今日は、WWW … World Wide Web の発明された日。
厳密に言えば、システムの概要を示し、提案された日ですね。
提案者はティム・バーナーズ・リー。
ティムは、コンピューター界のサラブレッドです。
コンピューターの黎明期に活躍した男女のコンピューター数学者の間に生まれ、子供のころから、まだ当時は珍しかったコンピューターに触れて育ちます。
そして、大人になってコンピューターのコンサルタント業を始めました。
1980年に CERN (欧州原子核研究機構)から「各国から研究者が集まり、使用するコンピューターも、ソフトも、各国の事情に合わせてバラバラな研究所の中で、情報を迅速に共有できる方法は無いものか」と相談を受けています。
しかし、これが難題。すぐには解決できません。
CERN とのコンサルタント契約はたった6か月だったのですが、その後もこの問題を考え続けます。
その後 1985 年にも CERN を訪れるのですが、この時もこの難問を解決できません。
そして、1989年、3度目の CERN 訪問の際に、ついに解決策を見出します。
時代が変わり、ネットワークの構築が簡単に出来るようになっていました。
ティムが考えたのは、3つの仕組み。
ルネサンス期の「3大発明」になぞらえて、ティム・バーナーズ・リーの3大発明、と呼ばれます。
1) Uniform Resource Locator
どこのパソコンの、どこのディレクトリに、どのような形式でアクセスすればデータを取得できるのかを、1行で書き記す方法。
URL と略されます。
この頃のインターネットでは、FTP や NetNews、Gopher など、いろいろな形式でデータが配布されていました。
さらに、それらの形式ごとに、データの位置を表す方法も異なっていました。
これらを統一する方法を考え出したのです。
2) Hyper-Text Transfer Protocol
URL でデータの位置を統一指定できるようになりましたが、それらは主に「ファイルをやり取りする」方法でした。
ティムは、ファイルを取得するのではなく、中身の情報を簡単に引き出して読むことができる通信形式を新たに考案しました。
HTTP と略されます。
新たに、といっても、当時すでに広く使われていた mail プロトコルを参考にして、すぐにでも作れる簡単な形式にしてあるところがミソです。
3) Hyper-Text Markup Language
中身の情報を引き出したとしても、その情報の形式が各国で違っていては混乱します。
そこで、統一的に文章の構造を記述できる方法を作りました。
HTML と略されます。
HTML は、一般に HTTP で配布され、その配布位置は URL によって示されます。
ただし、これらの3つは異なる概念であり、必ずしもセットで使わなくても構いません。
#HTML ファイルを zip で圧縮し、FTP で配布することだって可能です。
この3つの発明により、単純な「テキストファイル」ではなく、美しく整形された文章を配布することが可能になります。
さらに、この HTML の中には、他の文章の位置を URL によって記述し、リンクする形式が定められていました。
実のところ、このシステムの白眉はこの部分でした。
逆に考えてみましょう。
HTML だけがあって、配布形式が ftp 等だったらどうなるでしょう?
FTP は、必ず「ログイン」が必要です。
もし、URL で別の文章の位置を指定したとしても、リンクをたどるたびに「ログイン」を求められることになります。
なによりも、FTP はアクセスの度に「接続」に結構時間がかかります。
HTTP は、公開を前提としているのでログインは不要ですし、FTP よりもずっと早くアクセスできます。
もし、URL が無かったらどうなるでしょう?
それでも、HTML/HTTP 専用のシステムは作れたかもしれません。
しかし、先に書いたように、当時は多くのプロトコルでファイルの配布が行われていました。
それらの「過去の資産」に簡単にアクセスできることは、非常に重要でした。
普段は HTTP で高速に情報を引き出し、必要なら多少遅くとも、ログインが必要でも、FTP を同じ枠組みで使える。
これなら、不便はそれほどありません。
この3つの発明は、セットで発明されるだけの「必要性」があったのです。
提案に従って、最初の HTTP サーバーと WEB ブラウザ(クライアント)が作られたのは、1990 年のことでした。
詳しい歴史の流れは、ティムの誕生日に書いた記事に譲ります。
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