2020年02月27日の日記です


BABA IS YOU  2020-02-27 12:58:33  コンピュータ

中3の長男の受験は、先週中に終了した。


そこで、以前から僕が欲しかったゲームをやっと購入できた。

僕が遊んでいたら長男も気になるだろうし、受験終わるまで待ってたの。




BABA IS YOU。


1年くらい前に PC で発売されたゲームで、その時から興味を持っていた。

昨年末には Nintendo Switch で日本語版が出たので遊びたかったのだが、上に書いたような理由で我慢していた。



興味は持っていたのだが、基本ルール以外の情報があまり入ってこない。

というのも、これはパズルゲームであり、詳細を伝えるとネタバレになる恐れがあるためだ。



ここでも、読んでいる人が興味を持てるかどうかのぎりぎりの情報しか出さないようにしよう。

ネタバレすると困るから。




基本的には、倉庫番タイプのゲームだ。


主人公はマス目の中を動く。

障害物には、動くものと動かないものがある。

動くものは押せる。動くものの向こうに動かないものがあると、押せない。


倉庫番の場合、動くもの(荷物)が2つになっても押せなかった。

BABA IS YOU では、いくつでもいっぺんに押せる。



ところで、以前に僕はゲームに関する持論を書いたことがある。


ゲームのルールは、シンプルでなくてはならない。

しかし、状況は十分に複雑でなくてはならない。


ルールを複雑にすれば、当然状況も複雑になる。

しかし、それではルールに振り回されるだけで、楽しくないのだ。


すぐに把握できるほどシンプルで、それを駆使して複雑な状況を乗り切るのが楽しいのだ。


「倉庫番」は、過去に書いた日記でも、シンプルで複雑なゲームの代表として書いた。



しかし、BABA IS YOU は、シンプルといってよいのかどうかわからないんだ。


ルールはすぐに把握できる。上に書いたように、倉庫番と類似だ。

しかし、BABA IS YOU の特徴は、このルールの中で「追加ルール」を、ユーザーが自分で決められることなんだ。




最初の面はチュートリアルだ。


壁に区切られた、3マス分しかない細い通路と、主人公と思われる白い謎生物。

通路の途中には、道を塞ぐように岩が3つ並んでいる。

そして、岩の向こうには旗が立っていて、きらきらとしたアニメーションをしている。


倉庫番のように、通路を進んで岩を動かし、旗まで行くと「おめでとうございます」と画面に表示され、面クリアだ。



さて、面クリアしたら、もう一度同じ面を遊んでみよう。


通路の外には、単語が書かれたブロックが並んでいる。

4カ所にまとまっていて、それぞれは3つのブロックが組み合わさっている。

書かれているのは、次の通りだ。


BABA IS YOU

WALL IS STOP

ROCK IS PUSH

FLAG IS WIN


通路の外に主人公を動かして、これらの単語を押すと、動かせる。


例えば、 BABA IS YOU を動かして、並びを壊してしまうと…

あれ、主人公が操作できなくなる。しばらく待つと、画面上に「巻き戻す 最初から」と操作表示が出る。

つまりは、失敗してゲームオーバーのようだ。


BABA とは「主人公」だと思い込んでいた、白い謎生物のことのようだ。

それが「YOU」、つまり主人公である、と示している。


そして、この「追加ルール」を壊してしまうと、主人公がいなくなるためゲームオーバーとなる。


WALL IS STOP を壊せば、壁はすり抜け可能となる。もはや、ただの背景だ。

組み換えも可能で、ROCK IS WIN にすると、岩がきらきらし始め、そこに行くと「おめでとうございます」となる。


さらには、WALL IS ROCK とすれば、画面上の壁がすべて岩に変わる。



単語は、縦に並べてもいい。

ただし、左から右、または上から下に解釈される。逆順にはならない。


    ROCK
BABA IS YOU
    PUSH

と並べると、IS を共有して、2つのルールが完成する。

こうやって「単語を節約する」必要があることも多い。


ちなみに

WALL
 IS
BABA IS YOU


のようにすると、画面上の WALL が全部 BABA になって、キー操作で同時に動く。


        WALL
         IS
BABA IS YOU


だと、WALL がそのまま「主人公」に追加される。

BABA にはならないが、キーで同時に動く点は同じだ。


画面上のものがたくさん同時に動くのは、結構カオス。

見た目だけでなく、繊細な操作を必要とされるパズルゲームで、数の暴力を展開すると恐ろしいことになる。

(それが必要な面だってある)




