2015年10月01日の日記です


デイブ・アーンソン 誕生日(1947)  2015-10-01 14:22:11  コンピュータ 歯車 今日は何の日

今日はデイブ・アーンソンの誕生日(1947)。


ロール・プレイング・ゲーム…いわゆる「RPG」を考案した人です。

RPG、いろいろと形は変わっていますが、今でも人気のゲームジャンルの一つです。




アーンソンが考案したのは、ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ、いわゆる「D&D」というゲームです。

発売されたのは 1974年。


RPGは1980年代前半のアメリカでは人気のゲームで、1982年の大ヒット映画「ET」の冒頭でも、子供たちが遊んでいます。

この時代ですので、コンピューターゲームではない。よく「ボードゲーム」とされるのですが、いわゆるボードゲームとも違う。


愛好者からは、テーブルトーク、と呼ばれています。

テーブルの周辺に集まって、お話をするゲーム。



お話をすることの何がゲームなのか、知らない人には理解されにくいのだけど、ちゃんとルールがあり、ゲームとして成立しています。


まず、遊ぶ人は、プレイヤーとマスターに分かれます。

マスターは一人で、それ以外がプレイヤー。プレイヤーが2~4人くらいいると楽しいです。


マスターは、プレイヤーに状況を説明します。

「シナリオ」として販売されているものもあるけど、基本的にはマスターが自由にお話を考えていい。



 薄暗い森を進んでいくと、そこに一軒の小屋がたっていた。

 小屋の隣に炭焼き釜があり、その前には薪が散らかっている。

 小屋にはかぎが掛かっており、人のいる気配がない。


さて、こんな状況が説明されて、プレイヤーは自分がどのように行動するかをマスターに伝えることになります。


窯を調べてみてもかまいませんし、小屋のカギを開けられないか試すこともできます。

小屋の主が帰ってこないか、夕暮れまで待ってみてもよいでしょう。


いずれにしても、マスターはプレイヤーの選択の結果を伝えます。

ただお話を読んでいるのではなく、プレイヤーは自由な行動をとれますし、マスターもそれに対応して、臨機応変に受け答えます。


おそらく、マスターは大きな話の流れを準備しているでしょうが、細かな部分は決めていません。

その場のアドリブで決まっていきます。それがゆえに、どんな突拍子もない行動に対しても対応できるのです。




でも、これだけだと想像でお話を作って「ごっこ遊び」しているだけで、ゲームではありません。


プレイヤーは自由に行動できる、と書きましたが、実際には制約が付きます。

その制約は、役を演じること。あらかじめ、プレイヤーは、その世界の中でどのような人物を演じるのかを詳細に決めてあり、その人物ならそこで何を行うか…という観点で動かなくてはなりません。


人物の「詳細」は、すべて点数化されています。筋力の強さ、頭の良さ、すばしこさ、器用さ、魅力、運の良さ…などなど。

頭が悪い人物を演じるのであれば、プレイヤー本人が罠に気づいたとしても、あえて気づかずに罠にかかる、というような行動も必要です。


「役を演じる」という、プレイヤーとマスターとの間の了解により、マスターはあらかじめ「あの人物ならここでこういう行動をとるだろう」と予測してシナリオを準備することができます。

全員の協調作業によって、マスターが用意したお話を楽しむ、というのがテーブルトークの一番重要な点です。


「役」は英語で「ROLE」(ロール)、役を演じるは「ROLE PLAYING」(ロール・プレイング)。

それを目的としたゲームなので、ロール・プレイング・ゲームなのです。




ところで、行動をする際に、役を演じる以外の制約がまだあります。


先の状況説明で、プレイヤーの一人が「カギを開けてみる」と宣言したとします。

じゃぁ、開いたかどうかを、その人の器用さで確かめてみましょう。


先に「器用さ」などが数値化されている、と言いました。大きい数字ほど「器用」だということです。

プレイヤーがさいころを転がして、器用さの数字よりも小さければ、カギ開けに成功することにします。


器用な人物ほど、カギを開けやすいわけです。



でも、さいころで決まるなら、ダメもとで試してみても…


プレイヤーがそんな考えを持っていたら、マスターは失敗した際に「不器用にカギをいじったから、カギが壊れて絶対に開かなくなってしまった」など、制裁措置を返すことだってできます。


不慣れなプレイヤーは「役を演じる」ことの意味が分からないかもしれません。

しかし、上手なマスターが、このような形で適切にプレイヤーに「余計なことはしないほうが良い」ことを教えていけば、そのプレイヤーも本来の楽しみ方をできるようになります。




これが、テーブルトークの楽しみ方。

はっきり言って、マスターの技量がゲームの面白さを大きく左右します。


僕は高校生の頃に友達と遊んでいて、マスターは最初は持ち回りでやっていたのだけど、僕は良いマスターではなかった(笑)

