今日はピーター・ノートンの誕生日(1943)
ノートン先生本人です。最近は知らない人も多いかな。
「ノートン・ユーティリティーズ」や、「ノートン・インターネットセキュリティー」のソフトウェアブランド名として残っていますね。
元々は、IBM-PC が発売されてすぐに、DOS 用の便利なユーティリティー集を作成して販売した人…でした。
その機能は、消してしまったファイルを復活する、壊れたファイルを出来る限り修復する、ファイルを見えなくする、ファイルエントリを整頓する…などなど。
今となってはこれ自体に解説が必要だな。
当時、今の Windows や MacOS にあるような「ゴミ箱」なんて概念は存在せず、消去したファイルは瞬時に消えました。
でも、実は「ディスク上のメモリを解放した」だけで、データは残っているんですね。
そこで、データが「少しでも残されている」前提で、できる限りデータを拾い出して復活する、というのが消去ファイルの復活・壊れたファイルの修復になります。
消した直後なら復活しやすいけど、時間がたつと(データが上書きされると)確率は下がります。
こういうツールはフリーソフトでも良く作られていたのだけど、それを最初にやったツール。
DOS では、「ファイル一覧」を見ると、ディスクに書き込まれている順…つまりは、DOS 内部の都合による順番でファイルが表示されました。
これを、ファイル名順とか、変更時刻順とか、自由に並び替えるのが「ファイルエントリの整頓」。
ファイルを見えなくするのは、単に「見えない」属性を付けるだけ。
DOS 自体にその機能はあったのですが、操作する方法がありませんでした。
どの機能も、後で定番となるようなものばかりです。
というか、CP/M でもあったのかも。僕は CP/M 当時をそれほど知りませんが、誰よりも早く DOS に移植した、というだけかもしれません。
でも、ノートンは、このソフトで大儲けします。
人気が出たので DOS がバージョンアップすれば対応版を作りますし、便利な機能を増やしたバージョンアップ版も作ります。
その一方で、こうしたツールを作るために「解析」した、IBM-PC のハードウェア詳細や DOS の内部詳細を、まとめて本にします。
この本の表紙には、腕組みをしたピーター・ノートン本人の写真が使われました。
IBM-PC や DOS の仕様変更に伴い、こうした本は数冊発売されています。
IBM-PC ハッカーの必携書でした。
1984年に Macintosh が発表になると、すぐにノートンユーティリティーの Mac 版も作ります。
Mac 版では「アイコン」を付けなくてはならなかったため、腕組みをしたノートンのイラスト…本で有名となった「本人」を登場させます。
ノートンは腕の立つハッカーで、小粒ながら本当に役立つツールを作成する、と認識されていました。
その本人が自分の肖像を付けて販売するソフトは、性能保証を意味していたのです。
Mac が「ファイルの扱い」で DOS よりも便利である、と話題になると、すぐに「ノートンコマンダー」を DOS 向けに発売します。
これは、いわゆる「ファイラー」(ファイルマネージャー)の元祖です。
ファイル一覧を画面に表示し、カーソルキーで選んで操作できました。
コピー、移動、複製、削除、内容表示、編集、外部プログラムへの受け渡し、などなど…
元祖だったため、以降に続く類似ソフトは、みなノートンコマンダーの作法に倣いました。
現在でも、数多くのファイル管理ソフトが、同じ作法で操作することができます。
いずれも、決して派手なソフトではありません。
しかし地味に使い勝手を向上させ、確実にパソコン環境を改善するツールばかりを作り出しています。
Windows 時代にもノートンコマンダーは作られましたが、そもそも Windows ではファイルの扱いが簡単になったため、それほど売れなかったようです。
かわりに、増え始めたウィルスの脅威に対してノートン・アンチウィルスや、ノートン・インターネットセキュリティが発売され、こちらも人気を博します。
他にも、ノートン360、ノートンパーソナルファイアーウォール、ノートンシステムワークス、ノートンパーテションマジック、ノートンアンチスパム、ノートンアンチボット、ノートンGoBack、ノートンゴースト…などなど。
今では他の製品の一部になっていたり、完全に開発終了しているものも含め、非常に多くの製品を送り出していおます。
(僕も知らない製品ばっかなので、あまり質問しないでね!)
ノートンユーティリティズの方は、今でもシリーズが続いていますね。
「フロッピーディスクを対象としたソフト」だったのが、現在ではハードディスクのデフラグや Windows のレジストリ整理など、全然違う内容になっていますが。
…でも、消去したファイルの復活はまだあるのね。
一度ゴミ箱に入れて、それから消去して、その後で「あ、間違えた」と言う時でも復活できる。うっかりさんには必要…なのか?
いずれにせよ、今ではほとんどがOSに付属していたり、無料で入手可能な機能ばかり。
「ノートンを買わないとその機能が手に入らない」ころと違って、雑誌などでの評価も下がっているようです。
ところで、68k Mac の頃に、ノートンユーティリティズの一機能であった「ノートン・ディスクドクター」のパロディで、「ニュートロン・ディスコダンサー」というソフトがありました。
ディスクドクターは、「ディスクを検査し、修復します」と、ディスクの聴診器を当てるノートン先生のアニメがありました。
ディスコダンサーは、「ディスクを破壊し、消去します」と、同じように手を動かして、DJ 風にディスクをスクラッチしたりする。
冗談ソフトなので、もちろん壊れてないし消去されないのですが。
こんなパロディが登場すること自体、「誰もが知っている」ことを前提としていたわけで、すごく普及していたのだと思います。
現在、ピーター・ノートン氏は健在ですが、流石にソフト業界からは手を引いています。
ノートン社もシマンテックに吸収され、ブランドのみが残っています。
つまり、ノートンは名前のみが残っていて、ノートン氏が作っているのでも、ノートン社が作っているのでもない。
ノートン氏は現在でもいくつかの会社の会長などを務めていて、それとは別に財団も持っているようです。
財団では、主に美術館と協力して美術品の保護にお金を出したりしているみたいです。
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