1日使ってみて、Windows10 の「スタート画面」の設計には多少問題があるな、と感じてきたので書いておこう。
Win95 以降の「スタートメニュー」と、Win8 の「スタート画面」には両方とも批判があり、その折衷案として作られたのが Win10 の「スタート画面」なのだけど、折衷案であるがゆえにどっちつかずの問題が起きている。
話は、Win8 のスタート画面から始めたほうが良いだろう。
Win8 では、スタート画面は「横スクロール」だった。表示される際の起点は、長い画面の左端。
なので、右に向かってスクロールしていける。
だから、僕はよく使う機能を、左下に沢山配置していた。
スタート画面に移行するには、デスクトップ左下のスタートボタンを押すことになる。
つまり、スタート画面開始時にはカーソルは左下にある。
この周辺によく使う機能をまとめておけば、マウス移動距離が短くて済む。
Win8 以降の ModernUI ソフトには、ライブタイルという機能がある。
わざわざアクセスしないでも、最新の情報などを表示してくれるのだ。
これらは、右の方に配置しておく。
左下から配置したい機能が増えると画面外に追い出されてしまうが、元々「表示されていればありがたい」程度の機能なので、見えなくても問題は無い。
Win10 では、Win95 の「スタートメニュー」に倣って作り直された。
Win95では、リストは縦に並ぶ。なので、スクロール方向も縦に改められた。
最初に表示される際の起点は、リストの一番上だ。下に向かってスクロールする。
これが、「マウスカーソルは左下にある」というのと相性が悪い。
上が起点となるので、左下によく使う機能を集めるのが難しい。
もちろん、その位置に集めることは、不可能ではない。
Win95以降では、スタートメニューは、状況によって縦幅も横幅も変わる。
しかし、Win10では、あらかじめ指定した固定幅になっている。
固定幅なのだから、左下を特定するのはたやすいともいえる。
でも、使い勝手を挙げようとしてサイズ変更すると、アイコンが自動で再配置されて、並び順はそのままでも表示位置が変わってしまう。
この時、起点となる「右上」は一切変わらない、というのが悩ましい。
重要なものを右上に置いておけば良いのだけど、そうするとマウスカーソルの起点位置である左下から遠く、使い勝手が落ちる。
ちなみに、あらかじめスタート画面に配置しておいたアイコン「ではない」ソフトを起動したい場合のために、インストールされている全ソフトを、アルファベット順に並べて表示する機能がある。
この機能は、スタート画面左下のボタンからアクセスできる。
また、電源を切る機能も左下に置かれている。
こういう機能を左下に配置している、という時点で、スタートボタンは左下に置かれていることを前提にしているのだろう。
右上が起点なのだから、スタートボタンを右上に置くのが正解、ということではない。
恐らく、Win8 で横スクロールだったのは、左下に重要なアプリを置けるようにするためによく考えた末の機能だったのだ。
左端から横スクロールであれば、左下に置かれたアイコンが、何かの拍子に移動してしまうことは無い。
Win95 でスタートメニューのユーザーインターフェイスを設計したダニー・オラン女史は、 Win10 でスタートメニューが「復活した」ことに、落胆しているそうです。
当時としては悪くないアイディアだったけど、いまとなってはもっと良いアイディアがある。
彼女は Win8 のスタート画面は、スタートメニューを捨ててもっと良いアイディアを試していた、と良い評価をしています。
Win10 だって、全画面表示にすれば Win8 のスタート画面と同じになるのではないの? と僕は思っていたのですが、実際に使ってみると使い勝手が落ちていることに落胆しました。
上に書いたように、サイズ変更をしなければ「左下」にアイコンを集めることは可能です。
さらに言えば、1画面に納められる量だけにアイコンを限定すれば、スクロールも発生しません。
ユーザーの工夫で使いやすい運用は可能…ということですが、これは可能性を犠牲にした運用でもあります。
ちょっと残念な部分です。
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