時々スプラ2のフェスの話を書いているのだけど、今回は勝敗結果の話。
ありていに言えば「結果がおかしい。対戦が正しく行われていないのでは?」という内容。
話を始める前に、スプラ2のフェスを詳しく知らない人のためにざっくりと解説。
スプラトゥーン2は、オンラインの対戦バトルゲームです。
4対4で、水鉄砲を持って戦います。
この手のゲームは「殺し合い」で勝負するものが多いのですが、スプラトゥーンシリーズは「陣取り合戦」です。
水鉄砲(「インク」を撃つことになっています)で相手を撃ち倒してもいいけど、最終的な勝敗は、自分のチームの色に塗った面積で競われます。
だから、必ずしも相手を殺すことが勝敗に結びつかず、逃げ回っていてもチームに貢献できます。
対戦ゲームが苦手な、僕ような人でも楽しめるゲームです。
で、時々「フェス」と呼ばれるイベントが開催されます。
あらかじめ、2択の質問で2グループに分けられ、そのグループ同士で対戦するのです。
この対戦も、1人で参加した人をランダムに組み合わせる「ソロ」と、2人、または4人であらかじめチームを組んで参加する「チーム」の2つの参加枠があります。
さて、フェスの「勝敗結果」ですが、24時間続けられるフェスの後に、得票率、ソロ戦の勝敗率、チーム戦の勝敗率、の3つで評価され、2つ以上の率が高かった方が勝者となります。
2018.9.21 追記
9月23日開催の第16回フェスから、ルールが大幅変更となりました。
ソロ・チームという区分はなくなり、レギュラー・チャレンジとなります。
また、勝率で勝負するのではなく、対戦によって獲得されるポイント合計で勝負するようになりました。
以下のこの日記の趣旨は、日記執筆時点でのフェスルールは破綻していて、多少の調整でどうにかなるものでもなく、任天堂も困っているのだろう、というものでした。
それに対する回答がルール大幅改定なのだと思います。
この日記は情報としての意味を失ったわけですが、日記ですので書いた時点での事実として残しておきます。
過去の戦績をここで書こうかと思ったけど、このページの趣旨ではないし、まとめている人もいるので他のサイトに譲ります。
今日の話は、この「結果」に、おかしいくらいの偏りがある、ということ。
ゲーム中では、ナビゲート役として、ゲーム内の「アイドルバンド」である2人組、ヒメとイイダが登場します。
フェスの時には、それぞれが各チームを代表する形になります。
それぞれの過去の勝敗結果は公表されています。
昨日の第13回までで、ヒメ5勝、イイダ8勝です。
ネットでは「イイダの勝率が高い」ことに着目し、常にイイダに投票する、と宣言する人も出ています。
勝率…高いと言えば高い。でも、この程度なら誤差範囲のようにも思います。
実は、ヒメかイイダかというより、冷静に成績を見ると「得票率の少数派の勝率がやたらと高い」です。
少数派9勝、多数派4勝です。
フェス前のアンケートでは、2択を選択するためのカーソルが、最初は「ヒメ」側についています。
どっちでもいいや、という人はヒメに入れやすいのかな、と思います。
だから、ヒメが多数派になり、負けてしまうことが多い。
「イイダ派が強い」ではなく、「少数派が強い」のですね。
でも、これでも先ほどと1勝しか変わっていない。
2倍の差となると誤差と言いづらくなりますが、サンプル数も少ないですし、まだ決定的ではないように思います。
では、多数派が勝った4回を詳細に見ましょう。
そのうち3回は、ソロ戦を多数派が勝ち、チーム戦は少数派が勝っています。
得票率での勝ちと合わせて「多数派の勝ち」となりました。
残る1回は、ソロ戦もチーム戦も、多数派が勝利した「完全勝利」です。
実は、「多数派がチーム戦で勝利した」のは、この1回のみです。
少数派が勝った9回の内容は、すべて「ソロ戦・チーム戦とも少数派の勝ち」です。
得票率で負けているのですから、これ以外では少数派の勝ちになりません。
というわけで、ソロ戦・チーム戦の通算では、少数派が21勝、多数派は5勝です。
少数派は、多数派の4倍も対戦で勝っている。
ここまで違うと「誤差」で済ませられるものではなく、有意な差があると考えてよいかと思います。
先に書いた通り、マッチングは基本的に「同じくらいの強さの人」を集めて行われます。
そのため、勝負は五分五分。片方が4倍も勝つ、なんてことが起こるはずはありません。
結果発表の勝率を見ると、戦績は僅差です。
具体的に…7回終了時点までで、一番の勝率が 51.34% です。
多くは、勝っている側でも 50.xx% という小数点以下の勝負で、一番の僅差の時は 50.04% での「勝ち」でした。
これが、8回目で少し崩れます。
7回までの戦績が偏ってしまっていて、イイダが連勝していること自体を、フェス前の予告のネタにしていました。
そして、ヒメが ソロ 51.50% 、チーム 51.51% で勝利するのです。
それまで決して出ることのなかった、半数(50%)を 1.5% 超える差での勝利。
それを、あらかじめ予告したタイミングで、ソロ・チームとも叩き出す。
おそらくは、ここは運営側で調整が入り、マッチングが少し変わったのだと思っています。
