトランスコード機能について書こう。

トランスコード機能は確かに使えるのだが、期待していた機能が入っていなかった。

かなり残念な結果だ。


我が家の家族ビデオの多くは AVCHD フォーマット(拡張子 MTS)で撮影されている。

220 にトランスコードが提供されていたときは、AVCHD は対応していた。


しかし、現在の 251D のトランスコードは、AVCHD は対応していない。


AVCHD は家庭用ビデオカメラでは広く普及している規格だ。

内容的にもそれほど特殊なものではなく、mp4 の一種に過ぎない。


ただ、mp4 というのは細かなパラメータが多い規格であり、ファイルの名付け規則やディレクトリの配置規則もない。

家電品としてはそこら辺が定まっていないと使いにくかろう、というので定めた程度の規格だ。


だから、それほど対応が難しい規格ではないはずだし、先に書いたように以前は対応できていた。

それなのに対応していないというのは…


じつは、220 が対応していた頃は「QNAPが」この対応プログラムを作っていた。

しかし、数多のビデオフォーマットに対応するのは大変だったようで、現在はサードパーティのプログラムを使って対応している。

(QNAP ユーザーは無料でインストールできるようになっている)


そして、このプログラムは AVCHD に対応していない。

QNAP が独自対応していた時は AVCHD に対応していたのだけど、数ではもっと多くの形式に対応できるサードパーティのライブラリは、完全な包含関係にはなかった、ということなのだろう。



とりあえず、対応してくれと QNAP に要望は出しておいたが、望み薄だと思っている。

多分そんな要望はすでに山ほど来ているだろうから。


このライブラリ、変換部分は ffmpeg にすぎないようなので、パラメータがいじれれば自分でも対応できるようなレベルの話なのだけど…



ちなみに、ファイルサーバーとして Windows からアクセスして、ファイルを直接見れば Windows のビデオ機能で再生できる。


ただ、一括管理ができず、不便というだけだ。




仕方がないのでビデオは諦める。

写真整理についてはどうか。


これについては、悪くない。


以前の 220 では、PhotoStation という WEB アプリが提供されていて、これで NAS に入っている写真を閲覧できた。

でも、この使い勝手はちょっと微妙なもの。悪くはないのだけど、Google photos に比べると使い勝手が悪い。


251D にも PhotoStation が入っていて、新機能なども追加されていたのだけど使い勝手は余り変わらなかった。

ちょっとがっかり…と思ったら、新しい写真閲覧ソフトとして、QuMagie というものが入っていた。


これが、Googe photos を強く意識した…いや、正直パクリのインターフェイス。

それがなかなか使いやすい。


AI による顔認識とか、写真に写っているものの認識とか、EXIF 情報の GPS 位置による場所の認識とかがあって、写真を自動分類してくれる。


顔認識の精度は、ちょっと微妙かもしれない。

というのは、うちの三人兄弟の幼児期の写真を区別できない場合も多かったから。


もっとも、顔だけ見ると親でも識別できないような写真ばかりだけど。

親は周りのシチュエーションで誰か区別できるのだけど、AI はそこまで出来ないので区別できないのは仕方がない。



まぁ、Google photos も有料化したとはいっても、当面の無料使用可能な容量があるので、当面は使い続けるのだけどね。




導入部分で書いていた、スナップショット機能について。

これ、すごく期待していた機能だ。


「大切なデータを守る」というのは簡単なのだけど、どうすればそれができるのか、という方法論は実は奥深い。


RAID は、ディスクの故障からファイルを守ってくれる。

でも、人間のうっかりミスで消してしまった、上書きしてしまった、などの事故からは守ってくれない。


Windows には、「シャドウコピー」という機能がある。

ある瞬間のディスクの状態を記録しておいて、いつでもそこに戻れるようにする機能だ。


ファイル1個単位でも戻せるのだけど、よく使われているのは「システムの復元ポイント」だろう。


こちらは、システムフォルダを丸ごとシャドウコピーしている。

Update などの前に自動的に作られ、その直後の再起動で失敗すると、自動的に以前の復元ポイントに戻ったりする。


同様の機能が、MacOS X でも提供されているし、Linux でも LVM の一部として提供されている。

そして、NAS のスナップショット機能も、この LVM を使用したものだ。


先に書いたように、Windows にも類似機能があり、NAS をファイル共有で見ると、Windows 上の通常のファイル操作で「以前のバージョン」に戻すことができる。


