こちらも L.A.ライダーズと同じく、1997年12月発売でした。
この頃のゲームは日本で先行発売してから海外版を作っていたのですが、ネット上の多くの情報が海外基準で書かれています。
そのため、年末ぎりぎり発売の作品などは、翌年の作品にされてしまうことが多いのですね…
以前、「スポーツフィッシング2」というゲームを紹介しました。
AM4研が主導し、AM1研でプログラムを作成したゲームです。
当時のAM4研というのは、筐体やエレメカを作る部署。
スポーツフィッシング2は、「リアルな竿の動き」を表現するエレメカに、おまけ程度の実写映像を組み合わせた釣りゲームでした。
これを、映像部分も MODEL3 のリアルな映像で作り出してやろう、というのが「GetBass」でした。
スポーツフィッシングは海釣りですが、GetBass は湖…それも、タイトル通りブラックバス釣りに特化しています。
発案が誰だったのか知りません。
でも、プロジェクトに参加していた同期のグラフィックに釣り好きがいて、「このゲームを作るために会社に入った気がする」と言っていたように思います。
ゲーム発表後に話題になり、釣り雑誌が取材しに来て開発話が漫画化されていました。
「GetBassを創った男たち」
…えーと、「バーチャファイターを創った男たち」って漫画があったので、それのパロディですね。タイトルは。
同期のグラフィックの彼も重要な役どころで登場していたそうで、喜んでいました。
僕は「漫画になった」ことは聞いたのですが、読んでないので詳しいコメントはできません。
業務用は、結構リアルに感じました。
釣りやったことないから、本当にリアルなのかわからないのだけど。
実際に釣り竿型のコントローラーで操作し、魚がかかれば糸が引っ張られる。
魚が左右に動けばそちらに糸が動いていく。
リールを巻けばどんどん重くなって竿がしなるし、竿を上下に動かしながら、少しづつ糸を巻き取っていく感じ…
スポーツフィッシング2もそうだったのですが、本当は糸を巻いてなんていないんですよ。
リールは回転を感知して、モーターで負荷をかけて「重さ」を演出しているだけ。
同時に、竿の先に固定されている糸がゲーム機の中に巻き取られて竿がしなるだけ。
でも、自分でリールに糸を巻き取っているように感じますし、「魚と格闘している」ように思える。
この仕組み、エレメカとしては3作目ですから、非常によくできていました。
しかし、ゲームですのでリアルばかりではありません。嘘もたくさんついています。
魚釣りって、のんびりと魚を待つものなのですが、これはゲームですから待つ必要がありません。
ルアーを投げ込めば、魚がすぐによってきます。
「寄ってくる」というのも、水中の魚の動きが見える。
魚がいないなら、すぐに別のポイントに切り替えられます。
魚釣りの「楽しいところ」だけを、テンポ良く楽しめるゲームなのです。
この、「水中の魚の動きが見える」部分がよくできていました。
当時最先端の MODEL3 の描画能力を、たった数匹のブラックバスのために注ぎ込んでいるのですから。
さすがは、釣り好きのグラフィックが一生懸命作っただけのことはあります。
でも、業務用の宿命として、1回に遊べる時間が結構短めだったのね。
ゲームシステムとしては、与えられた時間が無くなったらゲームオーバーです。
当初の持ち時間は2分程度。魚がかかったら時間延長、釣り上げても時間延長。
一定時間内に釣った魚の重さの合計が一定数に達すると面クリア。
次の釣りポイントへ向かいます。
新しい釣りポイントでは新しい持ち時間設定があり、最終面クリアで終了。
魚釣りってのんびりとしたものですが、一種のタイムトライアルレースです。
忙しいゲームでした。
リアルな画面と巧妙なエレメカの組み合わせ、というのは高評価だったのですが、世の中の評価の多くは、後に作られたドリームキャスト版のものだと思います。
上のビデオは、移植されたドリームキャスト版のもの。
また、タイトルも海外名の「SEGA Bass Fishing」になっています。
日本でも人気はあったのですが、それ以上に海外で人気の出たゲームでした。
ドリームキャスト版では、時間を気にせずに「釣りシミュレータ」としてじっくり楽しめます。
専用のコントローラー「釣りコン」も、糸が引っ張る仕組みこそないものの、竿の角度やリールの手ごたえなどは再現していました。
さらに言えば、DC 版は後に PS3 / XBOX360 / PC 版として移植されています。
このときは専用コントローラーさえなく、それでも高評価だったようです。
それだけ、家庭用で拡張された「シミュレータ」部分がよくできていたのでしょう。
でも、DC への移植は、基本的に外注会社の仕事のはず。
外部に移植を任せると、原作に忠実な「べた移植」になればよい方で、大抵は劣化移植。
それが、独自のモードを追加してその部分の評価が高いというのは、かなり良い仕事をしてもらえたのではないかな。
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