このあと、9回目ではゆり戻しが来たように僅差の勝負となり、10回目でたった1度の「多数派の完全勝利」。
この時は、チーム戦で 52.25% という高い勝率が出ています。
そのあとの11回目、大騒ぎとなった「マッチングバグのあるフェス」となりました。
本来、同じくらいの実力の人がマッチングされるはずなのに、大きく実力差のある人が組み合わせられます。
阿鼻叫喚、としか言いようのない一方的な試合が繰り返されました。
このような試合では、負けた側はもちろん、勝った側もあまり楽しめません。
後に任天堂公式に「バグがあった」ことの謝罪が出るのですが、この時も少数派が勝ち、 54.39% という高い勝率が出ています。
その後、現在のところフェスは2回行われていますが、元に戻す努力があったようで、あまり大きな勝率の差は出ていません。
#書いてから気づいたけど、ゲーム中は勝率を小数点以下まで出してなかった。
先にリンクしたページを見ても、細かなことはわからない。
連動したスマホアプリを使うと、小数点以下まで確認できる。
さて、この話は「任天堂が手ごころを加えている」とか、そういう話ではありません。
ゲームとしては同じ実力の人が真剣に戦うから面白いのですし、任天堂もマッチングシステムで、できるだけそうなるように努力しているように見えます。
にもかかわらず、差が出ている。
おそらく一番困っているのは任天堂の人で、修整のための努力を続けているのに「なぜか」治らない…というように見えます。
スプラ1は遊んでいないのでよく知らないのですが、勝率もソロとチームを特に分けておらず、別の集計方法で勝敗を決めていたようです。
つまり、今のフェスのシステムは、純粋に13回しか遊ばれていません。調整をするにしても、十分な機会がまだ得られていない、とも言えます。
マッチングで使用される「同じ強さ」の指標としては、過去何戦かでの、チームの勝敗、その時のチームの平均強さの格差(格上に勝つようならかなり強いと考えられる)、殺した数、殺された数、塗り面積…などなど、ありとあらゆる、計測できる要素が使用されているように見えます。
また、スプラトゥーンは非常に「ブキ」の種類が多いゲームで、ブキ同士の相性もあります。
同じ強さをマッチングしたとしても、相性が悪ければ勝負になりません。
ですから、マッチングの際には同じタイプのブキがチームに偏らないように、かつ、対戦チームも同じようなブキ構成になるように…というようなことをインタビューで答えていたように思います。
とはいえ、マッチングの際にあまり万全を期して、ユーザーを待たせるようではいけません。
来るかどうかわからないユーザーを待つ「完璧な解」よりも、今いるユーザーで妥協して早くゲームを始める方が良いのです。
フェスの際には、「所属するグループ」も考慮する必要があります。
ただでさえ、難しい条件をできるだけ満たすような組み合わせを見つけないといけないのに、2グループに分かれることで組み合わせに「使える」素材が、半分になってしまうのです。
こうした複雑な事情をすべて潜り抜け、なんとかフェスを成立させた先にあるのが、「なぜか少数派が強い」という現象なのかな…と思っています。
システムが複雑すぎるので、何が起きているのか、当の任天堂運営チームにもわからない。
それを何とか修正しようと実験するうちに、バランスを大きく崩してしまったり、「マッチングバグ」を引き起こしてしまったりしているのではないかと。
マッチングバグは、多数解決しないといけない制限の中の「同じくらいの強さの人を組み合わせる」という部分を緩くした結果ではないかな…
と思っています。
同じくらい、というのが難しくて、少し緩くすれば組み合わせやすくなる、と考えてやってみたら、ひどい結果になった。
で、今は「同じタイプのブキがチームに偏らないように」という部分を緩くしているように思います。
昨日のフェスは、ローラー多数対チャージャー多数、みたいなひどい組み合わせがあって、あまり楽しめなかった。
(ローラーはチャージャーのカモです。ただし、誰かがチャージャーを倒してくれれば、ローラーが一気に塗りつぶして勝利できます。
ローラー多数対チャージャー多数では、一方的なゲームになってしまい楽しめません)
先に、少数派が勝ちやすいのは任天堂も理由がわからないのでは…と書きましたが、「わかっていて、故意にそうしている」可能性もあります。
というのも、投票が偏りすぎて多数派と少数派の人数が偏りすぎると、そもそも対戦のマッチングがしにくくなり、試合不成立が増えてしまうためです。
#一応、同じグループ同士の対戦が発生するので、ゲームは遊べる。
でも、結果はそのグループの「一勝一敗」になるので、最終戦績には関係がない。
これが、「少数派に所属すれば勝てる」と噂されれば、アンケート時点で「どちらが少数派になるか」を予想して投票してくる人が現れ始めます。
読みが当たるかどうかはともかく、この結果少数派の人数が増えれば、少数派と多数派の人数差は少なくなり、試合が成立するようになります。
だとすれば、すでにこの効果は出ているように思います。
ここまで「読んで」遊ぶのは、勝ちにこだわるガチ勢だけなので、少数派側にガチ勢が大量に流れ込んで強さを底上げしている…という可能性もあるのです。