とても上手にシナリオを作り、マスターをやる奴がいたので、最終的にはそいつがマスターをやる、という形に落ち着きました。



非常に細かなルールがあるのだけど、それらはマスターだけが知っていれば、とりあえず大丈夫。

マスターはこの世界の「神」なので、あえてルールを逸脱することだってかまいません。


大切なのは、みんなでお話を楽しむこと。ただの「ごっこ遊び」に終わらせないために、そのほかのルールがあるのです。




話をデイブ・アーンソンに戻しましょう。


D&Dよりも前、1960年代には、ウォーシミュレーションと呼ばれるゲームが流行していました。

六角形のマス目に地形を設定して、そのマス目の上を駒を動かして戦うゲーム。


誤解を恐れずに言えば、将棋を複雑にして、できるだけ現実に近づけたものです。

ここでも、戦闘の際にはさいころを転がして勝敗を決定したりします。


同じころ、ファンタジー小説の「指輪物語」も流行しています。(シリーズの発刊は1941~1950年代半ば)

イギリスの作家トールキンによる作品で、ヨーロッパ各地に残る伝承などをまとめ、体系化し、あいまいな部分を規定し、架空の国の物語として、空想的でありながらリアルにまとめ上げたお話です。


たとえば、「オーク」といえば、恐ろしい小鬼、という程度の伝承しかありませんでした。

指輪物語の中では豚の顔をしていて背の高さは人間と同じくらい、軍隊を組織して戦うが、知能はそれほど高くない…というように、細かな設定がなされています。



この細かな設定は、ゲームの格好のネタでした。

アーンソンの友人、ゲイリー・ガイギャックスは、ファンタジー世界で、大軍勢を率いて戦うウォーシミュレーション、というゲームを試作します。


しかし、アーンソンはウォーシミュレーションに問題を感じ…つまりは、飽き始めていました。

両軍を動かし、そこかしこで起こる小さな戦闘をひとつづつサイコロを振って処理し、特殊状況でのルールを間違いなく適用し…

ウォーシミュレーションは、1回遊ぶのに2~3日かかるような場合も多く、気軽に遊べるものではありませんでした。


アーンソンは、大軍勢を動かすのではなく、プレイヤー1人が、ゲーム内の1人の人物のみを受け持つ、というゲームを提案し、ガイギャックスとともにルールセットを作り上げます。


2つの軍が戦うと、不公平がないように厳密にルールを適用しないといけません。

でも、プレイヤーはみな仲間で、共同で危機を乗り越えるような形式であれば…



当初は「戦闘」のみを楽しむ形だったルールが、お話の中で戦闘がおこる形に代わって行き、やがてはお話が重要となっていきます。


こうして出来上がったのが、D&Dでした。


D&Dは、特殊なさいころを多数使います。4面、6面、8面、10面、12面、20面のサイコロが必要。

ルールブックと、これらのサイコロ、キャラクターの詳細数値などを記入する紙、マスターの手元(シナリオが置いてあるでしょう)を隠すためのついたて…など、いくつかのアイテムが箱に入れられていました。


