先に書いた通り、GAME ON 展を見に行きました。
ちょうど、未来科学館のリニューアル直後のタイミング。
せっかくなので、リニューアルの様子を書いておきましょう。
まず、ドームシアターの映画「9次元から来た男」から。
ここに関しては、もともと映画なので、リニューアルとは言っても施設が何か変ったわけではない。
新作映画が作られましたよ、と言うだけ。
ドームシアター、実ははじめて入りました。
いつも人気で、開館時刻に行っても満席のことが多いのだよね。
朝早くなのに満席って、なんでだろう…と思っていたら、WEB から予約可能なことを今回初めて知りました。
映画の内容は、ネタバレになるので詳細を書けません。
でも、非常に上手に作られている。
見るのであれば、超ひも理論について少し知っていたほうが楽しめるでしょう。
知らないと楽しめない、というわけではないけど、通り一遍の知識があるだけでも、ずっと楽しくなるから。
ドームシアターは、プラネタリウムにも使えるし、立体眼鏡を使って立体映画も見られるようになっています。
「9次元から来た男」は、この設備の特徴を非常に上手に使いこなしている。
ちなみに、未来科学館のオリジナル映画で、ロケ地としても未来科学館が使われています。
あ、ここ7階の休憩所の外側デッキ部分だ、とか思うだけでも面白い。
子供の感想:
「カラビ・ヤウが可愛かった」
僕もそう思った。映画 TRON の「ビット」みたいな感じ。
意味が分からないなりに、7歳になったばかりの次女にも楽しめる映画ではあったようです。
今回のリニューアル、主に7階なのかな。
以前は しんかい6500 の実物大モックアップがあり、その周辺は地学を中心としたコーナーになっていました。
内容を見る限り、東日本震災を受けて、地学を「防災」の観点から見直した感じ。
目玉は、リスクを表現した大ジオラマ。
人間や花が描かれたドミノが並んでいて、「リスク」がぶつかると倒されます。
リスクは赤いボールで表現されていて、いろいろなところからやってくる。
例えば、ジオラマ奥に「火山」があります。
普段は止まっているのだけど、時々リスクの赤いボールを吐き出す。
この吐き出す数も、少しだけだったり、多数吐き出したり。火山の噴火が一様ではないことを意味しています。
ジオラマの左端には、「地震」があります。
リスクのボールを受けてある皿があって、時々揺れています。
小さく揺れる程度では、リスクのボールは転がりださない。
このリスクは、地底深くから登ってきて、皿にたまり続ける。
皿が大きく傾くことがあります。
その時溜まっていたリスクのボールが一気に吐き出される。
でも、そもそもボールが少ないと、皿が傾いても被害は少ない。
たくさん溜まっているときは、大きな被害が出ることになります。
皿の隣に「津波」があって、リスクのボールがいったん蓄えられて時間差攻撃になったりすることもある。
ジオラマ全体では二つの大陸があって、「感染症」とか「環境汚染」というリスクもある。
これらは、火山や地震のリスクに比べると小さいのだけど、条件次第では大陸間を超えてリスクを与えてしまう。
また、大陸間の海からは「巨大台風」のようなリスクが発生します。
このジオラマがすごく良くできていて、見ていて飽きない。
大地震と大噴火が重なってしまうときなんて、本当にバタバタと人が倒れていく。
でも、ドミノにボールが当たるかどうか、だから、確率問題で全部倒れてしまうことはない。
そして、しばらくたつと人はまた増えます。
この展示を作るのには結構時間がかかったでしょう。
そして、公開直前になって、熊本で地震が起きてしまった。
#まだ落ち着いていないのでこの日記に書いてませんね。
後から見たときのために書いておけば、4月12日と14日の2回、熊本を中心として震度7の地震が起きています。 まだ強い余震が続いていて、避難者も多い現在進行形の状態。
うちの子供たちも、「熊本は今こんな感じなの?」なんて聞いていました。
不謹慎だと思う人もいるかもしれないけど、科学館で展示されている内容と、現実の世界を結び付けられるという意味では、非常に良いタイミングだったと思います。
