テクサポができる半年ほど前、AM1研は新しいビルに引っ越し、その際にサーバールームが新設されました。
サーバーの熱を冷やすため、専用のクーラーもついた小部屋です。
ファイルサーバーとして Sun のワークステーションが置かれていました。
部署内の UNIX マシンは、基本的に NFS でこのワークステーションとディレクトリを共有しています。
そのため、ファイルのバックアップなどは、各個人のマシンで行う必要はなく、定期的にストリームテープに保存されていました。
また、UNIX / Mac / Windows マシン間のファイル共有用に、Windows NT マシンも置かれていました。
同時接続数ライセンスの関係で、ファイルのやり取りをするときは迅速に行うように、と通達が出ていましたけど…
Windows NT マシンは、たしかプリンタ共有にも使われていたはず。
プリンタ本体は、サーバールームの外に置かれていました。
たしか Linux マシンもあったはずなのだけど、なんに使っていたのかよく覚えていません。
テクサポ課長もそれほど UNIX に詳しいわけではなかったし、当時はまだ Linux は今ほど一般的ではなかったので、何かに使えないか実験していただけではなかったかな。
同様に BoW を入れたマシンもありました。
BSD on Windows って…知らない人のほうが多いだろうなぁ。
いま BoW って言ったら、Breath of the Wild (ゼルダの伝説) か、Bash on Windows (Windows 上の Linux 環境) の略です。
当時の BoW は BSD on Windows 。名前の通り、Winodws 上で動く BSD 環境でした。
まぁ、これもテクサポ課長が実験していただけだと思うんですけどね…
「期待していたほど UNIX として使えない」と言っていたと思います。
この頃まで、開発環境は全部 UNIX だったのですが、テクサポができたのと前後して Windows マシンなども使うようになっていきます。
多分、その過渡期として「安いマシンに UNIX を入れた際に、開発で使い物になるかどうか」を調べていたのではないかと思います。
ネットワークの管理は今よりも泥臭いもので…
一端書いてみたのだけど、あまり面白い話ではないので詳細は省きます。
スイッチングハブはまだなく(実際にはあったけど高価で)、パフォーマンスを上げるためにはサブネット分割が必要でした。
AM1研はゲームのプロジェクトごとに人員を集める方式だったので、同じチームの人を1つのサブネットにしようとすると、チーム編成のたびに IP アドレスの付け直しが必要になります。
物理的にもマシンが移動しますし、ケーブルの繋ぎ直しも必要。サーバールームには大きなパッチボードが用意されていて、そこでケーブルの物理的な接続を変えられるようになっていました。
あるころ、新しく導入したマシン(SGI O2)が 100Mbit の通信に対応していました。
ハブの方は先に 100M 対応を終わらせていたので「これで速度が速くなる」と思ったのですが、思ったよりパフォーマンスが出ません。
多くの 10M マシンと同じサブネットにしているので、10M の通信の遅さに 100M が「待たされて」しまうのですね。
チームごとにサブネットを分けるのをやめ、10M マシンと 100M マシンで別のサブネットにしたら速度が上がりました。
今だと笑い話にもならないような、古い時代のネットワーク管理苦労話です。
そういえば、SGI の UNIX (IRIX)を GUI で操作する際、ネットワーク構成を入力する際に、IP アドレスを 16進数で入れさせられたと思います。
…必ずではなくて、通常の 10進入力も選べたはずだけど。どちらがデフォルトだったかは忘れました。
32bit だから 16進にするのも悪くないのでは…と思いつつ、他のマシンが全て10進入力なので、SGI でも10進入力でやってました。
IP アドレスとしては、会社で Class B アドレスもらってたんじゃなかったかな。
それを各部署に分割して使わせていた。
AM1研では /22 くらいのアドレスをもらっていたと思います。
まだ IP アドレスの枯渇、なんてあまり気にされていなかった時代です。
#もっとも、枯渇が近いと言われ、NAT 技術はすでにありました。
Windows マシンに Chameleon NFS を入れる、なんていうのも大切な仕事だったな。
先に書いたように、テクサポができたころから Windows マシンを使い始めたのですが、当時はまだ Win95 。
インターネット接続は標準では提供されていませんでした。
そんな当時のベストセラーソフトの一つが、Chameleon NFS。
ネットワークに接続するための機能…TCP/IP スタック、と呼ばれるものを提供していました。
買ってきた Windows マシンには、Windows はインストールされているのですが、ネットワークに繋げません。
そこで Chameleon NFS をインストールするのですが…
「TCP/IP スタック以外はそれほど出来が良くないので入れるな」と課長に厳命されていました。
名前になっている NFS とか、FTP とか、ファイルを交換するソフトの利用がネットワークに接続する目的なのですが、それらは別のソフトを使え、と。
当時は詳しくなかったので言われるままにやっていたのですが、ならばなぜ Chameleon だったのか。
ネットワークと言えば、BootP なんてのもあったな。
MODEL-1 の開発機材だったと思いますが、ネットワークに接続して使うのに、IP アドレスを設定できないものがあったのです。
マニュアルには BootP をつかえと書いてありました。
イーサネット機材は、必ず IP アドレスとは別に MAC アドレスというものを持っています。
マシンに電源が入ると、「ネットワークに参加するよ!」って、MAC アドレスが通知されます。
ネットワーク上に BootP サーバーがあると、この MAC アドレスを受け取って設定リストと照合し、同じものがあった場合は「君の IP アドレスはこれだよ」と、IP アドレスを渡します。
もちろん、リストに載っていない MAC アドレスに対しては、何もしません。
BootP に対応した機材は、それ以降は受け取った IP アドレスを使って通信を行います。
これ、当時は「IP アドレスはマシンに設定するもの」だと思っていたので、設定方法がわからずに苦労した覚えがあります。
こんな変な方法で設定を行う機材もあるんだ…って思っていたら、今ではこの技術がさらに拡張され、一般的になりました。
DHCP ってやつですね。実は BootP の拡張です。
BootP では、人間が MAC アドレスと IP アドレスの対応表を作りましたが、DHCP では自動的に作ってくれます。
特にまとまりはないですが、ネットワーク管理の仕事はこんな感じでした。
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申し訳ありませんが、現在意見投稿をできない状態にしています。 【あきよし】 誤記指摘ありがとうございます。修正しました。冗談部分でチェック甘かったとはいえ、ひどいミスだ… (2018-03-10 13:42:01) 【rink】 Breath of the Wildですね・・・ (2018-03-06 18:24:18) |