最近は次女(小3)が熱心に Scratch をやっている。
長男(中2)も相変わらずやっているのだけど、学校に塾にと忙しくなかなか時間が取れないし、わずかな時間でスプラ2も遊びたい。
でも、時々急に「プログラム作りたい!」ってなって、短時間でそれなりに面白いものを作り、満足している。
長女(小5)は、長男も次女も Scratch をやっているのでやりたいと思っているようだが、二人にパソコンを取られてしまう形であまりやらない。
というか、どちらかというと時間があるならスプラ2か、DS の「どうぶつの森」をやってしまう。
パソコンを開くときもあるが、他の人がスプラ2を遊んでいて、ぶつ森でもすでにやることがない、というような場合だけだ。
いきなり話がわき道にそれているが、次女の話なのだ。
まだ論理性が怪しいながらも、プログラムの技術は覚えつつあり、どういうときにはどういう命令の組み合わせ、というのはすぐに出てくるようになっている。
そして、次のステップでつまづいた。
プログラムは作れる。じゃぁ、いったい何を作ればいいのだろう?
ある程度プログラムを覚えた初級者が、必ずぶつかる壁だ。
先日、新聞に Scratch の記事が出ていた。
そこには、取材したワークショップで、子供が簡単なゲームを作ったということと、そのゲーム画面、プログラムの一部が出ていた。
「これ作ってみる」と言って次女は作る。
プログラムが載っていない部分に関しては、画面を見ながら想像で。
ネズミを操作して、ネコから逃げながらチーズを目指す、というゲームが完成した。
ネコの動きルーチンを作れるほどの技術はないので、二人対戦だ。ちゃんと動くようになって喜んでいる。
でも、ネコを動かす人が本気を出すと、絶対にネズミが負けてしまう。
そこでネズミの速度を上げたが、今度は絶対にネコが追い付けない。
一応勝ち負けがあってゲームのプログラムにはなっているのだけど、「面白くない」という致命的な問題があるのだ。
「どうすればいい?」と聞いてくる次女。
ゲームを面白くする方法だったら、いくらでも思いつく。
しかし、そのアイディアを僕が出すわけにはいかない。
僕がアイディアを出して、それをプログラムするのであれば「技術は」上がるだろう。
でも、プログラム学習っていうのは技術訓練ではないのだ。
ここで考えないといけないのは「ゲームを面白くする方法」なんかじゃない。
そんな漠然としたものを考えていても、何も思いつかない。
そこで「何がつまらないのだと思う?」と聞いてみる。
自分の作ったものを「つまらない」と認めるのは勇気がいることだ。
最初のうちは、次女は「ちゃんとゲームになっているから、つまらないところはない」とか言い訳していた。
でも、ついには「絶対ネズミが勝っちゃう」と認めた。
何でそうなるのだろう? と聞くと、チーズに向かって一直線に進むと、ネコが追い付けない、との答え。
じゃぁ、その部分をどうにかしてみれば? と言ってみる。
しばらく考えて、「チーズは最初ランダムな位置に置かれるが、見えない。近づくと見えるようになる」というプログラムを作ってきた。
ネズミはチーズを探すためにうろうろする必要があり、探している間にネコが勝つチャンスもあるかもしれない、という考え。
なるほど、悪くない改良だ。
…でも、面白くなかった。
画面の広さは有限で、近づきさえすればチーズは表示されるのだから、ネコから逃げつつも画面をじぐざぐに進むと効率よく発見できてしまう。
今度も、何が面白くないのか考え、「自由に動けるのがよくない」という結論にたどり着く。
壁を設置して、ぶつかったらスタート地点に戻される、というプログラムを追加した。
壁はある程度ランダム位置に置かれるが、ネコもネズミも影響を受ける。
この「ぶつかったら」の判定は、ちょっと納得のいかないものだった。
Scratch で単純にあたり判定を行うと、絵の透明ではない部分がわずかでも重なると「ぶつかった」判定になり、厳しすぎるのだ。
でも、ゲームとしてはどちらが勝つか予測のつかないものになった。
これ以上掘り下げるのは本人の技術力を超えそうなので、改良点が見つからなかったら完成でいいんじゃない? ってことにする。
ひとつゲームが完成したので、今度は「風船が出てきて、クリックして割るゲーム」を作り始めた。
実は、先のゲームを作る際に参考した画面に、風船が出ていたのね。
元々なんで風船を出していたのかは知らないけど、次女は「ゴールすると風船が下から上にたくさん飛んでいく」という演出として取り入れていた。
今度は、この風船をクリックするゲームにしたい、というわけだ。
まずは、ランダムな位置に、ランダムな大きさの風船が出るようにした。
最初は1秒ごとに追加されたけど、早すぎて画面が埋まってしまう、と5秒ごとにした。
でも、それでは遅すぎるからと、「最初は5秒で、以降 0.5秒づつ早く」表示されるようにした。
お約束の、最終的に 0秒ですごい勢いで表示されてしまう、というのを経験して、最高速度を1秒に制限。
「なんかゲームっぽくなった」とご満悦なのだけど、何か物足りないらしい。
クリックするごとに1点追加で点数表示つける、とかやり始めたのだけど、風呂入る時間になったのでひとまず終了。
長女、次女、妻がお風呂入りながら話をしている。僕はその間食器洗ってたのだけど、少し話声が聞こえる。
どうやったら面白いゲームになるか、という話。詳しくは後でお父さんに聞いてごらん、とか言っている。
で、風呂上がりに妻から質問。
ゲームを面白くする4要素、物真似と競争とめまいと…後何だっけ?
