秋の家族旅行の話を書いています。
旅行記の最後に、宿泊したホテルが非常に素晴らしかったので記しておきます。
本文中にちょっと触れましたが、
・ユネッサンの近く
・早雲山駅の近く(星空がとてもきれいに見える、と聞いていたので)
・2食付きで大人1万円程度
という条件で探したものです。
特に最後の条件は、「安宿」の部類です。
(もっと安い宿だってありますけど、決して高級な部類ではない)
でも、ホテルグリーンプラザ強羅は高級感あふれるホテルでした。
安いのに高級ホテル、という時点で、もちろん裏があります。
それを先に書いておかなくてはフェアではないでしょう。
すごい不便な場所にあります。
箱根旅行の楽しみのひとつは「乗り物に乗ること」で、箱根登山鉄道、ケーブルカー、ロープウェイ…と乗り継ぐのが正解。
でも、ホテルグリーンプラザ強羅に行こうと思ったら、歩いてはとてもいけない。
タクシーか、送迎バスを使うことになります。
送迎バスの時間は駅からホテル行きが15時30分。
旅をゆっくり楽しんでから行きたいのであれば、タクシーを使うか、自家用車で行くしかない。
今回は最初から車で旅行するつもりでしたので、この点は問題ありませんでした。
ホテル自体は、結構古そうです。
部屋の内装なども古びている感じがありました。
これも、値段を安くしている理由なのでしょう。
ただ、古くても非常に清潔感があるのね。だから、嫌な感じはしない。
さらに、激安のプランは1日5部屋限定のようです。
いろんな部屋があるみたいですが、ホテルにお任せで選べません。
今回の部屋は、建物の角で窓は多かったけど、目の前は木が立っていて特に見晴らしがいいわけではありませんでした。
多分、景色の望めない部屋を割安にしているのでしょうね。
大雨だったので景色は関係ありませんでしたけど。
#最初の目的の一つ「早雲山で星を見る」もできませんでした。
ホテルについて、まず入り口の重厚感に驚きました。
分厚い木の扉があります。自動ドアですが、重々しい。
安宿だと思ったのに、カーナビが間違えた場所に案内しているのではないかと心配になりました。
木の扉の内側には、さらにガラスの扉が付いていて外からの風が吹き込まないようになっています。
この日は大雨でしたが、このスペースに自由に使えるタオルが多数用意されていました。
ここでまた、サービスの良さに不安になります。安宿だと思ったのだけど…
フロントで名前を告げると、ちゃんと予約が入っていました。
何かを間違えたわけではないようです。
部屋の鍵を渡されて、部屋に入ります。
とても広いです。10畳床の間スペース付きの和室と、8畳くらいの広さの洋室が一続きになっていて、洋室側にベッドが2つ。
今まで泊まってきた同じくらいの値段のホテルだったら、10畳の和室で家族5人で寝てたよ?
今度は値段を1桁間違えてないだろうな、って心配になります。
スマホで予約時のメールを確認していますが、大丈夫でした。とても安い宿です。
しばらくくつろいだり荷物を運んだりしていましたけど、夕ご飯までまだ時間があります。
到着順に夕ご飯の時間を決めるそうですが、この日は雨だったこともあり早めのチェックインが多かったみたい。
17時前の到着の我が家は遅い方だったようで、夕ご飯は19時半から。
じゃぁ、先に風呂に入ってしまおう、と支度をします。
ちゃんと、大人と子供の浴衣が置いてありました。
年齢を伝えてあったので大体サイズを揃えてくれていましたが、サイズ違いの際は、各階のエレベーター前に各種サイズの浴衣が置いてあります。
子供向けが大中小の3つ、大人向けが特大・大中小の4つ。7サイズあります。
さらに、風呂に行くときに下着などを入れるための、持ち手つき不透明ビニール袋が人数分。
後で使ったものですが、歯ブラシは人数分すべて色違いでした。
旅館の歯ブラシって大体一緒だから、置く位置とかで誰のものかわかるようにしたり、工夫が必要なんだよね。
とにかく感心しっぱなしです。部屋に用意されたものの心遣いが細やかです。
風呂は決して豪華ではありません。
温泉ではあるけど、こじんまりとしている。
大文字の湯と早雲山の湯があります。どちらも箱根の山を意味する名前。
夜中に男女の湯を入れ替えているようです。
この日の夕方の男湯は、大文字の湯。内湯だけでした。
翌朝に早雲山の湯に入りましたが、そちらには露天風呂あり。
まぁ、露天風呂も小さいし、特に景色もないのですけど。
ちなみに、大文字の湯の横には、露天風呂の代わりに(?)ゲームコーナーがあります。
UFO キャッチャーが並んでいるだけで、面白くありませんでしたけど。
