ルーカス絡みで、思い出したのでもう一つ話題を書いておきましょう。
こちらは、記憶のみで資料が無い。昔、雑誌の「ログイン」に載っていた記事の記憶なのだけど。
ルーカスは、スターウォーズの第1作目(エピソード4)を撮影したときに、ものすごい手間をかけて画像合成を行い、宇宙空間を表現しました。
こうした「特殊効果」を行うための会社まで設立します。それが、インダストリアル・ライト・アンド・マジック。(ILM: 光と魔法の工房、という意味)
さて、この ILM が、コンピューターを使った画像合成を行おうと考えました。
たしか、エピソード6で使われたのではなかったかな。
エピソード6の公開年は 1983年。
同年発売の PC-8801 を例にとると、パソコンでは 640x200ドット、8色程度がせいぜいの時代です。
この時代に、映画館で見ても違和感ないほどのドット数(横2千ドットくらい?)で、色数も24bit カラーの機械を作ってしまったのです。
この機械、当時としては「コンピューター」としてログインに紹介されていました。
ただ、演算能力は無くて、画面表示ができただけだそうです。
つまり、いまでいえば「グラフィックボード」に近いものですね。
当時の技術では、ボード1枚になんて収まらず、パソコンですらなく、ミニコンピューターレベルのサイズなのですが。
どうやら、この機械を別のコンピューターに接続し、画像合成などを行ったらしいのです。
今で言えば Photoshop みたいなものなんでしょう。明らかに時代の先取りでした。
コンピューターの画面表示で、最小単位の1ドットのことを「画素」と呼びます。
英語では Pixel 。Picture と、 Cell (小さく区切られたもの)から作られた造語です。
そして、とんでもないほど高精細な Pixel を表示できるこの機械、名前を Pixer 1 と言いました。
「画素化1号」とでも訳せば良いでしょうか。
ILM は、わざわざルーカスフィルムとは別会社として作られ、ルーカス以外にもいろいろな会社の「画像処理」作業を行っていました。
当然、このグラフィックコンピューターもそうした作業に使われたと思われます。
当時としては、先進的過ぎる、魔法のような機械だったと思います。
後に、どうやら Pixer 2 が作られたようです。
(もしかしたら、P-II が正式名かもしれません。ネット上に P-II という記述があったので)
ILM からさらに Pixer Image Computer という会社が設立され、Pixer 2 を量産販売し始めます。
主な顧客は、政府機関や医療関連、映画会社など。ディズニーも顧客だったようです。
…ところが、この戦略が失敗。
このコンピューターは先進的過ぎましたし、他の機械から操作する「出力機械」でしかありません。
全体をそろえようとすると、あまりにも高価だったうえ、それを適切に扱うソフトウェアもなかったのです。
ここで、Pixer 社はルーカスフィルムのグループから離脱することになります。
お金を出して買い取ったのは、当時 NeXT 社のスティーブ・ジョブズ。
コンピューターの販売は辞め、名前をピクサー・アニメーションスタジオに変更して、アニメを作りはじめます。
最初は、非常に簡単なアニメから。
それでも、「全編をコンピューターで作ったショートムービー」は非常に新しいものでした。
やがてレイトレーシングを使い、人間を登場させ…表現力を高めていき、長編アニメ「トイストーリー」で、商業的にも成功をおさめます。
あとは、多くの人が知っている通り。
ピクサーは、ルーカスのグループ企業から始まりましたが、一足先にディズニーの傘下に入っています。
その後、ルーカスフィルムもディズニー傘下に入ったのは、先に書いた通りです。
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