鎌倉ハムの工場が家からそう遠くないところにある。
車で出かけるときなど、時々近くを通るのだけど、半年ほど前には工事をしていた。
そのころから、完成したら工場見学ができるようになるということは知っていた。
完成したのは2か月ほど前。
見学に行こうと思ったけど、夏休みになったら「ソーセージ作り体験」を実施すると知ったので、申し込んで待っていた。
そして、やっとその日が来たので、ソーセージ作りと工場見学を楽しんできた。
料理は好きなので、もう20年くらい前に自分でソーセージを作ったことがある。
ぼそぼそとした、それほどうまくないソーセージができた。
「肉を冷やし続けないとぼそぼそになる」ということは読んでいたのだけど、どの程度冷やすのかわからない。
よく練らないといけない、ともあって、練っている間に温まってしまったようだ。
氷を入れることもあるけど、水っぽくもなるという。
冷えた牛乳を代わりに使うと水っぽくならない、ともいう。
その時は牛乳を入れてみたのだけど、冷やす力を考えると氷を入れるべきだったか、とか、よくわからなくて、ある程度は道具を買って挑んだのだけど、再挑戦しないままに道具も捨ててしまった。
#道具と言っても、腸に肉を詰めるための絞り出し袋と、特殊な口金だけ。
さて、ソーセージ作り体験。
「行ってみたい」と思っている人のために、鎌倉ハムのページではわからないことを書いておこう。
エプロンと三角布が必要、と書いてあるけど、ようは衛生的な格好で、という意味。
うちの子供は、給食当番の時の白衣と帽子を持って行ってみた。それでいい、とのこと。
持って行かなかった場合も、使い捨ての帽子とエプロンを借りられるのだけど、エプロンは大人サイズ。
小学生の子供には大きすぎるようで、みんな苦労していた。
(使い捨てなので、裾の部分は切ってしまう形になる。
また、これは体験教室を始めたばかりだから準備不足なのだと思っている。きっとそのうち子供用も用意される)
工場内は撮影不可なのだけど、体験教室は撮影可。
ただし、衛生に気を使うため、撮影機材などを触った後、調理する際は再度手を洗うこと。
#調理後に撮影したければ、また手を洗う必要があるので、何度も手洗いすることになる。
材料は1セットで2~4人分、となっているのだけど、肉を詰めるための機材に、4回半分程度の肉があるため。
皆均等に体験したければ4人までが適正なのだろう。
だけど、今回は5人で1セットで申し込んだ。子供と妻を優先して体験させ、僕は最後に余った分を詰めた。
#撮影係をやりたかったこともあるし、先に書いたように自分で作ったことはあるから。
作るのはボイルドソーセージ。燻製にはせず、ゆでて仕上げるタイプ。
燻製にしないので、煙の臭いが付かない。逆にいえば、材料に入れた香辛料の香りを楽しめる。
そこで、ノーマル、レモン、チョリソーの3種類の香辛料があり、選べるようになっていた。
ノーマルじゃ面白くないし、子供がいるならチョリソーは避けたいしで、レモンが一番人気。
肉は「よく練る」必要があるし、僕が以前に自分で作った時はその間に温度が上がってしまって失敗したようなのだけど、練済みの肉が冷蔵庫で良く冷やされた状態で提供される。
香辛料を混ぜ、腸に肉を詰める部分のみを体験する形なので、肉が温まる心配はない。
…そうか。練ってからもう一度冷やせばよかったのか。
以前に作った時は「温まると失敗するので氷などを入れながら」と書いてあったのだけど、途中で冷蔵庫に入れるとは書いてなかった。
気付いてしまえば単純な話。
肉に香辛料をよく混ぜたら、肉を押し出す銃のような器具を使って、羊腸に肉を詰め込んでいくだけ。
成形の方法は、その場で教えてくれるし、難しくない。
というわけで、ほどなくソーセージが出来上がる。
全員のソーセージを、タグ付きのひもを通して束ねて完成。
完成後は、記念撮影がある。作ったグループで、ソーセージを持って1枚。
後で記念品のポストカードに印刷してもらえる。
カメラがあるなら、渡せばそのカメラでも撮ってくれる。
使った器具は洗って返却。
ほとんどのグループでお母さんが洗っていたのだけど、うちは子供たちが「洗いたい」と言い出したので、最後に教室を出る形になった。
ボイルが終わるまで、展示見学。
