イチダントアールは、WING WARと同時期の発売だったと思います。
続編なのでその前から説明した方がいいでしょうね。
1993年に、AM1研から「タントアール」というゲームを発売しています。
キャラクターが探偵風だったから、タントって探偵の意味合いだと思ってた。
でも、単に「たんとある」(沢山ある)だったのですね。
その名の通り、たくさんのゲームが入ったミニゲーム集です。
#ちなみに、キャラクターは「ボナンザブラザース」(1990)のイメージを引き継いでいます。
これ以前にも、家庭用ゲーム機には「ミニゲーム集」というソフトはありました。
でも、単にいくつかのゲームが1つのタイトルに入っている、または順次遊べる、という程度で、ゲーム間のつながりは重視されてないのね。
(Puzzle Panic(1984)、ナゾラーランド(1987)、クニちゃんのゲーム天国(1991)など)
タントアールは、数秒で終わるミニゲームがたくさん入っていて、1つのゲームが終わったら次のゲーム、と次々とクリアしていくスタイルでした。
次々と違うルールのゲームが出てくるのを、瞬時に把握して対応していかなくてはならない。
ここに適度な混乱が生じて、自分でも思わぬ凡ミスをしてしまうのが面白い。
でも、1つづつのゲームは単純でそれほど難しくないし、非常にテンポがいい。
今では、ミニゲーム集の多くがそういうつくり方になってます。
その元祖となるのが、タントアールでした。
1個づつのゲームは単純で把握しやすいけど、テンポよく遊んでいくと適度に混乱して難しい。
一つのゲームをやり込みたいゲームマニア向けではありません。
主にゲームマニアの視点で語られがちな「ゲームの歴史」では、それほど注目されない作品。
でも、実は大ヒットでした。
ゲームセンターに来た一般客からすると、1個づつのゲームが簡単で、ルールが把握しやすいゲームは好まれたのです。
特に、2人用で対戦した時の盛り上がりはすごい。
ゲームが単純なだけに、負けると自分が「簡単なこともできないダメ人間」みたいなのね。
ものすごく悔しくて、絶対負けられない雰囲気。
この雰囲気が嫌だからこのゲームやらない、って人もいましたけど。
#ミニゲーム集全般にいえることですね。
当然続編が企画され、それがこの「イチダントアール」です。
たんとある、に対して、一段とある、っていうわかりやすい名前。
ちなみに、ゲーム内のミニゲームには全て名前が付いていますが、こちらもダジャレばかり。
くだらないダジャレばかりなのですが、テンポ良く出されるとなんか面白く感じるんだ。
「デートなUFO」なんて、BGMもデイトナUSAのアレンジになってる。
「ベートー弁当、うんめぇ~」とか「機関車トーマラズ」とか、ダジャレとして結構好き。
ミニゲームの内容・タイトルを、企画全員で考えていたように思います。
こういうのって、一人で考えていてもなかなか出てこないから、とにかくみんなで考えて、数ある中から面白いものを採用、っていうスタイル。
ただ、イチダントアールの発売は6月のようですから、部署に配属されたときにはすでに最終段階だったはず。
さらに続編の「2度あることはサンドアール」と記憶が混ざっているかも。
イチダントアールのマスターアップ前日、手の空いているものはテストプレーに参加していました。
そんな時、大バグが…
たしか、最後のボスとの対決の最中に、おかしな現象が複数同時に起こったのではないかな。
「うわー、締切直前なのに大変だ」と僕が言ったら、企画担当の人が「いや、こういうのは案外1つの原因で、簡単に直るもんだよ」と。
実際、メインプログラマー氏が15分後くらいに「差し替えるよー」と新しいロムを持ってきました。
ロム焼くのにも時間がかかるから、ほんの数分で直したのではないかな。
これで、バグはちゃんと治ってました。
部署配属直後のことだったので、さすがプロだなぁ、と感心したのですが、そのうち自分でも同じようなことを良くやるようになります。
#バグは出ない方がよいのだけど、簡単に直る単純なバグを良く出したのね…
関係ないけど、同じAM1研作品のゲームで「クイズ宿題を忘れました」「クイズ廊下に立ってなさい」というものがありました。
僕が入社するより前のもので、ゲーム開始時に生まれ年を入れ、その人の「小学生時代」の流行などに関する問題ばかり出す、という変わったクイズゲーム。
絶妙に懐かしい問題ばかり出てくるのが楽しい、というゲームでした。
後にサターン版が発売されたとき、タントアール・イチダントアールとカップリングになったのね。
4つのゲームを、2つのタイトルにまとめて出した。
そのタイトルが「宿題がタントアール」「廊下にイチダントアール」。
4つのタイトルをくっつけて、2つに分割し、なんだかつながった文章にしてしまう。
ここにもすごいダジャレ力を感じました。
ついでに書いときます。
上の2つのクイズゲームの問題だけ流用して、1994年に別のクイズゲームが作られてます。
「クイズゴーストハンター」ってやつ。
サードパーティの作品で、1研ではサポートしただけ。
クイズゲームって、問題を作るのが一番手間がかかる部分なのね。
それでいて、グラフィックやストーリーは見てもらえるのに、問題はあまり気にしてもらえない。
だから、サードパーティに問題データを渡して、手間を省いたようなのですが…
このゲーム、プレイヤーの年代聞かないで、問題を完全にランダムで出すんだよね。
年代ごとに用意された、他の年代だと全く意味の解らないような問題を、全年齢にランダムで出す。
クイズとしては、面白くもなんともないし、不条理すら感じるものになっていました。
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