アクアマリンふくしまの話の続きです。
本館は、比較的普通の水族館。
「比較的」ね。やっぱ普通ではない。
まず、普通の部分を先に書いてしまいましょう。
魚の生息地域をテーマとしてゾーン分けして、いろいろな水槽を展示しています。
うん。これは普通。
その間をストーリーで繋げています。まぁ、これもよくあること。
最初は福島の川の源流で始まって、沼や川を下り、海へそそぐ。
そこからオホーツク海、太平洋、東南アジア、サンゴ礁の魚などを紹介しつつ、やがて福島に戻り、福島の深海生物へ。
うん。これも非常に上手にまとめているけど、普通。
普通でないのは、これらの展示の合間に、博物知識を添えてあること。
東南アジアのゾーンでは、その周辺の植生まで再現しています。
温室の中に、マングローブを中心とした熱帯植物。マングローブに寄生する蘭の花まで咲いています。
水族館というより、まるで植物園のよう。
東南アジアゾーンの前には、唐突に盆栽が置かれています。
水族館に盆栽があっても、ほとんどの人が気にも留めず、先を急いでしまいます。
でも、説明を読むとそこに置かれている理由に納得。
盆栽は、日本的な趣味「BONSAI」として英語にもなっています。
でも、その源流は中国。中国で作られた陶器の鉢に植栽をしたのが始まりで、韓国を経由し、日本に入り、世界に伝わりました。
その説明により、「アジアの国々」を非常に身近な存在に感じさせてから、東南アジアの魚…と、熱帯植物を紹介しているのです。
また、盆栽は水族館の象徴でもあるようです。
出来るだけ自然に近づける努力はするが、自然と切り離された存在。
水族館でも「本物」を見せる努力はするが、できれば自分で本物を見に行ってほしい、という意思表明のようです。
また別の例。
福島の海を示す水槽は、2つの大水槽を組み合わせ、その隙間にトンネルを作る形で表現されています。
2つの大水槽は、福島沖でぶつかる二つの海流、親潮と黒潮。
#実際にはぶつかる場所は季節変動がありますが、ここでは「福島沖」としていました。
親潮と黒潮は、水温も塩分濃度も酸素含有量も違います。
そのため、棲んでいる魚も全然違います。それを、2つの水槽を組み合わせて見せているのです。
そして、その水槽を一番よく眺められる位置に、お寿司屋さんがあります。
親潮と黒潮のぶつかる海域は良い漁場で、おいしい魚がたくさん捕れるのです。
だから、お寿司を食べることも水族館で学べる体験のうち。
こことは別に、もう一つレストランがあります。
こちらも、ただのレストランではなく、「魚を食べる」ということについての学習の場。
水産資源として利用可能な魚をまとめたパネルが、店内にあります。
赤信号のともる「食べてはならない絶滅危惧種」と、黄色信号の「食べても良い魚」、青信号の「積極的に食べてよい魚」に分かれている。
レストランで提供するのは、黄色と青の魚です。
ズワイガニのドリアとか、イカフリッター入りカレーとか。
お子様ランチにも、鯵つみれのナゲット等が入っている。
鯨のフライと鯨汁、なんていうセットメニューもありました。
(続く)
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