はっきり言えば、さいころもキャラクターシートもついたても、そこら辺のもので何とかなる。

ルールブックは必要だけど、大体覚えてしまえば何とかなる。


D&Dって、買わないでも遊べたわけです。でも、買うとかなり高かった。当時1万円近かったのではなかったっけ。


それほど売れるわけではないので、扱っているおもちゃ屋さんまで、電車に乗っていったりしました。


#僕は買わなかったけど、友人が買うのにつきあった


基本セットを購入しても、シナリオを作る、というのは能力が必要で、誰もができるわけではありません。

これらは、別売りの追加セットとして発売されています。


マスターの能力が面白さを大きく左右するゲームですが、初心者マスターでも最初は市販のシナリオを使いながら学べるのです。

これがまた、高いんだけどね。



#今では、D&Dも一部が無料配布されています

 プレイヤー向けの簡易ルールブックとか、試しに遊んでみたい人向けの初心者向けルールとかだけど。




D&Dの大ヒットで、類似ゲームもたくさん出ました。


高校時代には、T&Tもよく使いました。トンネルズ・アンド・トロールズ。


D&Dが「竜と地下迷宮」なら、こちらは「鬼と坑道」ですね。


先に書いた通り、D&Dは高かった。

でも、T&Tは、普通の本屋で流通できる「ルールブック」一冊あれば始められます。


あとは、普通の6面さいころがいくつかと、キャラクターの数値を記入するメモ用紙があればいい。


MSX の HALNOTE でキャラクターシート作って、感熱プリンタで印刷して、コンビニでコピーして使ってましたけどね。




僕は「混沌の渦」のルールブックもってます。これもRPG。

T&Tと同じように、書籍扱いで売ってたので安かった。


内容はかなり変わっていて、16世紀イギリスが舞台です。

いちおう「剣と魔法の世界」でもあるのだけど、16世紀イギリスなので、魔法を使っているのがばれると魔女狩りにあったりする。


だから、派手な魔法は使えない。

盗賊がカギを開けるときに成功確率を上げる、とか、戦士の次の一太刀で相手に致命傷を負わせる、とか、確率操作が中心になる。


ダメージシステムも変わっていて、かすり傷がたくさんでも、深い傷が一つでも、同じように「痛い」のだけど、治りが違う。

翌日になるとかすり傷は全部治ってるけど、深い傷は正しく手当てしていないと悪化する。


職業も派手な「剣士」とかは少なめで、肉屋とか薬草師とか、そういうのが多い。

というのも、16世紀イギリスでは自由に旅をすることが禁じられていたから。


職人や商人は、必要性があるから旅が許可されていて、シナリオの都合上そういう職業の人々が中心になる。

ルールブックには、16世紀の知識による(現代的には間違っている)薬草の一覧などが載っていて面白い。


ファンタジーだから何でもあり、というのではなくて、すごく泥臭く、16世紀の人々の暮らしを追体験する感じ。

友達の間でこのルールでプレイしてみたら、不評でした。

想像の世界の中くらい好き勝手したいのに、させてもらえないんだよね。


でも、個人的には好き。




RPG幻想辞典には、巻末付録で簡単なRPGのルールがついていました。


この本は、ヨーロッパの神話、アーサー王伝説、指輪物語など、RPGのネタにされることが多いお話や、RPGに登場することの多いモンスター、武器、道具、魔法などを説明したもの。


特にテーブルトークでマスターをやる人には「必携」だった本ですが、単にファンタジーの解説本としても秀逸。

そして、ファンタジーから興味をもって、テーブルトークを遊んでみたくなったら、簡単なルールもついている、というよくできた構成。


他にも、こうした本はあったと思いますし、雑誌などでもオリジナルのルールを掲載することはありました。




D&Dを遊んだ様子を掲載する…という手法で書かれた小説(?)「ロードス島戦記」では、雑誌掲載時はD&Dを使用していたのですが、単行本発行時に、D&Dのルールをそのまま利用する許可が得られませんでした。


#詳細は知らないけど、ルールを知ることができる「書籍」を発売してしまうのは、D&Dの基本セットと競合するためかな?


そこで、「ロードス島RPG」という、オリジナルのルールが作られます。

単行本は、このルールに従って書き直したものになっています。


#ロードス島は、「誌上リプレイ」から始まって、小説、アニメなど、多角展開した。

 これも、最初に掲載された「D&Dのリプレイ」がよくできていたためだが、書き換えに伴って少し変わった部分などもあり、最初のものは当時の雑誌でしか読むことはできない。



後に、同じ作者による別のルール「ソードワールドRPG」と統合したそうです。


#統合前に、ソードワールドでは何度か遊んだ覚えがある。



…などなど。ほかにももっとたくさんあると思います。




混沌の渦のルールはそのままに、時代設定だけを「日本の江戸時代」に移した、時代劇の渦、なんて言うのもあった。


#混沌の渦を持っていることを前提に、違いだけを記す形で雑誌掲載された。

 僕は雑誌は持ってないので、詳細知りません。




さて、D&Dを元に、コンピューターで遊べるようにしたのが Wizardry


サイコロ転がしたり、計算したり…という面倒な部分をコンピューターがやってくれるので、ある意味テーブルトークより遊びやすくなった。


ただ、人間がマスターをやるような、柔軟な対応は無理。

迷宮を探索し、敵と戦闘する緊張感を中心としたゲームになりました。


戦闘は、本当に緊張するものです。ランダム性が高すぎるから。

たとえば、6面さいころ2個のダメージ…となっていたら、2~12と、最大値と最小値で6倍も差があります。

予測不能な部分があって、弱い敵との戦闘でも、必ず勝てるとは言い難い。


コンピューターRPGでは、「役割を演じる」という意味合いは薄れて、ゲーム中に主人公たちが成長するゲーム、という意味合いに変わったように思います。



ファミコンのドラゴンクエストでは、全然違う方法で戦闘などを計算していました。

詳細な方法は知らないけど、ランダムの影響が少なくなっていたので、戦闘で勝てる敵かどうかを判断しやすい。


そして、Wizardry ではカットされた「シナリオ」を、選択肢が非常に少ないものではありながら、実現しました。

(ドラクエが、ではなく、ウルティマがすでにやっていたのだけど、もっと上手にやった。)


日本では、RPGは「シナリオを楽しませる」ものに変化して、戦闘の緊張感などはどんどん無くす方向になったのですね。

戦闘で勝てなくても、同じところで粘っていればいつか主人公が強くなるので、時間さえあればだれでも先に進める。


これが、アクションゲームなどが苦手でもゲームは遊びたい層に訴求し、一時期は家庭用に発売されるゲームがRPGだらけになりました。


最近はこうしたRPGの「シナリオ」が大きくなりすぎて、遊ばないといけない時間が長くなりすぎたためにファンが減る傾向にあるようですが…



今でも、RPGはゲームの主要ジャンルの一つです。



#翌日追記

翌日はWizardryの話書きました。




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申し訳ありませんが、現在意見投稿をできない状態にしています

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あきよし】 ROLE の綴り間違い、指摘ありがとうございます。修正しました。ROLLはさいころを振るほうですね。 (2015-10-02 17:27:27)

【m.ukai】 「ロードス島戦記」連載されていたのは「リプレイ」ですね。小説はリプレイとは別に(リプレイを下敷きにして)あります。 (2015-10-02 11:50:23)

【m.ukai】 ×roll ○role。 (2015-10-02 11:39:15)


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