今日は内藤時浩さんの誕生日(1963)。
ハイドライドを作った人です。
ハイドライドについては、以前すこし触れています。
僕が初めて見た「フロッピーディスク」のゲームで、当時主流の記憶装置であったカセットテープに比べ、アクセスが桁違いに速いので驚きました。
…こちらの記事では、パソコン周辺事情が主眼だったので、「フロッピーディスクに驚いた」という話だけで、ハイドライドが何か書いてませんね。
とにかく、当時の大ヒットゲームでした。
パソコン持っている人ならみんな遊んでたのではないかと思うし、以前の記事に書いた通り、友達はパソコンを持っていないのに買った。
僕もパソコン持ってなかったけど、友達と一緒に楽しみながら、エンディングまで見たと思います。
当時のパソコンゲームは、単純な内容が多いのね。
ゲーム的にも、技術的にも。
キャラクターなんかも、XOR で描いたものがあったりする。
XOR って、「ビットの反転」の意味ね。色を表現するビットを反転します。
反転なので、2回描くと元に戻る。背景があっても壊さずに画面を描ける半面、表示は多少おかしくなります。
BASIC で自作したゲームなどだとよく使われたのだけど、さすがに市販するにはお粗末。
それでも、初期の市販ゲームでは XOR で描かれたものはありました。
よくできたゲームだと、キャラクタを普通に描いた後、元に戻すときは背景を描き戻します。
当時のパソコンは 1dot を 1bit で表しているので、8dot 単位で絵を書き換える。
だから、キャラクタの周りは、黒く四角く抜けたり、キャラが重なるとちらついたりします。
でも、色がおかしくなったりはしない。
そして、もっとよくできたゲームだと、背景との重ね合わせをちゃんと計算します。
キャラクタの部分を 0 、周囲を 1 にした「マスク」を and して、さらにキャラクタを or します。
キャラクタが重なっても、ちゃんと計算しているからおかしな表示はならない。
移動するときは、重なっているキャラを識別したうえで、背景もキャラも描き戻す必要があります。
計算が面倒なだけでなく、いちいちこんなことをしていたら当時の非力な CPU では処理が遅くてゲームにならなくなる。
それでもゲームとして成立させられるのは、プログラマーの腕がいい場合だけです。
ハイドライドは、これにさらに「背景による特殊重ね合わせ」を持っていた。
藪の中や水の中を歩くときは、下半身が背景に隠れるのです。
まぁ、上半身しか描かない、というだけなのだけど、当時のパソコンゲームとしては画期的な表現でした。
#ハイドライドの場合、キャラ同士の重ね合わせはなかったように思う。
描画ルーチンが対応していないという意味ではなく、ゲーム的に重ならないルール。
当時はゲームの花形はアクションゲーム。
ギャラガやドンキーコング、ゼビウス、そして「ドルアーガの塔」が流行していた時代。
しかし、パソコンはゲームを遊ぶには非力で、出来の良いアクションはそれほど多くありませんでした。
代わりに流行していたのが、じっくり考え、物語を楽しむアドベンチャーゲーム。
R.P.G. は一部の人は知っていましたが、まだ新しいゲーム過ぎて受け入れられていない状態。
こんな時代に作られたハイドライドは、ヒットゲームであるドルアーガの塔の雰囲気を取り入れ、アクションゲームでありながらアドベンチャーゲームのようなストーリーを持ち、R.P.G. の「主人公が育つ」仕組みを導入した、欲張りなゲームだったのです。
大ヒットしたのも当然というか、2年間も売れ続けるロングセラーにもなりました。
内藤さんは DAIVA も作った…と Wikipedia にあるのだけど、STORY 1 は PC-8801mkIISR 用だったので僕は遊んでないです。
当時は互換性のないパソコンがたくさんありましたが、DAIVA はそれぞれの機種に「別々のストーリー」を作るという変わったゲームです。
ゲームシステムは一応統一されているのだけど、単純な移植ではない。
ゲーム内容はシミュレーションゲームで、一部アクションゲームです。
ハイドライドは当時普及していなかった R.P.G. を、アクションゲーム風にすることで遊びやすくしたものでした。
そして、同じようにあまり普及していなかったシミュレーションゲームを、アクションゲーム風にすることで広めようとしたのです。
僕はファミコン版の STORY6 を買って遊び、ユーザー年齢層に合わせてシミュレーション部分が大幅カットされていることにがっかりして MSX 版の STORY5 も買いました。
シミュレーションで育てた「艦隊」をパスワードの形で他の環境に持って行けたりしたので、友達と楽しんで遊んだ覚えがあります。
しかし、ストーリーについては覚えていないな…
全機種のストーリーを統合すると、壮大な一本の話になったらしいのですけど、当時全部遊んだ人なんていたのだろうか。
#今は、プロジェクト EGG で全話セットなんてのがあるそうです。
最初に示した以前書いた記事のリンク、ハイドライドを含む「当時の周辺事情」の話だけでなく、後半に「当時のプロテクト技術」の話があります。
そして、この記事を書いておいたら、数日後に内藤さんご本人からコメントをいただきました。
これも、記事の後半に追記しています。
そんなわけで、ここのページは「ご本人に知られている」ので、あまりいい加減なこと書けません (^^;
間違えたこと書いたら申し訳ないので、今回はここらへんで終わりにしておきます。
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