小6の長男は、ここのところ卒業準備で忙しいらしい。
週末になっても「なんか疲れたー」と言っているので、体を休めようと外出は控えていた
でも先日、「最近どこも行ってないから、山歩きとかしたいなー」とポツリ。
で、先週末の金曜日の夕食時、「そろそろやること全部終わって楽になってきた」と言っていたので、急遽どこかに行こうと考えた。
でも、本当に急なので、長男の希望していたような「山歩き」とかは計画する時間が無い。
話は変わるが、「南鎌倉高校女子自転車部」というテレビアニメがある。
深夜帯で現在放映中だけど、鎌倉の名所がいろいろ出てくるので家族で是非見てください、と鎌倉市長も宣伝していた。
折角なので録画して子供と見ているのだけど、先日江の島の灯台(シーキャンドル)が出ていた。
次女が、「友達がここ行ったけど怖かったって」と言う。
いや、次女も行ったことあるのだけど、まだ1歳だったから覚えてないね、というと、長女も覚えておらず、長男も記憶がおぼろげなようだ。
「行ってみたい」とリクエストが出ていた。
この二つの話があわさり、江の島に行こう、ということになった。
江の島は何度も行っているのだけど、一番裏手にある「岩屋」にはまだ行ったことがない。
江の島って楽しいところで、朝から行っても楽しんでいると途中で日が暮れてしまうのよ。
最深部までなかなかたどり着けない。
まぁ、そんなことは江の島側でもわかっているので、江の島にわたる橋のところから船も出ている。
大人 400円、子供 200円で岩屋まで連れて行ってくれる。
ただし、風が強い日は欠航。
以前、岩屋に行こうと思ったのだけど欠航で断念したことがある。
11日土曜日は風も凪いでいた。
(朝のラジオ番組では、サーフィンには今日は向かない、と言っていた)
10時に家を出て、大船駅からモノレール。
モノレール駅から江の島までは歩き…なのだけど、途中道端で「エイのから揚げ」を売っていた。
妻が食べたいというので買おうとすると、長女はアジの串焼きに興味を示す。両方買う。
特に凝った料理ではないが、朝採れの魚を使っているというだけで旨い。
船に乗り、江の島についたのは11時半ごろ。
裏手に行ったらすぐ岩屋があるのかと思ったら、そんなことはなくて岩場をしばらく歩く。
ちゃんと岩場の中にコンクリートで道が作ってあるのだけど、子供たちは潮だまりが気になって道を逸れる。
いや、これうちだけではないし、子供だけではない。
多くの大人が周囲を楽しんでいるし、潮だまりをのぞき込んでいる。
ただの潮だまりに過ぎないけど、浅いのも深いのもあり、海藻が生えていたり藤壺がびっしりだったり、非常に表情豊かで楽しいんだ。
岩場と海の間には、海にわずかに繋がっているのだけど、プールになっているような場所がある。
ここの波の動きがまた面白い。うねる波の周期が少しずれ、つながっている水なのに、水面の高さが違うんだ。
#わかる人向けに書けば、わずかしか繋がっていないことで微分回路が形成され、波が 1/4 周期ずれている。
楽しみながら進み、岩屋につく。ここは別料金なのだけど、今日は子供無料だという。(大人は 500円)
全く気付いていなかったのだけど、この土日は「江の島春まつり」というイベントをやっていたらしい。
そういえば、岩屋の入り口前で、大声測定大会やっていた。
これも祭りの一環だったらしいのだけど、91ホンだった。それまでの最高記録は 92ホン。
わずかに届かなかったのが悔しい。
初めてみた岩屋は、なかなか興味深いものだった。
波の浸食により作られた、奥深い洞窟。
昔から江の島は島全体が神社になっていて、江戸頃には観光地として栄えている。
でも、その起源は、この岩屋が 552 年に発見されたことに遡るらしい。
江の島ってそもそも特殊な地形で、今は橋がかけられていていつでも行けるのだけど、昔は年に2回だけ、大潮で海が大きく引いた時だけ歩いて渡れた。
そんな島に自然にできた非常に深い洞窟があれば、なにか神秘的なものを感じるのもわかる気がする。
岩屋は宗教遺構で、中には石仏などが並んでいる。
それほど出来は良くない。だからこそ、仏師などが彫ったのではなく、修行の一環として修行僧が掘ったのだろうとわかる。
