今日は、ダグラス・エンゲルバートの誕生日(1925)
マウスの発明者、とよく言われるのですが、これはあまりにも過小評価…という話を以前書きました。
まだコンピューターが計算機にすぎず、ディスプレイは接続されていてもグラフ表示を想定したものだった頃に、彼は「ディスプレイ上で文章を編集する」ことを思いつきました。
これが、世界初 (1968年) のワープロです。
もっとも、今ではワープロの中でも特殊な位置づけの「アウトラインプロセッサ」に近いものです。
これ以前は、接続されたディスプレイは、グラフ表示に適した「ベクタースキャンディスプレイ」でした。
しかし、ベクタースキャンディスプレイは高価だったので、エンゲルバートは工夫して普通のテレビを接続します。
普通のテレビは、ベクタースキャンディスプレイよりもずっと安いですし、何よりもコンピューターから遠いところでも表示ができる、という利点がありました。
ベクタースキャンでは、コンピューターがディスプレイを直接制御していたのですが、テレビなら「放送」で画面を送れます。
これにより、同じ画面を遠く離れた複数の人が見て、文字や音声で会話をしながら文章をまとめ上げる、というようなビデオ会議システムが実現します。
これは同時に、オンラインチャットシステムでもありました。
マウスは、このシステムで使われた、入力機器の一つにすぎません。
エンゲルバートを「マウスの発明者」とするのは、あまりにも過小評価だと言えるでしょう。
ここら辺の話、詳細は追悼記事に書いています。
エンゲルバートが作ったシステムは、現代の WEB にも影響を与えています。
それ以前に、MEMEX と呼ばれる、関連する文書間にリンクを張って保存しておける、という「構想」がありました。
これは、構想だけで実現できてないのね。
コンピューター以前のもので、マイクロフィルムを使うことになっていた。
技術的にそれぞれをどう実現したらよいか…というところまで踏み込んでいましたが、実現はされなかった。
この MEMEX を作りたいと思っていた人が、エンゲルバートのシステムをみて「コンピューターで作ろう」と考えます。
そして、こんなシステムがあったら世界はきっとよくなる、という文章を書いて広め、資金提供者が現れるのを待ってシステムを作り始めるのです。
でも、このシステムは最初に大きなことを考えすぎた。
当時のコンピューターは性能が低くて難航します。
難航している間に、文章を見た人が一部機能だけを取り出して作ったのが、現在の WEB システム。
その間にコンピューター技術が進んだ、というのも大きかったのだけど。
ここら辺の経緯は、追悼記事から1年たった命日の記事に書いています。
このときは、なんと MEMEX 構想を考えた人の命日と、MEMEX 構想が発表された日と、エンゲルバートの命日が3日連続していたので、歴史の流れを追いながらゆっくり話ができた。
さらに WEBが作られた話は別のところにありますけどねー。
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