あまり政治的な話は書きたくないし、政治的な話にするつもりもないのだけど。
アメリカが Huawei への包囲陣を固めている。
僕個人としては、Honor6 plus から使い始めて、P10、P10 plus と3機種、3年半ほど使ってきた。
良い端末を作る良いメーカーだと思うし、当初言われていたような「疑惑」は、ほぼ言いがかりであることも各種証拠からわかってきている。
しかし、何も問題がないことと、アメリカが Huawei を潰したいのは別の話だ。
それで構わない。このことに文句を言いたいわけではない。
今回の話は、Huawei の事件がらみで、過去に書いた日記へのアクセスが伸びている、ということなのだ。
アメリカが日本製のパソコンに100%関税をかけた日(1987)
「今日は何の日」…パソコン関係の記念日とか、関係者の誕生日とか、そういうことを書いた記事の一環。
1987年に、日米半導体摩擦と呼ばれる問題の一環として、アメリカが日本からの輸入品に 100%関税をかけた…事実上輸入禁止にした問題。
この禁輸措置は、高品質で安価な日本製部品が入手できなくなったことにより、アメリカ中の産業が困って、たった2か月で解除された。
そもそも、この記事を書いたのが、トランプさんの就任直後だった。
Make America Great Again をスローガンとし、中国・日本・メキシコからの輸入…つまりは、それらの国に富みを奪われるのを阻止しようとしていた。
だから、記事の最後も「中国に対し、アメリカが強硬姿勢で臨もうとしている」というような文章で終わっている。
どうも、この文章が「予言だ」として話題になっているのだけど、書いた時点で強硬姿勢を取っていた。
今の Huawei への包囲陣はそのころから準備してきたものが現実になり始めただけで、予言ではない。
で、今回はもう一つの、当時の「日米間の問題」を書きたいんだ。
リンク先は Wikipedia なので鵜呑みにするのは危険だけど、僕も子供のころの事件だったので、これを読んで初めて全貌を理解した。
いままでの自分の理解では、東西冷戦時代に東側陣営に輸出禁止にされていた高精度な工作機械を、東芝の子会社がソ連に売ってしまった、というものだった。
これにより、ソ連製潜水艦のスクリューが静音化され、発見が難しくなったのでアメリカの、ひいては世界の国防上非常に問題がある、と。
まぁ、大体理解はあっていたし、多少の違いは今は問題ではない。
日米半導体摩擦と同時期だったような気がして調べたら、1987年だった。同じ年だ。
そして、この時期のアメリカ大統領は、というと…ロナルド・レーガン。
日本の中曽根康弘総理大臣と密接に連絡を取り合い、お互いを重要なパートナーだとして、ロン・ヤスとあだ名で呼びあった。
政策上重要なパートナーであることと、経済的な産業保護は別問題だ。
このころのアメリカは、経済的に少し陰りが見え、再び強いアメリカを取り戻そう、という熱望があった。
Make America Great Again は、レーガン大統領が大統領選の際に使った標語だ。
そして、経済的に急成長し、アメリカを抜かす勢いだった日本に標的を定めた。
日本企業が、アメリカが定めた「敵国」に対して輸出を行っていた、という事実を見つけ出して、罰則を科した。
これが、3月末のこと。
そのショックが冷めやらないうちに、今度は事実がない…しかし、アメリカは不利益を被っている「RAM のダンピング」を言い出した。
言いがかりであったとしても、その直前に国際的な事件が明るみに出て、国際問題を恐れている日本としては強く出られない。
そういう、2段構えの方法で日本に対する「禁輸措置」を強制的に発動した。
さて、今回の話。
まず、ZTEが、アメリカの「敵国」であるイランと北朝鮮に対し、禁輸措置を破って輸出を行っていたという事実がある。
問題の輸出は 2010年に行われていたそうだ。
これが 2016年に発覚し、すでに制裁を受けて解決していた。
しかし、2017年にトランプ大統領が就任してから、急に問題が大きくされ、多大な罰金と、「同じ問題を繰り返さないため」アメリカの査察を今後10年間受け入れる、という条件を付せられた。
ZTEは中国の国営企業だ。
査察を受け入れる、ということは、経済状況が筒抜けになるということだ。
すでに解決したはずの問題に対して、大統領が変わってからわざわざ再燃させて、こんな条件を飲まさせたのだ。
そして、ZTEとセットで Huawei を問題にし始めた。
ZTEが問題のある企業だったから、同じ中国企業である Huawei も同じだろう、という、言いがかりに近いものだ。
あまりにも言いがかりなので、世界中のハッカーが Huawei 製スマホのプログラムを解析した。
怪しげなプログラムが仕掛けられている、というような事実は皆無だった。
しかし、そんなことはこの際どうでもいい。
事実があろうとなかろうと、アメリカが国防上問題がある「かもしれない」と感じたのであれば他人が口を出せる問題ではないし、可能性として問題があるのであれば取引はしない、というのは正常な判断だから。
ここにあるのは、東芝ココム違反で揺さぶりをかけ、動揺している間に半導体摩擦で一方的な制裁を科す、というのと同じ手法だ。
レーガン大統領と同じ、Make America Great Again という標語を使ったトランプ大統領が、レーガン大統領が日本に対して使ったのと同じ戦略で、中国に対して経済的な追い落としを狙っている…というのが現状に見える。
以上、最初に書いたように政治的な話が書きたいのではない。
政治というより、どちらかというと「歴史」だな。過去に同じような状況がありました、と書きたいだけ。
政治的な話にするのであれば、「中国製造2025」とかをヒントに検索してみるといいかもしれない。
今、アメリカが Huawei を標的にしたい理由がわかってくる。
でも、繰り返しになるが、今回は政治的な話を書きたいのではないので、ここまででやめておく。
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