江の島は富士山麓の氷穴や風穴に繋がっている…という言い伝えがある。
まぁ、これは眉唾だと思うのだけど、富士山がよく見える江の島近辺で地底に続く深い穴を見たら、富士山周辺にも深い穴が多いことを知っている人にとっては不思議に思えたのではないかと思う。
関東大震災の際には、富士山が噴火した、江の島が沈んだ、というデマも信じられた。
これも、こうした「繋がっている」と信じられた話と無関係ではないだろう。
#注釈:
この日記を書くにあたって調べたら、伝承によれば、552年に地中から急に島が出てきたことになっている。
でも、縄文時代の遺跡が見つかったりもしているので、これは事実ではない。
また、1215年の地震で江の島に歩いて渡れるようになった、という記録もあるが、おそらくは地震による隆起で、「大潮でもないのに」歩いて渡れる状態になったのだろう。
地形的に、年に2回歩いて渡れる、というのはそれ以前からあったはず。
(典型的なトンボロなので、隆起による一時的な状況変化はともかく、大潮の日に歩ける、という状態は安定している)
現在は第2岩屋、というものもある。
いや、たくさんの洞穴が、鉄格子をはめて閉鎖されているのが見えるから、本来「第2」どころではなくたくさんあったのだろう。
でも、昔落石事故があり、危険だから全部閉鎖されたらしい。
その後、第1、第2と名付けられた2つの岩屋だけ、整備して再開。
…で、この第2岩屋は、宗教的な聖域と感じられた第1とは大きく変わって、俗っぽい。
大きな龍神の置物があり、ライトアップされている。
伝説…この龍神の「いわれ」を書いた説明もあるのだが、今の腰越は昔「子死越」と書かれ、荒ぶる龍に子供の生贄をささげた場所だったのだけど、江の島の弁天様それを沈めた、とか。
この伝説、少なくとも 1777 年にはあったようです。この伝説をモチーフにした筝曲が作られているそうなので。
でも、観光地化してから適当に作られた伝説のように思います。
小夜の中山 夜泣石と同じようなテイストを感じるから。
で、ご本尊(?)のライトアップされた龍神像ですが、前で手を叩くと、後光(背後の岩壁へのフラッシュ光)が出ます。
2回たたいて2回光れば恋愛成就の可能性が非常に高いそうです。
霊験あらたかな音感センサー、すごいな。
岩屋を出たときにはもう1時近く。
どこかで昼ごはん食べよう、というのですが、子供は潮だまりで遊びたがります。
潮だまり付近はトンビがたくさんいるので、そこでお弁当広げるわけにもいかない。
じゃぁ遊び終わってからどこかで食べよう…とおもったら、次女が早速水に片足突っ込みます。
裸足にさせて靴を乾かしながら「落ちないように気を付けて」と長男長女にもいうのですが、言ってるそばから長男も落ちる。
これを見て、長女は落ちる前に裸足になりました。
万が一落ちても靴をぬらさないように。(長女は結局落ちることはありませんでした)
30分ほど遊んで…というか、少しでも靴を乾かそうと努力しましたが「無理」と悟ったので、子供たちに次に行こうと呼びかけます。
ここにきて「おなかすいたー」の大合唱だけど、ここで食べることはできないので、食べられそうなところを探しつつ先へ進みます。
結局、奥津宮近辺でお弁当を広げます。
このあたりも、来たことのなかったところ。
小さな神社がたくさん並んでいます。
江の島神社は江戸から昭和初期にかけてとても人気のあった神社なのですが、そもそも神社って江戸時代の遊園地、みんなが行きたがる人気スポットだからね。
江の島は島が丸ごと神社であると同時に、そこに小さな神社をたくさん立てて、ここ1カ所に来るだけでたくさんの神様にお参りできるようになっていました。
江戸から手ごろな距離だし、人気が出ないわけがない。
奥津の宮にある手水鉢も、江戸時代に寄進されたものだそうです。
そのころすでに人気があって、そこに自分の名を残そうとした人がいる、ということ。
手水鉢の上には亀の像が載っているのですが、これは昭和54年に寄進されたもの。結構新しい。
昔の大きな神社が皆そうであるように、寄進されたものがたくさんあります。