後の一つは「運」だね。
面白くする、というより、すべての遊びはその4要素に分解できる、という話。
面白いゲームを分解して考えるのは勉強になるけど、4要素を知っているから面白いゲームが作れるわけではない。
子供の知っているゲームで解説する。
ぶつ森は生活を楽しむごっこ遊びで、物真似。
スプラ2は勝ちを目指すゲームで、競争。
テトリスやぷよぷよは、ランダムなブロックをどう組み合わせていくか考える、運。
メイド・イン・ワリオは、次々と目まぐるしく変わるゲームのルールを楽しむ、めまい。
もちろん、ゲームのすべてが1つの要素で作られているわけではなくて、いろんな要素が組み合わさっている。
そう解説したら、すぐに長女から「ぶつ森では、住民にすぐに『魚釣りで勝負だ』とか言われる」と具体例が出た。
そうだね、それは競争が入ることでゲームらしくしている。
ゲームらしく、というのが大切で、この4要素はあくまでも「あそびの」要素に過ぎない。
ゲームは勝敗がつくことが必須条件なので、競争が必ず入る。
トランプの一人遊びの場合、運との勝負で「成功・失敗」になるけど、これだって勝敗のある競争だ。
競争がないものをゲームとは呼ばない。
ぶつ森は突発的に競争が起きることがあるけど、全体としてはゲームの要素を満たしていない、と知り、軽い衝撃を受ける長女。
僕は、ゲームを考える時に「目的」と「目的を邪魔するもの」で考える。
目的があるけど、簡単には達成できないとなれば、これだけでゲームが成立する。
先ほどまで次女が作っていた、風船をクリックして割るゲーム。
「風船を割る」という目的はあるが、それを邪魔するものがない。
どうしたらいいだろう? というと、次女は風船が上に上がっていくようにしたいらしい。
最初に書いたけど、もともとそういうゲームを考えていたからね。
そして、単に風船を割った数ではなく、点数をつけたいのだそうだ。
クリックしづらい、小さくて動きの速い風船は高得点。
考えていたのはここまでだったみたいなのだけど、邪魔が必要と言われて「時間切れまでに何点取れるか」というアイディアを出した。
なるほど、ここでは「高得点」が目的となり、「時間」が邪魔するものとなる。
長女は、触ったらダメなものを出したらどうかという。
風船をクリックしていくのだけど、時々マウスカーソルが触れただけでゲームオーバーになるものを出す。
なるほど、その場合は「触ったらダメなもの」が邪魔するものになる。
最後にまとめ。
ゲームを作る時に決まった方法はない。
思うがままに、目的と、その目的を邪魔するものを設置すればいい。
それでとりあえずゲームになる。
でも、面白いかどうかは別問題。
どうすれば面白くなるだろう…なんて考えてもうまくいかない。
「つまらないところ」を見つけて、なんでつまらないのかを考える。
なんでつまらないのか、がわかれば、それを解消する方法も思いつく。
これを繰り返せば、ゲームは面白くなっていく。
途中で「あそびの4要素」の話を挙げたけど、入れたからと言って面白くなんてならない。
でも、面白くするためのアイディアの引き出し、くらいには役立つ。
いろんなゲームを遊んでみて、面白いと思う部分の要素を分解してみよう。
作っているゲームがある程度形になったら、「完成」ってことにして、次のゲームを作り始めるもの大切。
同じものを作り続けていると飽きるし、だんだん改良の「成果」よりも、「手間」のほうが大きくなっていく。
それよりも、どんどん新しいものにチャレンジしてみる。
たくさん作りちらかしていれば、時々とても面白いアイディアが出てくる。
初心者の内は、思いつくままに、たくさん作ってみるのがいい。
そうすれば技術も上がるし、どうすれば面白いかもわかってくる。
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