この日記、後で思い返すためのメモで、役に立つ情報は何も書かれていない。
6日の午前3時8分、北海道でマグニチュード6.7、震度6(1日後に7に訂正)の地震が発生。
神奈川までは揺れは伝わってこなかったので、寝ていて気付かなかった。
5時半に目覚めた時に携帯にアラートが出ていたので知った。
とはいえ、この時点でまだ大災害だと気づいていなかった。
いつも通り朝食の支度をはじめ、6時半に準備が終わる。
子供を起こし、Nexus7 で Radiko を使って J-wave をつける。
(神奈川までは J-wave の電波は届かない。
以前はラジオで FM横浜を聞いていたが、キッザニアでの体験以来、子供が J-wave を聞きたがるようになったので Radikoで聞いている)
で、このラジオで大災害になっていることを知った。
朝ご飯の時にラジオをつけているのは、無音では寂しいからなのだけど、テレビでは次女が見入ってしまいご飯を食べないためだ。
でも、この時は「ちゃんと食べてね」と言ってテレビをつけた。
想像以上の大災害になっていた。
しばらくはテレビをじっと見ていた。そして我に返った。
北海道に長姉が住んでいる。大丈夫だろうか。
長姉の住所どこだっけ…と思い出しながら震度を調べる。震度4。震源からは遠いようだ。
多分大丈夫だろう、と思いながらも「大丈夫?」と兄弟間の LINE で送る。
送ってから気付く。まだ7時前だ。
グループなので他の兄弟にもメッセージが伝わるが、朝の忙しい時間かもしれない。
ほどなくして大変なことになっているけど、大きな被害はないと返事が返ってきた。
ほかの兄弟からも「よかった」という返事が次々来る。
停電しているからスマホの電池大切に使わないと、という長姉に、次兄が「情報調べるのも電池使うから」と、概要を調べて送り始める。
僕がやろうとしていたことだったが、兄に任せておこう。
9時ごろ次兄から、ヤフーニュースの URL と共に「数時間以内に復旧予定らしいよ」とメッセージ。
これ、後でわかったが、誤報。
ヤフーニュースは新聞社から配信を受けているだけなので悪くない。
どこかの新聞社が勇み足で誤報…デマを流しただけだ。災害時にはデマが飛び交う。
後で見た時には、記事自体消えていてお詫びもなかったので、どこの新聞社の誤報かはわからない。
…今調べたら、元記事あった。アーカイブしといた。
「数時間以内にも復旧するよう、経産省は北電に指示しました。」とある。
正確なニュースは、この時点で「数時間以内に復旧のめどを立てるように指示を出した」だった。
めどを立てる、つまり復旧計画の見通しを明らかにするのが数時間以内であり、復旧できるわけではない。
実際、数時間以内…夕方には「完全復旧までは1週間以上」という発表があった。
2018.9.12 追記。
この件について、詳細な経緯をご存知の方がツイッターで詳細資料付きで教えてくれた。
まずは、上を読んでみてほしい。「数時間」という単語で検索するとわかるが、文章上はすべて「目途を数時間」という係りで説明されている。
しかし、こちらの動画が実際の会見の様子だ。
質疑応答の2問目、最後の部分。(動画でも最後の部分)
「目途を」と言っていない。復旧作業自体を数時間以内に終わらせるよう指示したと言っている。
政府発表の文面は、会見が終わった後で書き起こされていることに留意。
記者にとっては、その場で語られたことがすべてで、この文面を渡されたわけではない。
つまり、政府発表に致命的な言い間違いがあり、それがもとで「デマ」となってしまった。
もっとも、新聞社もこの会見をもとに記事を書いているのだから、質疑応答含めて3回の「数時間以内」が言及されていて、その内容が「目途」と「作業」で違うことについて留意する必要があったように思う。
政府発表が間違えていたとしても、その間違いに気づき、訂正できる立場にあるものがそのままデマを広めてしまった形だ。
この日記後半に書いてあるが、善意によるデマは必ず起きるし、それを糾弾すべきではないと思っている。
しかし、政府発表などは影響も大きいので、細心の注意を払ってほしいように思う。
さて、長姉のほうは、午後2時ごろには電気がついた、と報告してきた。
一時的なものかもしれない(東日本震災の時は、復旧直後は不安定だった)ので、とりあえず充電できるものは全部充電して、と伝えておく。
しかし、その後特に問題はなかったらしい。
生活基盤が安定したようなので、とりあえずは一安心。
さて、Twitter などでも、デマがひどい、という被災地の人の声が伝わってくる。
とある政党の街宣車が、ありもしない断水の予告をして回っていたとか。
デマを広めても何の得にもならないので、その政党の人としては「大事な情報を得たので、いち早く伝えようと思った」のだろう。善意の行動だ。
しかし、デマというのはそういう善意によって広まるものだ。
先ほど書いた「数時間以内に復旧」の件も、アーカイブしたページが特にひどかっただけで、他の新聞社も似たり寄ったりの報道をしている。
記事内を読むと「めどを立てるように指示」と書いてあるのだが、見出しでは「数時間以内に復旧指示」だったりするのだ。
だから、この件に関してはどの新聞社も「デマに加担していた」と言ってよいと思う。
みんなが困っているから、重要な情報を早く届けたいと思う。
善人であるほど、これは使命に感じられるだろう。しかし、この思いが目を曇らせているのだ。
停電が早く復旧してほしい、という強い願いがある。その関連情報を早く皆に届けたいと思っている。
だから、「数時間以内に復旧のめどを立てるように」という文面の中から、願いに近い「数時間以内に復旧」だけを拾い出してしまう。
断水予告も、実は「電力が不足すると浄水場の機能が足りず、断水するかもしれない」という裏があった。
ただ、これは浄水場の職員の努力で回避された。にもかかわらず、善意が先走った人が、早めに貯水を、と呼びかけたのだ。
どちらも、そこにあるのは善意だ。決して悪意ではないが、結果としてデマを広めているのだ。
マスコミがダメなのではない。政治家がダメなのではない。
彼らは、善意と使命感が、他の人より強いだけだ。
彼らを批判し、マスコミや政治家は役に立たないと自分が主導して「善意の情報」を示そうとする人は、同じ轍を踏んでいることに気付く必要がある。
善意の人にデマを広めるな、ということはできないし、やるべきではないと思う。
(最初から悪意のデマもある。これに関しては広めるな、と言いたいが、もともと悪意なので言っても聞かないだろう)
善意の情報のすべてがデマになるわけではない。役立つ情報のほうが多いのだ。
だから、委縮するのは誰のためにもならない。善意の情報は広めてよいだろう。
あとは、受け取った側の問題だ。情報を選別し、デマを見抜く目を養わないといけない。
これに関しては、東日本震災の時にも同じような話を書いていたので、リンクしておく。
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