信心深い、というのはある意味その通りなのですが、必ず寄進者の名前が記されるので、そちらが目当ての人もいたでしょうね。
お腹も満たされたところで、灯台に向かいます。
…が、その前に貝広物産によります。
「世界の貝の博物館」って昔からやっていて有名な所。
…なのですが、少し規模縮小したみたい。
以前、子供とビーチコーミングをしたことがありました。
それ以来、長女と次女が貝殻を集めているのです。
図鑑も買いましたし、科学館で貝の専門家の講演を聞いたりもしました。
で、喜ぶだろうと思ったら、売っている綺麗な貝を見て「買いたい」と言い出しました。
自分のお小遣いの範囲で…ということでOKを出すと、真剣に悩んでいる。
次女は、桜貝とタツノオトシゴ、サンゴを飾った小さなセットの箱。400円。
…これ、この店のオリジナルですか? と聞いたら、オリジナルだそうです。
うちの姉が持っていた覚えがあるので、この店で買ったんだろうな。
長女は奮発して、ヒオウギ貝の3色セット。1300円。
お小遣いは足りているけど、千円を超えるような買い物は初めてで、すごくドキドキしている。
ヒオウギ貝は南洋の貝で、見た目はホタテに似ていますが、非常にきれいな色の貝殻を作ります。
ただ、生育過程でいろんな色が出るので、まだらになってしまったりするのが普通。
綺麗な単色の貝殻はそれだけで価値がありますが、その色違いの3色セット、というのは高いのも道理。
店の中に瓶サイダーを売っていました。綺麗な黄色。
「江の島サイダー GOLD」とラベルに書いてあります。
長男がこれを見つけ、興味を持った。
そしたら、店主のおじさんが「興味あるなら、直接買ってあげれば喜ぶよ」と。
ラベルに「江の島さんぽちゃん」というかわいいキャラクターが書かれていたのですが、店の前にそのコスプレをした女性がいました。
…いや、女性の格好が「オリジナル」で、それをかわいく描いたのがラベル、なのだそうです。
店の前を借りて、グッズ販売などしているのでした。
じゃぁ、サイダーを買い、折角なので子供と写真撮影させてもらいます。
綺麗な黄色をしているのは、「湘南ゴールド」という柑橘の果汁が入っているから。
最近ではよく耳にするようになった品種なのですが、まだ無名だったころに実物を食べたことがあります。
(農業試験場でもある、「ソレイユの丘」で売っていて、試食を食べたらすごくおいしかったので購入)
で、サイダーの方の味は、特に湘南ゴールドらしさは感じませんでした。
果汁は 3% だけだからね。
サムエル・コッキング苑に入る。ここも子供無料。ただし、灯台は有料。
3時過ぎだったのでベンチで持参したおやつなど食べつつ、シーキャンドル(灯台)に向かいます。
友達に「怖い」と聞いていた次女は、ちょっと不安がってる。
でも、上に登ったらガラス張りで、別にそれほど怖くはない、とわかったみたい。
この灯台、建て替え前は怖かったんですよ。
錆びかけた鉄塔で、床は木の板を敷き詰めて作ってあるのだけど、古いから木がやせて隙間が空き、ところどころ真下が見えるの…
いや、その怖さは遊園地とかの「安全の保障された怖さ」ではありませんでした。
で、今の灯台ですが、内部2層構造です。
下層はガラス張りで怖くないけど、上層に上ると、周囲は柵だけ。見晴らしもいい。
この日は風がないからそれほど怖くありませんでしたが、風が強いときは閉鎖されています。
見終わったら「階段で降りてみたい」と子供たちが言うので、挑戦してみます。
こちらは僕も初めて。大きならせん階段ですが、柵の外は下まで吹き抜けで、ポケットとかのもの落したら大変だな、と思うとちょっと怖いです。
まぁ、難なく下まで降りられましたけど。
サムエル・コッキング苑を出ると、前の広場で大道芸やってました。
時間はもう4時半近く。この日最後の人で、すでに終盤でした。
大道芸は好きなので見たかったけど、今日は岩屋と灯台を見る目的で来たので、仕方がない。
大道芸は好きでよく見るのだけど、好きだからこそ、「芸」のバリエーションがある程度限られてしまうことも知っています。
どこかで見たことのある芸が中心で、先の展開もわかります。
ただ、だから面白くない、ということではないのね。
