5月4日、秋葉原でマイコンインフィニットPRO68K (MI68) という展示即売会があるというので、お伺いしました。
名前の通り X68K ユーザーを中心として、その時代の機械が好きな人なら何でもありの集まりです。
同人ソフト有り、同人ハード有り、関係なくグッズ販売あり、メガドラやゲームギア、LINX やアミーガ、PC88やFM-7もあって、非常に活気がある。
みんな面白いもの作っているなぁ、とおもうと、ちょっと久しぶりに 68 いじりたくなりました。
でも、僕の 68 壊れてるのね。電源はいらない。
壊れていても捨てられない。やっぱ、一番の青春のマシンだから。
僕の 68 は EXPERT で、5inch だから、同人ソフトを買うのも 5inch だという考えで見ていて、でも今更 5inch 買っても 68 壊れてるから…と、躊躇して何も買わなかった。
後でよく考えてみたら、3.5inch を買って、吸い出してエミュで遊べばよかったのだ。
自分のマシンを基準に 5inch で、と考えたばかりに、こんな簡単なことに気付かなかった。
写真なんかはツイッターでずいぶん流したので、Twilog でも見てもらおう。
Twitter だと短すぎてなかなか書けないことを中心にまとめます。
講演会が一番の目的で行きました。
はっきり言えば、前回オフ会にお伺いした時に現れた、速水さんの話を聞いてみたかった。
その時までちゃんと認識してなかったけど、非常にお話の面白い方だったので。
今回 MI68 は3回目だそうで、市川さんという方は1回目から毎回お話をしてくださるそうだ。
誰か知らない…と思ったら、M.N.M の社長だった人。
X68k でスターウォーズを作ったメーカーですね。あのゲーム、すごく好きだった…
で、後に社名をマインドウェアに変更。
98 版の Mr.Do とか、Jump BUG とか作ってた会社。
こちらも、大学時代に友達が遊んでいてうらやましかった記憶がある。
同じ会社だとは判って無かった。
前2回でそれらの話はしたので、その後の話を…とのことだった。
その後、ピンボールゲームを作ろうとしたことから実機の収集・遊戯にのめり込み、ついには Midway のエンジニアと知り合って、ピンボール台を設計したという。
スターウォーズ EPISODE Iは氏の作品だそうで、その後氏が病気で療養中には、ルーカスが病室に来てくれたという。
最終的には Midway のピンボール撤退で、作成予定だった作品が作れずに終わり、任天堂でまるぼうしかく(これは遊んだけど、非常に面白いゲームだった)などを作って今に至る、と。
元々コンピューターピンボール作ろうとして始めたはずなのに、そちらはいまだに手つかずという。
氏は、ピンボールの仕組みに興味が出てハードウェアも理解し、ソフトウェアは元々理解していて、ゲーム性も理解していた。
アメリカでは分業が進み過ぎて、こういう広い知識を持った人が少ないから、会っていきなり「台を設計してみないか」なんて話になった、と言っていた。
だから、MI68 会場にはハードからソフトまでしゃぶりつくしている人たちが多数いて頼もしい、と。
今のエンジニアはフレームワークに頼りすぎ…
と、前半では危惧していたのに、後半では「Windows プログラムを始めるのには苦手意識が邪魔していたけど、優れたフレームワークを使ったら思ったほど難しくないと気づいて、作れるようになった」とも言っていた。
言わんとしていることはわかるが、最初とギャップがある。
#フレームワークを使うなとは言っておらず、使うにしても何を行っているか深い部分まで理解しろ、ということを言っていたので、氏の中では矛盾はないのだと思われる。
速水さんの講演。
以前見せていただいた 4004 ボードの写真から始まって、イベントに合わせて「X68k までにどんな進化があったのか」という歴史を追うトークショー。
話の上では X68k までなのだけど、CPU としては Core i7 まで含めてました。
4004 の回路配線幅を 1m とすると、Core i7 は 0.2mm しかない、とか、把握しやすいサイズで言われると説得力倍増。
Motrola 6809 と Zilog Z80 は当時のライバルだったわけだけど、富士通は 6809 を選んで、シャープは Z80 を選んだ。
そして、お互い機種を増強していく際にも、時代の流れで同時期に同じようなことをしていく。
…そして、8bit を捨てて上の bit 数に移行するとき、それまで Z80 だったシャープは、6809 の後継である 68000 に、6809 だった富士通は Z80 と同系列である 80386 に、っていうオチ(?)の付け方も面白い。
速水さんは高校の教員をやっていたこともあって、教育を真剣に考えている。
