JAXA へ行った。
相模原のJAXAが一般公開していたので、子供と遊びに行ってきた。
実は、数年前に子供と一緒に行ったことがある。
その時は公開日ではなくて、過去の衛星の模型などを見られる展示室が1つあっただけ。
一般公開日となると、やはり規模が違った。
マッハ4の風を吹かせられる大型風洞実験や、電波ノイズを完全になくしてしまう電波暗室など、大掛かりな設備も公開される。
いろいろと面白いものを見られたのだけど、全部書いているととりとめがないので、ざっと気になったものだけ記しておこう。
裏門側に駐車場があり、そちらから入ったので、メイン展示である「正門側」は最後に行った。
その都合で、地味な研究を細かく見ていて、普通は見た人が喜ぶようなハヤブサの模型とかは、疲れていてどうでもよくなっている。
なので、心に残ったのは「研究」が中心だ。
まず、宇宙太陽光発電衛星の話。
まぁ、SFでおなじみ。ジオラマなどを使って概念説明をしたり、実際にマイクロ波で離れた場所にある LED をつけて見せたり。
ここら辺は以前から度々見たことあるのね。
でも、どこにでもある普通のトランシーバーで、模型自動車を走らせるのは興味深かった。
子供たちは、ラジコンとの違いが分かっていない。
ラジコンは電池を模型に搭載し、電波で「操作するための信号」を送る。
でも、この模型は信号は送ってないから真っすぐしか走れない。
電池がないのに、走ることができる。
トランシーバーの電波は、どこにいるかわからない相手に届けるために、四方八方に飛んでいく。
それだけパワーが分散するので、距離が離れるとあっという間に受けられる電力が減ってしまう。
(実際、模型自動車はトランシーバーを近づけると速くなる)
宇宙発電では、できるだけ減衰しないように、特定方向に向けて電波を飛ばす。
…と、ここまで説明してやっと「おー、すげー」って長男が納得した。
進化したテクノロジーは魔法と変わらない、とはアーサーCクラークの言葉。
裏を返せば、「なんかすごそう」と思っていても、何がすごいのかわからない。
ある程度理解して、やっとそのすごさが伝わる。
小型レーダー人工衛星を開発中のグループ。
CCD カメラが小さく安くなり、画像で地球を監視できる衛星は非常に増えた。
でも、可視光は自然の影響を強く受ける。夜では写らないし、曇っていても地上が写らない。
災害が起きたとして、その災害現場の状況を速やかに知りたいとき、「曇っているからダメです」では役に立たない。
そこで活躍するのがレーダー衛星。雲や雨でも地上の様子を知ることができる。
しかし、分解能の高いレーダーを搭載した衛星を作ろうと思うと、今までは 1000Kg級になってしまっていたらしい。
そんなに重いと打ち上げるのもお金がかかるし、衛星自体の開発にもお金がかかる。
そこで、100kg 級で高解像度レーダー衛星を作ろうと頑張っていて、2020年ごろの打ち上げを目指しているらしい。
レーダーでどの程度の画像が得られるのかと聞いたら、分解能 1m 程度で、10km 四方くらいの「写真」が撮れるそうだ。
レーダーって、パラボラみたいな指向性の強いアンテナを動かしながら「スキャン」していくイメージがあるのだけど、強い電波を照射し、帰ってきた電波を小さなアンテナの集合体で受けることで、写真のように画像を得られるらしい。
ハイブリッドロケットの開発。
ロケットを宇宙に飛ばすには、燃料だけでなく「酸素」が必要になる。
よく使われているのは、冷やして液体にした酸素と、液体燃料を混ぜて燃やす方式だ。
これを液体・液体方式と呼ぼう。燃料漏れなどがあると、液体であるがゆえに食い止めることができず、爆発するという危険性がある。
扱いにくいのであまり使われず、日本のお家芸となっているのが、固体燃料と、固体の酸化剤を使う固体・固体方式だ。
あらかじめ混ぜてロケットの中に詰め込んである。酸化剤は酸素化合物なのだけど、熱を加えると還元されて酸素を放出する。
その酸素と燃料が結合して燃焼する。
反応が始まると止められず、爆発するという危険性がある。
これらの方式の危険性をなくすために、ロケットエンジン内に固体燃料を詰めて置き、液体の酸化剤を少しづつ振りかけながら燃やす、という方法が研究されているそうだ。
固体・液体方式。「ハイブリッド」と呼ばれている。
海外の例で、この方式で研究中のロケットが事故を起こした例があるそうだ。
エンジンは燃焼を停止し、地上に落下。パイロットは脱出し、怪我はしたが命に別状はないという。
平面指向性アンテナ。
最初の方に書いたけど、電波が四方八方に飛ぶと力を失う。地球から遠く離れたところに電波を送るには、指向性を高めたい。
パラボラアンテナなんかがよく使われるのだけど、これは繊細なものだし、微妙な湾曲があるので、ロケットにコンパクトに詰め込みにくい。
