目次
03-11 4年目の朝に
03-11 ロケテストの話
03-11 ヴァネバー・ブッシュ 誕生日(1890)
東日本大震災から4年目の朝です。
特に何かがあるわけではないのだけど、何かを書かずにはいられない。
そんな感じで書いています。
Twitter とか見てても、同じ気持ちの人は多い様子。
何か書こうとして、でも特に何かが書けるわけではない。
それでも、何かを書きたいという気持ちは、寄り添う気持ちがあるという意味かと思います。
東京電力が少し前に、事故のあった原発の屋上から流れた雨水が汚染されていた、ということを発表しました。
把握から発表まで時間がかかったことで、裏切りだ、事実隠しだと糾弾する声が多い。
実際事実を隠せるものなら隠したかったのでしょう。
ただ、「隠さねばならない」状況にしているのは、世間の雰囲気のせいではないのかな、と思います。
東京電力による廃炉工程は工程表よりもずっと遅れていて、遅い、もっと早くやれという声も聞こえます。
そういうことで糾弾されている限り、工程表外の突発的な事項には対応しづらいし、できることなら事実ごと隠したい、となってしまうのではないかな。
4年前、事故の翌月には発表された工程表を見て、僕は「この工程表は遅れるものとして見守るべきだ」と日記に書き記しました。
最大で10倍まで遅れる可能性を、理由と共に明記しています。
実際、今はどの程度遅れているのか知りません。
最大で10倍、と僕は考えましたが、同時に3倍程度の遅れで済むのではないかな、とも思っています。
でも、遅れないなんて絶対にありえません。
昨年、福島のスパリゾートハワイアンズに家族旅行してきました。
少しでも東北地方にお金を回したい、という気持ちでした。
千円やそこらの寄付をするよりは、家族旅行で動くお金を丸ごと地域に回わせれば、経済に役立つかもしれない。
さらに、興味を持っている人の背中を押して、多くの人が東北を訪れるといい。
そう思って、ハワイアンズに行きたい人へのまとめも書いて公開しています。
1日目、ハワイアンズが立ち直ってよかった、ある程度復興は遂げられている、と思いながら遊びました。
翌朝、ホテルのロビーで朝刊を読んで、復興には程遠いと思い知りました。
関東に住んでいると報じられない、数多くの震災後ニュースが、現地の新聞には書かれています。
東北に旅行に行く方は、是非新聞に目を通してもらいたい。
今年も東北旅行に行きたい、とは思ってます。
詳細はまだ全然詰めていないし、どうなるかわからないけど。
最近、新聞で、津波に流された地域の高校生の発案で「木碑」を建てた話を読みました。
津波の記憶を風化させないために、石碑を建てよう、という話があったのだそうです。
石なら風化しない。100年だって持つ。
でも、この高校生はそれに違和感を持った。
昔の津波の記憶は、いたるところに石碑として残っていた。でも、見慣れた風景となり、意識の中では風化していた。
「物」が風化しなければいいんじゃない。「記憶」の風化を止めるにはどうすればいいか。
その発想が「木碑」という形で実現されたのだそうです。
木は朽ちてしまうから、4年ごとに建て替える、という計画で、向こう4回分(16年間)の建て替え費用はすでに寄付で集まっているとか。
建て替えの際には、簡単なセレモニーを行います。
定期的に過去を思い出す機会を作り、定期的に風景を変えることで、記憶の中の風化を防ぐ。
非常にいいアイディアです。
我が家では、地震直後に始めた「非常用飲料水の汲み置き」を、いまだに続けています。
家族5人が3日は暮らせるように、1日1人3リットルとすると、45リットルが必要です。
…実際には、少し足りない程度しか確保できていないのですが、ペットボトルに小分けにして、古いものから料理などに消費するようにして鮮度を保っています。
はっきり言って、馬鹿らしい。いつまで続けるのだろう、と自分でも思います。
区切りがあるたびに、もうやめようと思い続けてきたのですが、これを辞めたら自分の中で記憶が風化してしまいそうで、続けています。
特に震災の影響が強かったのは東北ですが、関東でも輪番停電が行われるなど、間接的な影響がありました。
なので、僕はこれは、東北だけでなく関東全域の人が「被災」したのだと考えています。
程度の違いこそあれ、被災した人は本当に多数いる。
それらの人は、過ぎ去ったからもう大丈夫、ではなく、今後も起こる問題として考え続けなくてはならない。