昨日のフェスでは、僕は少数派に属していました。
昼間遊んでいて、グループ内の対戦にはなりませんでした。
(少数派は、多数派とのマッチングが成立しやすい)
しかし、夜中に遊んでいた妻によれば、夜中は少数派にもかかわらずグループ内対戦が多かったそうなのです。
夜中でも寝ずに遊んでいる人はガチ勢が多いと仮定すると、夜中はむしろ少数派と多数派の人数比率が逆転している可能性があります。
また、バグありだった11回目、少数派は非常に高い勝率で勝ちました。
マッチングが単に「バグ」だったのなら、少数派だけが高い勝率に…とはならないはず。
でも、少数派に強い人が多く、その分多数派に弱い人が多くなったとしましょう。
ここでバグが出て、強さと関係なくランダムに組み合わされたとしたら…
当然、少数派が勝つ試合が増えるはずです。
これも、すでに少数派にガチ勢が流れ込んでいると考える根拠です。
マッチングは、本来「同じくらいの強さの人」で行われます。
でも、全く同じということは難しいですし、少数派に強い人が多いのであれば、常に少数派が「ちょっと強い」試合が多くなってしまうかもしれません。
システム的には、なんの手ごころも加えずに五分五分の勝負になるようにしていたとしても、実はガチ勢によって前提が崩れていたら…
任天堂が調整を繰り返しても、なかなか理想通りにならずに苦労しているように思います。
なんか話がいろんな方向に発散してきました。
最後に、全然違うのだけど経験話を。
過去に、仕事で携帯電話向けのチャットサイトを構築したことがあります。
気軽におしゃべりを楽しんでもらうために、さまざまな指標でユーザー同士の「マッチング」を行うのですが、このプログラムの混乱ぶりがすごかった。
一応 NG ワードとかも持っていて、あまりに酷い言葉は入力させないのですが、そうでなくても緩くペナルティポイントを加算していました。
で、あまりひどい話になっていそうな部屋は、新たなユーザーが入るのを禁止します。
ユーザーごとにも「話の傾向」フラグを持たせていて、同じような傾向のユーザー同士をマッチング。
一方で、フレンド登録とかブロックとかあって、フレンドはできるだけマッチングしたいし、ブロックした人がいる部屋には入れるわけにいかない。
いい会話がないなー、と思ったら、一人で新しい部屋に入ることもできるのだけど、そのユーザーさんを延々と待たせるわけにもいかない。
そういう部屋は、他の人にできるだけお薦めしていかなくては。
新しいユーザーが来るたびに、「今お薦めの部屋」をいくつかピックアップし、その中で選んでもらうのですが、その舞台裏は細かな調整の連続でした。
考慮すべきことが多すぎて、どんなに調整しても満足いく状態にならないのね。
で、スプラ2のマッチングって、これと同じことを…もっと高度なレベルでやっているのだな、と思うのですよ。
勝率がおかしいのは、おそらく「気がする」ではなく、事実です。なにかシステムがおかしい。
でも、多少うまく行っていないからと言って、怒る気にはなれない。
多分、現在のマッチング自体がギリギリのバランスで成り立っているから。
願わくば、勝っても負けても楽しめるフェスにしてほしい、と思います。
マッチングにバグがあるとか、ブキが偏りすぎるとかは、あまり楽しめなかったよ。
以降、2018.9.21追記
最初のほうに追記した通り、第16回フェスからルールが改定になりました。
上の日記では、第13回終了時点まででの結果で論じていたのですが、せっかくなのでその後の2回分について記録しておきます。
第14回も第15回も、少数派の勝ちでした。
最終的なソロ戦・チーム戦の通算では、少数派が25勝、多数派は5勝だったことになります。
おそらくは、何らかの都合で少数派のほうが「強い」状態でマッチングされることが多かったのかと思います。
そこで、新ルールでは、単純な勝敗を競うのではなくなっています。
1) チーム戦。塗った面積の合計を指標とし、勝つとさらにボーナスポイントをもらえる
2) 個人戦。同程度の強さ指標を持つ人が集められ、勝つと相手の強さの平均値をポイントとしてもらえる。このポイントの合計で競う。
チーム戦では、負けた側もポイントはもらえるため、勝負で差がつきにくくなります。
個人戦では、強い側が勝ってももらえるポイントは少なく、弱い側が勝てばポイントが多くなります。
これにより、マッチングした「強さ」のばらつきによる差がつきにくくなります。
さらに、ランダムに「10倍マッチ、100倍マッチ」という、獲得ポイントに倍率がかかる勝負が行われることもあるようです。
…全体として負けている側を「ちょっと」強い人たちでマッチングすれば勝つことが多いだろうし、その際に大量ポイント与えると、常に互角の勝負を演出しやすくなるよね。
勝負を拮抗させる力を介入させすぎると、「努力が報われない」ことにもなってしまいますが、お祭りなんだから勝負の行方が分からないほうが楽しいと思います。
よい改定なのではないかな。
…まだ新ルールで遊んでいないのですが、期待できそうです。
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