#レトロゲームでも並んでいたら喜んで遊ぶのだけど…
風呂場の入り口でスリッパを脱ぐわけですが、ここに「クリップとタグ」がありました。
同じ数字が書いてあり、タグがクリップに挟んであります。
スリッパをクリップでまとめ、タグをお持ちください、とのこと。
スリッパを間違えて持って行かないようにする配慮です。
服を脱いだらかごに入れるわけですが(スリッパのタグも入れてしまえばよい)、このかごのところにも、番号札の付いた腕輪があります。
かごの番号に対応していて、腕輪をつけて湯に入れば、湯上りで間違える心配がない、というわけです。
とても細かな配慮。
もちろんアメニティはそろっています。髭剃りも乳液もありますし、シャワーキャップもあります。
ドライヤーだって無料で使えます。
さらに、湯上りに濡れたタオルを入れるための小さなビニール袋も置いてあります。
男湯と女湯の分かれる場所には、冷たいお茶が置いてあります。自由に飲んでいい。
なんか、健康茶でお土産物屋さんで売っているようです。
実は、ホテル入ってすぐのところにも「ウェルカムドリンク」として置いてありました。
そば茶のような味がしました。不味くはないけど、買って帰ろうというほどでもない。
しかし、湯上りに冷たいお茶が飲める、というのは嬉しい気配りだと思いました。
夕食。
17時から調理を開始し、18時から提供開始だそうで、17時までにチェックインした大人は料理を選べます。
3種類あって、妻は魚と和牛のしゃぶしゃぶ、僕は和牛と地鶏のすき焼きを選びました。
ちなみに、もう一つは牛フィレ肉とヨーグル豚の陶板焼き。
子供の料理は選べません。
まずは、子供の料理から持ってきてくれました。
3段の重箱に入っているのだけど、その形が御所車になっている。
小学校6年生の長男が「ちょうどよかった」という分量。
3年生の長女と、1年生の次女には多すぎました。とはいえ、美味しいと喜んで食べていましたが。
大人のほうは、最初に先付だけ持ってきてくれました。
毎日メニューが変わるようですが、この日の突き出しは「もろこし豆腐」。
どうやら、トウモロコシをすりつぶして濾したものを、葛で固めたもののようです。
と、ここで妻が気付きました。子供にはトウモロコシのポタージュスープが付いています。
これはトウモロコシをすりつぶして濾したものを、コーンスターチでとろみをつけたもの。
…ということは、同じ素材で料理方法を少し変えただけです。
次はお造り。刺身ですね。これも量が違うだけで、子供にも入っていました。
刺身のツマが、ちょっと変わっている。
寒天のような、おそらく海藻を成形し直したものなのだけど、プチプチとした触感があり、ツマだけ食べてもおいしい。
また、レモンが添えてあるなー、柚子の代わりかなー、と思ったら、これがグレープフルーツ。
柚子醤油で刺身を食べれば美味しいくらいで、グレープフルーツでも当然美味しい。
絶妙なミスマッチ。ちょっと驚きでした。
次は蒸し物。冷製茶わん蒸し。
これにあたるものは、子供にはありませんでした。
…いや、鶏肉をすりつぶして野菜と一緒に固めた、つくねのようなハンバーグのようなものがあったので、もしかしたらそれが「同じ素材」かも。
長女は茶わん蒸しが好きで、食べたいというので分けてあげます。
次はメインで、先に書いた選べる料理。
まぁ、基本肉なのですが、子供にはハンバーグとチキンソテーが入っています。
続いて揚げ物。
豆乳のもろこし揚げ、というのが入っています。
なんかトウモロコシが多い。新鮮なものでも入手できたのかな。
それはさておき、名前の通り、トウモロコシのピューレに豆乳を混ぜて練り固めたものをてんぷらにしたようです。
子供には、トウモロコシのクリームコロッケが入っていました。同じような素材、似た料理方法だけど、違う料理。
他にも、オクラに海老真薯を詰めたものと、モロッコインゲンのてんぷらがありました。美味しかった。
酢の物。
〆小肌ともずく、わかめの酢の物だったのですが、「キノコ」が入っていました。
美味しかったのだけど、キノコの酢の物ってあまり食べたことが無い。
先ほどの「刺身にグレープフルーツ」もそうですが、ちょっとした変化球を入れてくるのが、食べていて非常に楽しいです。
酢の物は、子供には入ってません。
子供には酢の物嫌いな子が多いからね。
この後は、ご飯。白米か、梅しらすご飯を選べます。
でも、この時点で下の二人がお腹いっぱいになっていて、ご飯に一切手を付けてなかった。
梅しらすご飯おいしそうだな、と妻が興味を示しつつ、「子供のご飯あまりそうだから、それ食べます」とウェイトレスに伝えます。
