一昨日のお出かけのあと、子供たちと夕食を食べにガストに入った。
(ガストがいい、というのは長女・次女のリクエスト)
ガストでは、子供向けに「ラッキーセット」という商品を販売している。
セットを買うとガチャガチャのコインがもらえる。つまりは、何かおもちゃがランダムでついてくる。
次女(6歳)、以前にガストに来た時に、女の子用のおもちゃで「鏡」を入手している。
自分の髪の毛を飾るのが好きな次女、この鏡はお気に入りでよく使っている。
その鏡の入った女の子向けセットガチャガチャがまだあった。
鏡、髪ゴムなどを入れられる小箱、櫛、それらをまとめて入れられる巾着袋、の3つのうちのどれかが出る。
ガチャガチャを回す前に、「何が出ても文句なし」だと言い含めた。
わかっている、という次女。すでに持っている鏡が出るかもよ、と言ったら「それは考えてなかった」という顔つき。
結局、出たのは巾着袋だった。
長女曰く、次女は以前から巾着が欲しいと言っていたそうで、次女的にはあたり。
#このセットのものではないが、小さな櫛はすでに持っているので。
さて、ここからが今回の本題。
味をしめた次女、「ガストにあと2回行けば、全部揃うかも~」と言ってきた。
揃うかも、でいえば、確率問題だから揃う可能性はある。
でも、そんなに簡単にはいかないよ、とやんわり伝えた。
いや、子供が夢を見ているのは構わない。
問題は、大人になっても同じようなことを考える人が結構多い、ということだ。
4種類のおもちゃが入ったガチャガチャで、すべてが同じ確率で出るとしたときに、4種類そろえるのに何度回せばいいか。
まぁ、4回で種類が揃うなんてことはないだろう。ダブったりするから6回くらい?
と多くの人は考える。
1度目は何が出たってかまわない。4種類のうち、4種類どれが出てもいいので、4/4 の確率になる。
2度目は、1度目と違うものが出てほしい。 4種類のうち、3種類のどれかが欲しいので 3/4 になる。
以下同様に、3度目は 2/4 で、4度目は 1/4 。これを全部掛け合わせると、3/32 = 0.09375
次女が期待するように、4回ガチャを回して4種類全部を入手できる確率は、1割未満しかない。
じゃぁ、何度くらい遊べばコンプリートするのか。
n種類の景品がランダムに当たるとき、n種類全部を揃えるのに「期待される」景品を引く回数は、以下の式で求められる。
n * (1/1 + 1/2 + ... + 1/n)
なんでそうなるのか、はややこしいので言及しないけど、この式に n=4 を当てはめてみれば答えは出る。
4 * (1/1 + 1/2 + 1/3 + 1/4) = 8.333...
これは「期待値」であり、この回数景品を引いたら、半分の確率でコンプリートできるよ、という回数。
8回だと微妙だけど、9回なら半分以上の確率でコンプリート。もちろん運が良ければこれ以下の回数だし、運が悪ければ青天井。
なんだ、4種類に対して8回だから、大体2倍か、なんて思ってはならない。
10種類になれば、大体 30回、3倍の量を引かなくてはコンプリートできない。
古い話だけど、動物の森カードe なんて、全 308枚あったぜ。
4シリーズに分けて発売されて、1シリーズが64枚~90枚。
たとえば、90枚のセットをコンプリートするには、457枚買わないといけない計算になる。5倍だ。
1セット5枚入りで発売されていたから、92セット買わないといけないな。
それを、4シリーズ分。
うちの妻が3セットコンプリートしていたのだけど、よくやったな。
#1セットコンプまで自力でやって、それで余ったカードをトレードして3セット揃えたのですが。
手元に1セット残して余ったものをオークションにかけたら、つぎ込んだ金額が大体帰ってきたらしい。
#そもそもこれは「トレーディングカード」であって、一人で集めるような設定の数値になっていない。
一人では集められず、トレードすることが前提だから「トレーディングカード」なのだ。
また別の話。
以前書いたかもしれないけど、探したら見つからなかったので多分書いてない。
以前、ドーナツ屋でスクラッチくじをもらったことがある。
6つの隠された絵のうち、3か所を削る。3カ所とも当たりが出たら、ぬいぐるみがもらえる。
外れたから全部削ったら、ちゃんとすべてのカードに当たりが3か所入っている。
だから、必ず当てられる。絶対当たらない、というインチキはない。
その場で確率計算してみると、非常に巧妙な確率。
最初の1カ所は、6 カ所のうち 3 つ入っている当たりを出せばいいので、3/6。
2番目の個所は、残り 5カ所のうち、2つ入っている当たりを出せばいいので、 2/5。
そして最後の1カ所は、4カ所のうち1つを当てればいいので、1/4。
これを全部掛け合わせると、1/20。5% の割合で当たりが出る。
でも、多くの人は「6カ所中3カ所あたりがあるのだから、半分の確率」と考えるだろう。
認識と実際に大きなずれがある。
このときのカードは 300円で1枚もらえた。
ドーナツ屋の客単価が 600円だとして、1人2枚もらえる。1グループ5人程度で来ると、10枚ある。
2~3回グループで訪れると、1人はぬいぐるみが当たる、という設定になる。
もしくは、店に滞在している間に、誰かお客さんの一人くらいはぬいぐるみを受け取りに行くかもしれない。
これがまた巧妙で、周囲に当たった人がいるのを見せて「あぁ、やっぱちゃんと当たるんだ」と安心感を与える程度の設定。
先に書いた「半分当たり」という勘違いと合わせると、自分が外れたとしても今回は運が悪かっただけ、次はきっと当たる…と勘違いしてもらいやすい。
これで「私も欲しい」と思ってもらえれば、何度もお店に足を運んでもらえる。
非常に巧妙な確率設定にしてある、と唸った。
余談だけど、確率は大学でみっちり勉強した。
1年の時の講義を、3年になってもまだ聞いていたくらい。
#2回も落とした、とも言う。教授が厳しくて落とす人多数の講義だったのよ。
3年目はさすがにわからないところは教授に直接聞きに行き、おかげで確率は非常に詳しくなった。
そして、僕はゲームプログラマなので、確率は大切な道具です。
大学の時3年も確率を勉強したのは、非常に役に立った。
いや、冗談ではなく、3年もやり続けたから肌感覚として確率がわかるようになった。
1年で単位取得した人は、頭は良かったかもしれないけど理解は浅かった。
それでも、巧妙な確率設定って結構難しい。
上手な設定は、多くの人が勝手に勘違いして、幻想を抱いてくれる。
ゲームを作るうえでは、確率設定次第で面白さが全然違ってしまうこともある。
いわゆる「ギャンブル」に限らず、世の中ギャンブルだらけ。
上のスクラッチのように、多くの人が「半分」と思うものが、実は 5% しかない、なんてことは良くある。
確率の怖さを知らないと、ギャンブルであることにも気づかずに、ギャンブルに巻き込まれたりします。
もっと多くの人が、少しでよいから「確率」という数学分野を知っているといいと思う。
#保険とか、実はギャンブルです。比喩ではなくもともとギャンブルの一種。
自分の生活に合った適正な掛け金を設定しなくては、損をするだけになります。
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