しかし、関東にいると、ずいぶん記憶が風化しているとも感じます。
先に書いたように、水の確保などで自分も記憶が風化するのを恐れつつ、生活から緊張感は無くなっていきます。
風化させてはならない、と思う一方で、後ろ向きでは何も始まらない、風化を恐れず新しい生活に移行しなくてはならない、とも思っています。
阪神大震災のことも、今でも時々思い出します。
でも、こちらは流石に「そういうこともあった。気を引き締めねば」という程度の記憶で、ことあるごとに思い出す、というほどではなくなっています。
誤解を恐れずに言えば、個別の事柄は、いつか記憶の彼方に押し込まれてもいいと思う。
「東日本震災」としての記憶が、いつか風化しても構わない。
ただ、いつでも有事は起こり得る、その時のためにどう行動するか、その時自分は何ができるか…
これらを考える気持ちだけは、風化させてはならないのだと思います。
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とりあえず「20年たったらいいだろう」で1994年の話を書いてきましたが、大体出尽くした(笑)
ここからは、思いつくままに書き留めます。
それが終わったら一旦終了にして、次の「自分が参加したゲーム」の20年後くらいまでお休みかな。
(たしか、1995年の秋ごろだったと思う。)
ここまでに書いた話の中で、たびたび「ロケテスト」という言葉が出てきています。
ゲームマニアなら知っているかもしれませんが、発売前のゲームをロケーション(店舗)に置いてテストすることです。
ただ、発売前のゲームを試してもらうイベント、とかではない。
近年はそういう側面が強くなっているようですし、ファンイベントとしての意義は否定しないのですが、少なくとも当時は違いました。
そこで、当時の雰囲気も書き記しておこうと思います。
ロケテストには2つの意味がありました。
一つは、作成途中段階でのゲームの方向性が正しいかどうか、お客様の反応を見るものです。
完成度がまだそれほど高くない、ゲームがとりあえず動くようになったし、本来の方向性が理解できる程度までは作られているけど、まだまだ十分作り込まれていない段階で行われます。
未完成のものを見せるのですから、ある程度お客様には「未完成品である」ことを納得してもらう必要はあります。
そのため、「ロケテスト中」と書いたポップを置いたりしました。
ただ、ロケテストが行われていることは秘密事項です。
ロケテストの噂を聞きつけて集まるのはゲームマニアだけですが、ゲームセンターのゲームは広く一般のお客様に遊んでいただく商品です。
ここで、マニアの意見ばかりが反映されると、そうでない人が遊びにくいゲームになってしまうことがあります。
だから、ロケテストが行われることは秘密。
マニア間のネットワークで察知され、人が集まる前に引き上げるため、期間は2日程度。
これが鉄則でした。
ロケテストの期間中、外回り営業が多い昼、学校が終わった学生の増える4時ごろ、会社帰りが増える7時ごろ、など、いくつかの時間で1時間位づつ、様子を観察します。
これも、「観察されている」ことがばれるとお客様の反応に影響が出るため、遠くからそれとなく見ているだけです。
遊んだお客様ごとに、プレイ開始時刻、終了時刻、インスト(説明書)を読んでいたかどうか、デモ画面を見ていたかどうか、ゲームはどこまで進んだか、演出に納得している様子だったかどうか…など、詳細を記録していきます。
場合によっては、遊んだあとのお客さんに直接感想を聞くこともありました。
とにかく、できる限りデータを集め、後でその意味を解釈してゲーム作成に反映することが目的でした。
場合によっては、この時だけの特別なプログラムを仕込み、ゲーム上のデータを記録する場合もありました。
#バーチャファイターでは、ロケテストではありませんが、初期の開発時にどのようにボタンが押されるかを記録して、押されやすい組み合わせを元に技を作っていった…などの話があります。
手相占いでは、こちらの目的のロケテストのみを行ったように思います。
もう一つのロケテストは、完成したゲームの売り上げ調査です。
普通にゲームセンターにゲームを置いておき、どの程度の売り上げになるかを調査します。
こちらの場合、「普通に置いておく」ことが重要なので、ロケテスト中などのポップは厳禁。
ゲームマニアにとっては面白いゲームが良いゲームです。