そこで、最近の人工衛星では平面で指向性を持ったアンテナが使われることが多い。
…と、ここまでは知っていた。
実際には、平面にして強度を保つため、ハニカムを金属板で挟んだ構造にしたりしているらしい。
また、パラボラを使わないのは、単にコンパクトにしづらいから、ではないそうだ。
パラボラが太陽に向いてしまうと、光が焦点である「アンテナ」に集中してしまい、すごい熱を発生する。
宇宙では空気がないため、熱を空冷することもできず、熱をどう逃がすかは重要課題だ。
パラボラはこの面でも、使うのが難しいようだ。
その「熱を逃がす」話では、ヒートパイプと、同じ太さの様々な金属の棒を持って、氷水に突っ込むという実験が大人気だった。
あまりに人が並んでいたのでやらなかったのだけど。
ヒートパイプは、銅などで作ったパイプの中に金属などで編まれた「リボン」を入れ、少しの液体を入れ、気圧を下げて密閉したもの。
一部のハイスペックなパソコンなどでも使われているので、原理を知っている人も少なからずいるだろう。
気圧が低いので、液体は蒸発しやすい。
ちょっと熱を持ったところがあると、蒸発して気化熱を奪う。
そして、冷えたところでは結露して凝集熱を放出する。
液体に戻ると、リボンに吸収され、毛細管現象ですぐに全体に広がり、乾いてしまった「熱いところ」に移動する。
気体分子は、邪魔をするものがなければ音速で移動する。
なので、ヒートパイプは音速で熱を伝えることができる。
これは、どんな金属で作られたヒートシンクよりも熱伝導が速い。
JAXAではなく、国分寺市の特設ブース。
日本初のロケット、ペンシルロケットの実験を行ったのが国分寺市だったそうだ。
ペンシルロケットの実験話は知っていたけど、場所までは記憶になかった。
その「実物」のうち1つが市に寄贈されているそうで、実物展示してた。
実物は、後部の羽根以外失われているため、欠損部分は木で作ってある。
市報で「ペンシルロケットと私」という、いろいろな人にインタビューした記事が載っていて、連載第1回~4回までのコピーと、最新版である第8回の載った市報が配布されていた。
5~7回も置いてあった形跡はるのだけど、もらいに行った時点で無かった。
人によって書いてあることの面白さは全然違うのだけど、だからこそ読んでみたかった。
中庭休憩スペースは、銀河連邦の他の国からの出店でいっぱいだった。
…銀河連邦は、JAXA の施設がある町で構成している…まぁ、お遊びだな。
実質的には姉妹都市提携しているのだけど、本来の名前ではなくそれぞれの市が「共和国」を名乗り、全体で連邦としている。
それぞれの特産品の屋台を出していた。
そして、それとは別にリポビタンDのブース。
JAXA といえば…というか、「はやぶさ」といえばリポビタンDだからね。
ブースの前にいくと、スタッフの人が「ファイトー」と声をかけるので「いっぱーつ」と返せば、無料で1本もらえる。
栄養ドリンクは子供が飲んじゃいけないんじゃ…とおもったら、リポビタンD Kids という商品があるそうで、それをいただいた。
次女は「美味しいからもう一本もらいたい」と言っていたのだけど、薬だから用法用量を守りましょう。
宇宙ヨット(と言っていいのか?)のイカロス、ペーパークラフトになっていた。
単にペーパークラフトが作れる、というのではなくて、あの独特の帆の畳み方を学習してもらうためのもの。
次女が作りたい、というので、順番待ちを並ぶ。
数人しか並んでいなかったのですぐに順番が来るだろう…と思ったのだけど、その場でペーパークラフトを作るので、一人当たり5分くらいかかる。列が全然進まない。
やっと順番が来たころ、長蛇の列になっていたので「家で作りたい方、紙だけお持ち帰りできますよー」とスタッフの方が配布し始めた。
なんだ、そんなのあるなら、それでよかったのに。
イカロスの仕組み展示。
イカロスは、太陽の光を受け、その光の圧力で移動することができる。
ここまでは知っていた。
その姿勢制御は、液晶を使っている。
液晶を透明にすると、帆に直接光が当たり、強い力となる。
液晶を半透明にすると、光は乱反射し、力は弱まる。
これで、エンジンを使わずに姿勢制御ができる。
よく考えたなー、という感じ。
そういえば、SoftBank のペッパーいました。
会話できるようにはなってなくて、一方的に研究内容の説明していただけだけど。
よくできたロボットではあるけど、ハードウェアとして使われていただけで、自慢の人工知能は見られず残念。
…と、思いつくままに書いたのだけどこんな感じかな。
なかなか楽しめました。
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