ジオラマ周囲には様々なリスクに関する展示があり、当然地震計もありました。
リニューアル前から、日本中の地震計からのデータを使って「リアルタイムに起きている地震を可視化する」展示はあったのだけど、そこで熊本地震の本震時点でのデータを再現していました。
係の人に話を聞けたのですが、リスクを正しく知ってもらいたい、というのが展示の意図だそうです。
住んでいる地域のリスクを示されると「怖い」という人がいる。
リスクを明らかにすることが嫌がられるので、隠して見せないようにしてしまうこともある。
一方で、日本中にリスクがあることを示すと、どこにいても一緒なのだから仕方がない、と言って終わりにしてしまおうとする人もいる。
そうではなくて、リスクがあることを知ったうえで、そのリスクを少しでも軽減する方法を考えて欲しい。
あらかじめ準備をしておけば、リスクは減らすことができるのだから。
別のコーナーでは、地震やテロ、戦争などについて考えさせるものもありました。
リスクは自然災害だけではありません。だからこそ準備しないといけないし、回避だってできるでしょう。
リニューアルその2。
iPS 細胞についての展示が作られました。
ミニシアターが6部屋ほど。
1部屋の椅子の数は2つ。周囲に立ち見ができますが、せいぜい1部屋5人でしょう。
部屋ごとにストーリーが違うようですが、医療と iPS 細胞がテーマの模様。
健康な人にも iPS 細胞で何ができるのかを考えて欲しくて、自分が難病だったとしたら…と考えてもらう内容にしてあるようです。
自分のこととして考えられるようになったところで、奥の展示コーナーに進みます。
シアターは結構並ぶので、飛ばして奥のコーナーだけ見ることもできます。
さて、このコーナーで面白いと思ったのが2点。
まず、シアター個室の壁を木で作ったこと。
細胞 (Cell) の話をするのに、木質 (Cellulose) を使っていて、小部屋 (Cell) なわけです。
このシアターの入り口の上には、空いた部屋を示す LED の電光表示があります。
空きが出ると、緑色で、人が歩く絵によって「侵入可能」を意味します。
歩行者用青信号のマークだと考えてもらえばいいかと思います。
それ以外の時は常にオレンジ色で進入禁止を意味する絵が出ている。
この絵が、面白い。
歩行者信号の、立って待つ人の絵があります。枠だけの線画と、塗りつぶしの2パターン。
それと、アメリカの歩行者信号のような、手のひらで静止を表現したマーク。
しばらく待っていると、おもむろにそれらの絵から、「ライフゲーム」(ライフゲイム)が始まります。
ライフゲームは、生物の状況を非常に単純化したシミュレーションです。
条件が良ければ生物は増えるし、条件が悪いと死滅する。
そして、普通はある状態で安定してしまう。
「世界」をマス目に区切って、それぞれのマス目に生物がいるかいないか、の2値で表現されます。
マス目 (Cell)を使うので、セルラー・オートマトン (Cellular automaton) と呼ばれます。
ここでも、細胞を意味する「セル」という言葉が出てくる。
そして、人の形や手のひらの形から、増殖や死滅を繰り返すライフゲームを始めるということは…
「人の体から、好きな形に増殖を始められる iPS 細胞を取り出すことができる」
という意味を暗喩しているのでしょう。
説明するのが非常に長くなったけど、小さなスペースに2重3重の意味を込めているので、非常に感心したわけです。
他にも、展示の位置が変わっていたり、小さな変更は多数ありました。
様々な場所に、みんなの疑問が電光掲示されていたり、というのもあったけど、今のところうまく使われているようには見えない。
今後、偉い人からの答えとかも集めていくのかな?
#家族で良くいく科学館、理科ハウスには、みんなの疑問にみんなで答えるコーナーがある。
これは非常に面白いので、疑問掲示自体はうまく使えば面白いことになると思っている。
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