DOOR IS SHUT AND STOP

KEY IS OPEN AND PUSH


とか書かれていたとする。(実際、これは多いルールだ)


ドアは閉まっていて、障害物。

鍵は開いて、押せる。


ここで、OPEN に対応するのが SHUT だ。

鍵を押してドアにもっていくと、開く。この時、ドアと鍵が同時に消滅する。


一方で、


WATER IS SINK


というのもある。「水は沈む」だ。

この場合、水に入ったものはなんでも消えてしまうが、同時に水も消える。

SHUT と OPEN は2つでセットだが、SINK は相手を選ばない。

しかし、「2つセットにすると消えてしまう」という現象は同じだ。



ここではさらっとルールを書いてしまったが、ゲームをしていて説明されることはない。

新しい単語を見かけたら、それがどういう意味か、実験しながら推察していくしかないんだ。



このゲームの面白さの多くの部分が、そうした「実験と推察」だ。

倉庫番のようなルールだけど、じっくり考えてわかるものでもない。

知らない仕掛けが次々登場して、その仕掛けの意味を調べつくし、それらをどう組み合わせれば目的を達成できるのか考える。




倉庫番なので、壁の角に押し付けられたブロックは動かせない。

ゲーム内では、これを利用して「変えられないルール」を作り出していることも多い。


もっと言えば、入り込めない壁の奥に書かれているルールは、不可侵だ。

変えられないだけでなく、その単語を利用することすらできない。


その一方で、壁に囲まれていて不可侵に見えるブロックを、「壁」自体の定義を作り変えて入り込んで利用する…というような面もある。


とにかく自由すぎる。

そして、自由かと思っていたら、どうしようもなく組み替えられないルールに悩まされ、不自由を感じたりする。


不思議極まりないゲームだ。




これは、一種の「プログラムゲーム」なのだと思う。

プログラムゲームとは、一定のアルゴリズムなどを記述することで遊ぶタイプのゲームだ。


戦闘アルゴリズムを書いて対戦する、なんてのが多いけど、ヒューマン・リソース・マシーンみたいな課題クリア型もある。


BABA IS YOU では、長いプログラムを組めるわけではない。

しかし、ゲーム内の文法に従って「記述」を行うことで問題を解決するし、その「記述」を複数組み合わせることで効果を持つ。


十分にプログラムだと言ってよいだろう。




購入前は、ルールを自分で変えられてしまうというので、比較的緩く遊べるパズルゲームを想像していた。


しかし、思っていた以上に難易度は高めだ。

その原因の一つは、新たな効果を持つ単語が出現した時に、その作用を十分に理解しないといけない、という点がある。


このゲームのルールが、シンプルといってよいのかどうか、最初に迷っていたのもその点だ。


基本ルールは非常にシンプルでありながら、単語の組み合わせ方は非常に幅広く、その効果も複雑だ。

この複雑さは、プログラムの複雑さと同じだろう。時にはバグも発生し、デバッグに悩まされる。


場合によっては、効果だけでなく、「効果による副作用」まで理解しないといけない。


そして、それらに対する説明は、どこにもない。

自分で実験しながら探し出さないといけない。


いわゆる「パズルゲーム」の難しさにとどまらず、「なにかを研究する」難しさに近いといってよいだろう。



先週末に購入し、長男が熱中して遊んでいるので僕はなかなか遊べず、まだあまり先の面を見ていない。

先の面を見るのが楽しみだ。


じっくりと考えることが好きな人には、自信をもってオススメできる作品。




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