そうしたら、厨房に行ったウェイトレスが戻ってきて、「梅しらすふりかけだけ持ってこられますが、いかがなさいましょう?」と。
これも素晴らしい対応。
もちろんいただきます。そして、僕もご飯は子供の分を食べることにします。
最後に、デザートがありました。
子供のご飯はいっぺんに重箱で出されていましたが、デザートはこのとき提供されました。
子供はフルーツたっぷりのプリン・アラモード。
大人は、イチゴケーキ、花豆のコーヒー煮、夏みかんゼリー。
花豆のコーヒー煮、甘くて苦味と香りがあり、非常においしいものでした。
結局、コース料理とほぼ同じ内容が、子供向けに違う料理方法として提供されています。
だから、大人と子供がそれぞれの口に合う違うものを食べながらも、共通した話題で会話ができる。
さらに、大人向けのほうは、見慣れた料理でありながら、どこかに変化球が入っているものが多い。
全ての料理に、どこか「驚き」を仕込むことで、これも会話の弾む料理にしている。
素晴らしい夕食でした。料理長の腕前に感心しました。
ちなみに、毎日料理を変えていると思う根拠の一つは、席に献立が置いてあり、日付が入っているため。
その日入った良い素材だけを使っているのかな、と思います。
この献立には、料理長の名前と、職務上の印も押してあります。
自信があるのでしょう。
詳細に内容を思い出しながらここに記せているのも、この献立が手元にあるためです。
朝食。
朝食は7時から。早い者勝ちで、席が満席になると少し待たされるようです。
うちは全員早起きして朝風呂に行ったので、子供たちもおなかをすかせている。
7時少し前にレストランに向かいましたが、一番乗りではありませんでした。
最初に「お留守番カード」と一緒に、席に案内されます。
幼稚園の子が描いたと思われる絵のある、A4 サイズのラミネート加工された板です。
全てのカードで絵柄が違います。子供の描いた絵がほほえましい。
必ず、人や動物が描かれていて、「私たちがお留守番します」と書かれています。
これ、食事をとるために頻繁に席を立つバイキングで、席を間違えないようにする工夫です。
また、食事が終わったらカードを返すようになっているので、食事の終わった席をスタッフが片付ける際の目安となります。
簡単な工夫だけど、細かな心遣いを感じました。
朝食は和食バイキング、となっていました。
でも、パンもソーセージもスクランブルエッグもあります。
和食「中心」ではあるけど、普通のバイキングスタイル。
でも、やっぱりメニューが一工夫あるのね。
金目鯛の頭の煮つけ、というのがでていました。
美味しいけど、食べにくいから、普通はあまりバイキングに出すようなものではない。
でも、考えてみると昨夜の「お刺身」に金目鯛が出ていました。
つまり、新鮮な魚を丸ごと、余すことなく使っているのでしょう。
そういう考え方、すごく好きです。
デザートに置いてあったフルーツの中で、パイナップルが不思議な切り方をしていました。
三日月型というか、それに少し皮の部分がついて「鎌」のような形になっているの。
そういう有名な切り方でもあるのかと思って検索してみましたが、見つかりません。
些細なことだし、気づきにくいのだけど「どうやって切っているのだろう?」とちょっとした話題を提供してくれました。
取り立てて書くことはこれくらいかな。
あとは、よくあるホテルの「朝食バイキング」。
小田原が近いのでその名産物が多い。
小田原の梅干し、小田原蒲鉾、筍と梅干を和えたサラダ、なんてのもありました。
でも、基本的に調理してなくて並べただけね。
なんか近いところの名物らしい豆腐の奴もありました。
これは、お土産物として販売している、という宣伝付き。
ご飯に載せて食べる珍味系も多いです。
こちらも大抵はお土産物コーナーで売っているみたい。
朝は準備に使える時間が短いし、すぐに食べて速く出発したい人もいる。
だから、あまり料理せずに出来合いのものを並べるバイキング形式は、どこのホテルでもやっていることです。
でも、その中でも細やかな工夫がいろいろ見られた。
やはりいいホテルだと感じました。
以上。
旅行した時には大抵宿泊した宿のことも書いているのだけど、こんなに「お勧め」したくなる宿も珍しい。
ちょっと不便な場所にあって、ちょっと施設が古いです。
そして、「非常に安い」部屋は1日5部屋しかないから、かなり早めに予定を立てておかないと予約を入れづらい。
条件は難しいかもしれませんが、箱根旅行の際にどうぞ。
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