しかし、ゲームセンターにとっては、お金が入るゲームが良いゲームです。
そして、「業務用ゲーム」は、ゲームセンターに買ってもらうことで商売が成り立ちます。
お金が入るゲームを作り、買っていただく。開発者は、これで飯を食っているのです。
実は、ここには「遊ぶ人」の視点はありません。
もちろん、楽しいゲームを作らなくてはお金を入れてもらえないでしょう。
でも、「マニアの求める楽しさ」ばかりを追求すると、ごく狭い層にだけ訴求してしまい、全然遊んでもらえないことは多いのです。
マニアが「あんなゲームつまんね」と見向きもしなくても、ちゃんと遊んでいただけるゲームというものは存在します。
そういうものを作るのが、プロとしての開発の仕事でした。
#以前も書いたけど、セガがコラムスを繰り返し作ったのも、ここら辺が理由でした。
初代コラムスの「償却率」はすごかったのよ。ゲームセンターはそういうゲームを求めていた。
さて、ゲームセンターにゲームを買っていただくには、ゲームセンターのオーナー様が購入判断をするための材料を提供しなくてはなりません。
ゲーム内容、筐体サイズ、価格などは当然ですが、その価格に見合うだけの売り上げが見込めるかどうかというのは、非常に重要な資料です。
この「実績に基づく資料」を用意するのが、完成後のロケテストの目的でした。
この部分では、絶対に嘘を付いてはなりません。
嘘を付いて販売したとして、その後思ったような売り上げがなければ、それは詐欺です。
ロケテストなどのポップは厳禁、というのも、そのような意識からです。
ただし、もちろん売上が良くなるような条件を選びます。
そのゲーム内容に合わせて、そのゲームが最も遊ばれそうな店を選び、もっとも遊ばれそうな期間設置するのです。
マニア向けのゲームであれば、マニアの集まるゲームセンターで、週末に置くのが良いでしょう。
カップル向けの占いなどは、デートスポット内のおしゃれなお店に、やはり週末に置く。
一方、外回りの営業が時間つぶしに遊ぶようなゲームは、駅前の小さなゲームセンターで平日テストするほうが良いです。
重要なのは、ロケテスト条件を明示することです。
どこの店で、何月何日にテストした結果、売上いくらとなった。
もちろん購入するお客さんが注目するのは売上金額ですが、条件を提示することで「自分の店にも合いそうか」を判断していただけるのです。
ただ、僕が新入社員の頃は、このロケテストの方法も過渡期にあったようです。
AM1研では、上に書いたような「古い考え方」が支配していました。
でも、別にそれを守らないといけない決まりは、どこにもないんですよね。
別の部署では、ロケテストが行われる、という情報をそれとなく広めてから行ったりしていたようです。
この結果、常識的にあり得ないような売り上げを記録する。
もちろんマニア受けするゲームであることは前提で、つまらないゲームではありません。
でも、実際に購入したゲームセンターでは、全然期待していた売り上げにならないわけです。
別の会社でも事情は同じようで、部署内のホワイトボードに「○○社、△日に□□でロケテスト予定」なんて情報が掲示されることがありました。
どうも、パソコン通信などで「こっそりと」情報が出回ることがあったようなのです。
開発者としてはせっかく作ったゲームはやはり売れてほしいです。
でも、先に書いたようにこのやり方は本来許されない。
だからこそ、公式には秘密だけど、非公式に「誰かがばらしてしまった」形で情報を出すのです。
だんだんそのやり方が支配的になり、ゲームセンター側も「そういうものだ」と考えて資料を読むようになりました。
今ではもう、公式にロケテスト告知が出たりすることもあります。
資料を読む側もそれで当然だと考えるようになってきているので、いまなら特に問題は無いように思います。
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今日はヴァネバー・ブッシュの誕生日(1890)
わー、忙しくて忘れてた。何も書く暇ない。
でも、この人は過去の日記で何度か紹介しているので、そちらへリンクしときます。
オーレ・キアク・クリスチャンセンの命日(1958)でもあります。
LEGO ブロックで有名な、LEGO 社の創始者。
こちらも、過去の日記へリンクしておきます。
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