このゲーム、僕は関与していません。
それどころか、1998年の発売だと思っていたら、1997年の12月でした。慌てて記事書いてます。
一応「クールライダーズ」の系譜ということになるのかな…
バイクで自由気ままに走り回るゲームです。
クールライダーズでは「Born To Be Wild」をテーマソングに使っていました。
この曲は、映画「イージーライダー」のテーマソング。
そして、映画「イージーライダー」は、自由を求めてハーレーダビッドソンのバイクで旅をする男たちの物語でした。
そこで、今作では正式にハーレーダビッドソンのライセンスを取得しました。
ゲーム中のバイクはハーレーを正確にモデリングしていますし、排気音も実機から録音したものです。
そして、ハーレーを乗り回すのであれば「自由」でなくてはなりません。
ただゴールを目指すだけのレースゲーム、ではダメだったのです。
そこで「L.A. ライダーズ」というわけです。
L.A. (Los Angeles:ロサンゼルス)の街をゲームの中に丸ごと作り込み、交通ルール無用で自由に走り回るゲーム。
とはいっても、ゲームですので目的は必要です。
「ランダムに示されるチェックポイントを回る」がゲームの目的になります。
チェックポイントを通過すると、プレイ残時間が延長されて、次のチェックポイントが現れます。
5個クリアするとゲーム終了。
次がどこかは出現するまでわからないので、場合によっては急ターンして戻らないといけない、なんてことも。
それまでのレースゲームにはない感覚でした。
街を丸ごと作り込んで、プレイヤーはその中でどのように行動しても良い。
…今ならそういうゲームもありますが、当時としては大きなチャレンジでした。
そういうゲームに「挑んだ」話は度々聞いたのですが、「完成した」という話はほとんど聞きませんでしたから。
L.A. ライダーズの場合、街丸ごとを作り込むとは言っても、できることは「中を走る」ことだけです。
それでも、街の中には他にも車が自由に走っていますし、歩道には人が歩いています。
建物の中などに何もないとはいえ、活気ある街はちゃんと再現されているのです。
当初は、本当にこのアイディアが実行可能なのかどうか、街の作り込みから始まりました。
ただ広い街の中を走れるだけで、この時点ではゲームではありません。
そこから、これをどうすればゲームにできるのか、試行錯誤が始まりました。
先に書いた通り、当時は「自由に行動してよい」なんてゲームはないのですから、参考にできるものはありません。
結局、次々と指定される「チェックポイント」を目指す、という形になりました。
チェックポイントは「地点」であり、そこに至るまでの「コース」はプレイヤーが自由に決められます。
一応、初心者のために道案内してくれる矢印は出るのだけど、これは決められたコースではありません。
街をちゃんと知れば、大胆なショートカットをしたり、多少遠回りでも障害物の少ない道を進んだりできるのです。
しかし、これでもゲームとしてはまだ今一つだったのです。
本当にランダムだと「絶対クリアできない」とか「簡単すぎてつまらない」状況が時折現れるのです。
この乱数の「出具合」の調整にも、かなり苦労していました。
完成したゲームは…若干大味のゲームでしたね。
かなり調整したとは言っても、ランダムにチェックポイントが設定されるという「運の要素が強い」ゲームになってしまいますから。
一人でやり込むようなゲームではありません。
しかし、多人数でわいわい楽しむゲームとしては楽しい物でした。
多人数プレイの場合、誰かがチェックポイントを通過すれば全員が時間延長です。
チェックポイントが出る場所はある程度決まっているので、自分がチェックポイントから遠い場合は、次の出る位置をヤマを張って待つ、なんてプレイもアリでした。
一人で遊ぶより、多人数プレイが楽しい作品。
そんなところも、「クールライダーズ」と共通しています。
もっとも、当時最新の Model 3 基板を使っていたこともあり、高価でした。
複数台揃え、多人数対戦できる設定だった店舗がどれほどあったのかも疑問です。
「決められたコースがない」という、それまでのゲームにはなかった新しい世界を作り出す実験は成功だったと思います。
L.A. ライダーズは、ゲームマシンの性能が上がり、「街を丸ごと作り込む」ことが可能な時代がやってきたことを示しました。
2年後に、AM3研はクレイジータクシーで、AM2研はシェンムーで、同じように「自由に行動できる」ゲームを作ります。
そして、それらは現在「オープンワールド」と呼ばれるゲームジャンルの先駆けとなりました。
同じテーマの日記(最近の一覧)
関連ページ
別年同日の日記
申し訳ありませんが、現在意見投稿をできない状態にしています。 |