鎌倉ハムの歴史などを説明した展示室がある。大体知っていたのだけど、自分の知識が間違っている部分などもあるようだ。
「鎌倉ハム」を名乗る工場などは、日本全国にもある。
鎌倉ハムというのは会社名ではなく、ブランド名でもなく、「製法」に着いた名前だから。
鎌倉でハム事業が起こったのが関東大震災前。
ここで学び、のれん分けした人々が被災し、全国各地に疎開したために全国に鎌倉ハムが広まった、と聞いたことがある。
展示によると、ハム事業を起こした外国人は、その製法を極秘として誰にも教えなかった。
しかし、関東大震災の際に周囲の日本人に助けられ、その心に感動して徐々に秘密を開示するようになった、とのことだった。
多分、どっちかが間違えているというような単純な話ではなく、製法を聞いてから、親戚などの家に疎開したものだっているのだろう。
「疎開」と言ったって、震災後すぐに行く人ばかりではなく、1~2年頑張ってから、どうしても生活が立ちいかずに避難、という人だっているだろうから。
現在も鎌倉に残る鎌倉ハム製造業者は「富岡ハム」だけなのだけど、戦後米が不足している折に、大船駅で代用駅弁として「ハムサンドイッチ」を売り出している。
当時はまだハムは高価なものだったけど、これによって一般にハムのおいしさが知られて普及した、と聞いていた。
でも、実際には「ハムサンドイッチ」の発売が先で、その時は高価な輸入ハムを使っていたそうだ。
翌年、ハムを自前で作るために富岡ハムが創業される。
大船駅で駅弁を売っている大船軒と、富岡ハムは創業者が同じだ。
当時の富豪がそうであったように、地域一帯の発展のためにずいぶん私財を投入している。
その関係で、大船駅に駅弁を、と言うときにもいち早く声がかかったようだし、それがきっかけとなってハム工場の設立もしたのだろう。
見学していたら、ボイルが終わったので試食にどうぞ、と言われた。
各自のグループで作ったソーセージの中から、小さめのものを適当に人数分、皿に取り分けてくれた。
作った時点で「これは僕が作った奴」とか、目印になるものを覚えていたのだけど、すでにバラバラになっていて誰のものかわからず。
しかし、作り立てのソーセージは本当にうまかった。
「温め直す」のではこのおいしさが出せないから、手作り体験した人にはぜひ食べてほしくて出来立てを出しているのだそうだ。
残るソーセージは、氷で急冷され、お持ち帰り用に。
アツアツのソーセージを、持って帰れる温度まで冷やすので、また少し時間がかかる。
展示室に戻って展示の続きを見る。
その後、冷えたソーセージを自分たちでビニール袋に入れ、密閉してもらう。
単に密閉しただけで真空引きなどはしていないし、賞味期限は3日だそうだ。
袋は大きく、ソーセージは1袋に入る程度の分量なのだけど、密閉されるので食べるときのことを考えて分けるといいでしょう。
うちは大体半分づつに分けました。
ゆで直してしまうと味が逃げるので、フライパンに少量のお湯を入れて蒸し焼きにするのがお勧めだそうです。
この日の夜に半分食べました。
お土産の写真をポストカードに印刷したものももらい、終了。
この後、折角なので工場見学に。
でも、工場見られるのはほんの少しだけ。説明などがあるのだけど、この説明はソーセージ体験教室をやった人は、すでに知っているもの。
スライスハムを作る工場で、結構な割合で「製品にならない規格外品」が出ていた。
あれ、おそらくは大船祭りや、鎌倉オクトーバーフェストで提供されるのだろう。
「規格外品」だけど味は変わらないハム・ソーセージを屋台で安く提供するのが、毎回大人気です。
余談。
今回作ったものは、羊腸に詰めている。ウィンナーソーセージ。
豚の腸に詰めると、フランクフルトソーセージ。
牛の腸だとボロニアソーセージ。
「ウィーンはサウンド・オブ・ミュージックの舞台になったあたりの街。
フランクフルトは、ハイジの中でクララの暮らしていた街」
と説明。
#サウンド・オブ・ミュージックの舞台は、実際にはザルツブルグなのだけど、子供向けの説明なので「そのあたり」で。
そしたら「ボロニアは?」と聞かれたのだけど、ボローニャを舞台とした、子供でも知っている有名なお話ってあったかな?
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