今日は宮永好道さんの命日(1993)。
Dr.パソコン、として知られた人です。
Dr.パソコン、という名前は、出演していた「パソコンサンデー」での肩書。
当時はシャープの顧問で、MZ~X68k の開発に関わっていたそうです。
それで、パソコンサンデーに出演していたのですね。
僕は当時はこのおじさんが何者であるか知らなかったのですが、東芝、シャープでコンピューターを開発し、その後も各メーカーの顧問を務め、メーカーを超えてパソコンユーザーをまとめる組織などを結成。
パソコンの普及に努めた方でした。
パソコンサンデーで BASIC を教える際の独特の語り口が思い出されます。
FOR ~ NEXT 構文を、「フォー・ネクスト」ではなく「~ネキスト」と発音するんですよね。
このことは結構思い出に残っている方も多いのじゃないでしょうか。
あの番組、春からの新生活に合わせて…進級祝いにパソコンを買ってもらったとか、一念発起して買ったとか、そういう人に合わせて春になると「1から」教え直す形になっていました。
毎年春は、パソコンはプログラムがないと動かない、という基礎から始まります。
「パソコンは、ソフトが無ければただの箱」。
この言葉、宮永さんの発案した言葉だそうです。パソコンサンデーでも良く言っていた気がする。
ただ、いまと事情が違うのは、当時はソフトなんてほとんど売ってないのね。自分で作るものでした。
そして、BASIC とは何か、画面に文字を表示する方法、計算させる方法、入力させる方法、などなどを学んでいく。
どの程度のレベルまで行くかと言えば、1年かけて、フォー・ネキストを使って複利計算させるとか、ちょっとした実用プログラムが作れる程度。
まぁ、初心者向け講座としては十分でしょう。
ここくらいまで自分で作れるようになると、プログラムが楽しくなってくる。
楽しくなって、次はどんなことを学べるのかな、と思っていると、春になって最初に戻ってしまう。
友達は、テレビ界の永久ループ、と呼んでいました。
いつまでもぐるぐる回っちゃうのね。
パソコンサンデーの合間にはシャープのパソコンのCMが入るのですが、MZ-1500のCMでは、宮永さんが登場していました。
宮永さんに似たぬいぐるみのねずみが出てきて、MZ-1500にかじりついているんだっけかな。
何ですかこれは? とMZ-1500イメージキャラクターの女性に聞かれて、「いわゆるひとつの動物実験ですよ」って。
結構シュールなCMだった気がする。つまりは、MZ-1500は病みつきになって離れがたい魅力がある、ということのようなのだけど。
シリーズでいくつかCMがあって、そのうちひとつはYouTube にありました。
宮永さんから話は離れるけど、ついでなのでパソコンサンデー話。
当時は「音声多重」という放送方式が出たばかりでしたが、パソコンサンデーでは副音声でソフトを配信していました。
その回で作成したサンプルプログラムとかだったと思う。
これも、当時を知らない人にはわからない話なのだけど、昔はパソコンのプログラムは「音」として記録していました。
Windows 95 あたりでインターネット始めた人は「モデム」って言うのがあったのを知っているんじゃないかな。
電話線を通じて、音でデータを伝えるための道具。
または、FAX 。こちらも最近見かけませんが、電話に音声として書類のデータを載せて通信する。
あれと同じ原理で、プログラムを音でデータ化して、カセットテープ(これも最近見ない)に録音しておきます。
カセットテープをダビング(コピー)すれば、プログラムもコピーできちゃう。
パソコンを使ったりしないから、プロテクトのかけようもない。
もっとも、孫コピーなんて作ると、もう音が劣化して読み込めなくなるので、それほどコピーされないのだけどね。
話がそれたけど、パソコンサンデーでは、副音声でプログラムを配信していたわけです。
今のテレビが、 [d] ボタンで、番組に関連するデータをデジタル配信しているのと同じようなことを、30年前にもうやっていたわけですよ。
#どんどん話がそれるけど、当時のパソコン雑誌にはソノシート(レコード盤)が付いているものもあった。
やっぱり、音にしてプログラムデータが収められているの。
レコードはノイズが載りやすいから、ノイズを載せないで読み込ませるためのノウハウとかもあった。
家に宮永さんの書いた本があって、宮永さんが亡くなられる直前、12月10日に刊行されたものです。
「誰もかけなかったパソコンの裏事情」。
8bit 時代から、売れたマシン、売れなかったマシン、いろんなマシンを紹介した本です。
紹介機種はそれほど多くなくて、少し物足りないのだけど、紹介した記事はそれぞれ見開き2ページで、宮永さんの評価や裏話が入っている。
本屋で見かけて、古いパソコンとか好きだから買ったら、一番最後に著者プロフィールが載っていて、宮永さんの本だと知りました。
それまで「Dr.パソコン」としては知っていても、どういう人か良く知らなかった。
でも、ここに履歴もありました。へー、そんな偉い人だったんだ、とこの時初めて知った形。
この本のプロフィールが、多分宮永さんの生涯を伝える唯一の情報なのではないかな。
Wikipedia の情報も、このプロフィールを別の言葉で書き直しただけのように見えるから。
そして僕は、このプロフィールを読んだ時に、「まだ健在なんだ」と思ったのでした。
パソコンサンデー出演時に、すでに結構年のように見えたから。
でも、これ書店で見かけて買っただけ。発売すぐに買ったわけでもない。
正確な購入日は忘れましたけど、もしかしたらもうその時には亡くなられていたかもしれない。
そうとは知らずに「まだ健在なのか」と思ったのかも。
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