そして、高度になりブラックボックス化したPCより、 MI68 で展示されているような少し古いパソコンの方が、仕組みがわかりやすくて勉強になる、と考えているようです。
もちろん今は古い機種を入手して勉強するのは難しい。
だから、エミュレータでもいいから、あえて古い機械に挑んでみるといいのではないか、と。
前田さんの講演。
ホビーパソコン興亡史、懐かしのパソコンカタログ、先日発売された海外のゲーム機&パソコンガイドブックなんかの執筆裏話。
前2人の講演がすごすぎた、と上がり気味。
でも、いろいろ納得できるお話でした。
実は、僕は前回のオフ会で裏話をずいぶん聞かせていただいたので、知っている話も多かったのだけど、それでも苦労を乗り越えて資料をまとめるのは素晴らしいと思います。
今回発売した本も、この日に購入して、MI68特典である小冊子もらいました。
海外のゲーム機&パソコンガイドブックをまとめる際に収集した資料のうち、広告に限定して集めたもの。
ほんの数ページの本だけど、広告を縮小して印刷しても文字が読めるように、非常に良い紙と、良い印刷を使っている。
無料配布だけど、結構金かかってんじゃないかな。
購入した本誌の方はと言えば、知らないパソコンがこれでもか、と載っています。
名前くらい聞いたことあったけど詳細知らなかった、というようなものも細かく載っているし、資料として一級品。
でも、この本ニッチすぎて売れないだろう、という予想で、パソコンだけじゃ売れないからゲーム機も含めたのだとか。
そういう、搦め手で自分のやりたいことと、商売になることの間を狙っていく姿勢が素晴らしいです。
#僕も、ニッチすぎる内容のページ作っているので、見習わないとなぁ。
もっとも、商売じゃないからこそ、好きな事だけやっているわけなのだけど。
前田さんも、ホビーパソコンが華やかだった時代の機械は、個性があって学ぶのが楽しかったと言います。
決して古いものではなくて、いまから学ぶ人にも楽しい機会を与えられるのではないかと。
主催者のあるきちさんの講演がある予定だったけど、ベーマガ編集長に時間を譲りました。
ベーマガ編集長、とあえてお呼びします。
今はベーマガ休刊中だけど、復活に向けて動いているそうですから。
「社長に復刊を提言したが、反対はされなかった」のだそうです。
まずは、IchigoJAM を中心に据えたいとのこと。
他にも BASIC 環境はあるのになぜ IchigoJAM かといえば、メモリが小さくて1画面程度のプログラムしか組めないのがちょうどいいから、という言葉には納得。
プチコンとか、すごい作品作れるけど、それはベーマガらしくない。
粗削りだけど面白いゲームが、短いプログラムで示される。
短いから打ち込んで、粗削りだから「もっと改良してみよう」と思える。
それがベーマガだと思います。
IchigoJAM の場合、組み立てから自分でやらないといけないので、電子工作とソフトウェアの両方を楽しめるのも理想的だと言います。
ここでもまた、前の3人と同じで、ハードの深い部分を知るには、今のブラックボックス化された PC より、多少非力なマシンが良いという意見。
4人とも、根っこに同じような意見を持ち、実際の活動はそれぞれのようです。
でも、それでいいと思う。多様性があり、選べるのは良いこと。
PC 上にエミュで古い環境を作るなら、小さな環境を作ってプログラムをするのでも変わらない、とも思います。
つまりそれはフレームワークであって、「良いフレームワークがあればプログラムをはじめやすい」という、古いパソコンとは何の関係もない話にもつながってしまう。
時々書いているように、僕は子供に Scratch やらせてる。
これも、小さなフレームワークだからわかりやすい。そんな窮屈な環境は本物のプログラムじゃない、という人だっているけど、それならエミュ上に作られた窮屈な環境だって同じこと。
選択肢は人の数だけあっていいんです。
特に、初心者のうちから「深い部分」まで理解するなんて、できっこない。
ステップアップする過程で、エミュを使う段階があったり、IchigoJAM を使う段階があったり、4人の方がそれぞれ考えている環境を渡り歩いてみる、というのだって楽しいと思います。
示し合わせたわけではないのに、4人それぞれが同じ方を向き、少しづつ違うことを言っていたので、いろいろ考えさせられました。
そろそろ終了時刻だな、ってところで帰ってしまったのだけど、その後親睦会があったそうです。
残念。居残って参加すればよかった。
まぁ、子供には喜ばれました。
お父さんは今日はお酒飲んできて遅いと思うよ、と妻に言われていたのに、夕食時間に間に合うように帰れたからね。
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