落語みたいなもので、同じことをやっていても、面白くて周囲を引き込む人もいれば、一人で空回りする人もいる。
見ていた人は、上手く周囲を引き込んでいました。すごく面白かった。
知っている芸とは言っても、それが非常に難しいことはよくわかるしね。
(少なくとも僕にはできないわけで)
終わってからおひねり出しましたけど、さすがに「畳んで」はいけなかった。
最初から見ていたら、それくらい出しても良かったけど。
子供がみんな持って行きたがったので、 50円x3 、それと僕から 500円です。
江の島を橋の方向に降りつつ、いつもなら最初にお参りする神社群をめぐります。
神社もいっぱいあるけど、石碑だけとか、小さな祠だけのものもいっぱいあるのね。
節操がない、ともいえますが、やっぱり遊園地としてはよくできているなぁ、と思います。
その上、ご本尊の弁天様は裸です。大事なところはちゃんと琵琶で隠しているのだけど、江戸時代ならこの弁天像目当てで来る人だってたくさんいたでしょうね。
たしかこのあたりだと思うのだけど、水琴窟がありました。
水琴窟、好きなんだよね。
手水鉢の水で手を洗うと、その水がしたたり落ちる音が地面の下の共鳴装置で響いて、かすかに美しい音を立てる…というしくみです。
これがね、近づくと龍の形の吐水口から水が出始める。
思わず立ち止まって周囲を見回してしましました。
近づくと水が出始める水琴窟。
さすがは神様のいるところ。不思議一杯のワンダーランドです。
霊験あらたかな音感センサーに引き続き、霊験あらたかな赤外線センサー。
ここにきて、「神社は江戸時代の遊園地」だった、という考えが改まります。
今でも遊園地です。神社は聖域なんかではなく、突っ込み入れながら楽しむところ。
すごーい! たーのしー!
銭洗いの池なんてのもありました。
中央に、非常にきれいな…真新しい感じの竜の像が立っている。
ここの水でお金を洗うといいことがあるそうです。
…銭洗い弁天だよね。まぁ、同じ弁天様だけど。
茅の輪くぐりがありました。
本当は作法があるはずなのだけど、ただくぐればいいことになっている。
そもそも、茅(ちがや)が6月に取れるのでその季節にやるものなのに、今の季節に置いてある。
たぶん1年じゅう置いてあるのだろうね。茅が入手できないから、緑のビニールロープで編んであるし。
くぐることで穢れを落とせる、霊験あらたかなビニールロープです。
福石、という謎の石碑があるので、説明を読んだところ、鍼灸の技法のひとつである管針を考案した人が、ここで躓いた石だという。
転んで気絶して、夢の中で見たことがヒントになって管針を考案した、とか。
気絶するほどの転倒をした石って、福なのかな。
そもそも、石碑はあってもどれがその「躓いた」石だか判らない。
こういうの、全部ひっくるめて、すごーい、って言っていると楽しめます。
#dis っているのではない。
有名な神社だからとお高くとまらず、ウケるなら何でも取り入れてきた、数百年の歴史を見るのが本当に楽しかった。
#注釈:
歩いていた時は銭洗いの池に突っ込みを入れたのだけど、こちらはこちらで由緒あるものでした。
もともと岩屋洞窟内の湧水で銭を洗う、という習慣があったのだけど、岩屋が閉鎖された時期に移転したのだとか。
もっとも、岩屋内で銭を洗う、ということ自体が、銭洗い弁天の模倣にも思えます。
銭洗い弁天は 1185が縁起で、その時点から「銭洗い」と関連がある。
一方、江の島は縁起こそ古いものの、観光地化したのは江戸後期。
岩屋はもともと修行の場で、銭を洗う、というような俗な行為は観光地化後と考えられます。
あとはお土産に干物とか買いつつ、江の島を後にします。
もう日没直後ですが、「貝拾いたい」と長女が言うので、周囲が暗くなるまで砂浜で貝を拾います。
さっき桜貝買ったけど、大量に落ちていたよ。
でも、僕が子供の頃に比べて、桜貝を見かけなくなったのは事実なんだよね。
(これは、講演会を聞いた貝の専門家のデータ裏付けもあります)
環境破壊…かどうかはともかく、生育状況が変わっているのは事実のようで。
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