Windows の復元ポイントは 64個しか作れないが、QNAP の NAS は、256 作れる。

また、その残し方もかなり柔軟で、直近のものは1時間ごとのスナップショットを残すが、やがては1か月ごとにまとめたものを1年間残す…なんて設定もできる。


その仕組み上、こんな残し方をしていても HDD の容量はそれほど使わない、はずだ。

(まだ1週間程度しか運用していないので、1年続けたときの容量はわからない)


これは、ファイルの保全というより、うっかりミスに備える機能だと思っている。

なので、これとは別にバックアップを取る必要はあるだろう。




NAS は万全のバックアップ体制をとれるとして、個人使用のマシンのデータを NAS に効率的に送るにはどうしたらよいか。


以前は BunBackup を使っていた。Windows 用のフリーソフトだ。


でも、251D なら QNAP 公式の2つの方法が取れる。


1つは Qsync 。もう1つは NetBak Replicator 。

Qsync の方が後から作られ、高機能だというので試してみたのだが…これはなんか違うな。

僕が求めているのは NetBak Replicator の方だった。


まず Qsync の説明をしよう。

これは、MicroSoft の OneDrive とか、Google の GoogleDrive とかの、Windows 向けドライバと同様の動作を行う、QNAP の NAS 向けアプリケーションだ。


デバイスと NAS の間で、常にファイルの同期を行う。

複数台で同じ場所を同期していると、データの共有が簡単にできる。


でも、そのために保持しているパラメータは非常に多いようだ。

「同期をとる」って、案外厄介な作業だからね。


そのため、NAS のデータ置き場は、Qsync 経由でしか見られない。

勝手にファイルをいじられると、それだけで同期が破綻するためだ。


結果として、せっかく NAS にデータを集約しているのに、Windows のファイル共有などからでは、このデータにアクセスできないようになっている。


僕としては、NAS にデータを集約して、バックアップなどで万全の体制を保ちたい、というのが一番の要求だ。

複数 PC で同期をとりたいわけではないし、NAS で見られないのは魅力半減だ。


そこで、NetBak Replicator 。これは Windows の特定のディレクトリ以下のファイルを、変更があれば即座に NAS にバックアップするためのソフトだ。


一方的なバックアップであり、同期ではない。

そして、バックアップしたファイルは、ファイル共有から見ることができる。


先に書いたが、NAS にはスナップショットで過去のファイルでも取り出せるような仕組みがある。

これは、Windows からは、該当ファイルに対して「プロパティ」の「以前のバージョン」を見ることで簡単に取り出せる。


これで、個人所有の PC から NAS にデータを送り続け、バックアップする体制ができあがる。



ちなみに、スマホからは Qfile を使ってバックアップの設定ができる。

撮った写真を自動的に NAS に入れるように設定した。




まだ購入から1週間、まともに動くように(メモリを増設して)からは3日くらいしかたっていない。

なので、今のところレポートできるのはこれくらい。


でも、大体やりたい設定は終わった感じなので、後はこれらの設定がどれだけ「普段の動作を邪魔せず、スマートに」動いてくれるか、という程度だ。


ちなみに導入コストだが、当初予定していなかったメモリ増設なども含め、6万8千円ほどだ。

また6年半くらい使うとして、年間1万円程度のコストで、家族で使える 4T のストレージが入手できたことになる。


Google One ドライブなら、2T で年額1万3千円。

NAS の方がいろいろと便利な部分もあるし、悪くない買い物かな。



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