目次
11-10 秋は忙しい
11-10 悪魔とドラキュラの誕生日
先月中旬から、あまり「家族の記録」としての日記を書いてない。
週末がなにかと忙しくて、週末に仕事をできなくなったあおりで平日も忙しくて、書いてる暇がない、というところ。
書き忘れていることもある。
そこで、古いことをメモ書き程度に書き残し、この週末のことも書く。
(家族のための日記なので、他の方がみても面白くはない)
9月28日。次女の保育園のおゆうぎ会。
例年年度末の3月に行われ、子供の成長を見せる場、と位置づけられていたおゆうぎ会。
3年前に震災があり、その後公共の建物などの耐震性が改めてチェックされた。
この影響で昨年の夏に、毎年おゆうぎ会を行っていた建物の「立ち入り禁止」が決定。
(その後、耐震補強工事をしても十分な安全が確保できない、と判定され、取り壊し決定)
昨年は急遽、別のホールを借りたのだけど、平日しか借りられなかった。
おゆうぎ会は保育園のOBの子供たちも集まる場として設定されているのだけど、平日では集まれない。
それどころか、保護者の中にも仕事の関係で来られない人も多数。非常に寂しいものだった。
そこで今年は、とにかく週末に借りられる日を押さえることにした、らしい。
結果として、年度末ではなく秋にずれこんでしまった。
それでも、保育園の子供たちは、夏休み期間にぐんと成長する。
夏休みは来ない子もいるけど、その分園に来ていた子は濃密な関係を作り上げる。
夏休み中に来なかった子も、秋から新しい関係にちゃんと取り込まれる。
それから1か月足らずの練習期間で、みな、しっかりとしたおゆうぎをしていた。
もちろん年度末の方が望ましいのだろうけど、秋になってしまったからレベルが低かった、ということは無い。
10月11~12はハワイアンズに旅行、というところは書いた。
翌週18日は保育園の運動会。昨年保育園前の「ひろば」が整備され「公園」となったあおりで、使用制限が増えた。
このため昨年の運動会は盛り上がりに欠けたのだが、今年は工夫され、非常に盛り上がる。
ちなみに、「保育園の」と書いたが、OBの小学生も、保護者も、全員参加。
子供を応援しているだけでなく、本当に家族で楽しめる運動会。
その翌週は特に何もなかった…のだけど、そもそも「何もない週末」が少ないので、必要なものを買いに家族で外出。
さらに翌週、3連休でした。
まず土曜日。すでに書いたが「懐かしのホビーパソコンオフ会」。
これは家族でなくて、僕だけのイベントですね。
翌日朝、長男が朝起きてくるなり「目が痛い」と。見ると両目とも、真っ赤に充血している。
目が開けられないほど痛いし、光がすごくまぶしく感じる、と。
ゴミが入ったとかではなく、ウィルス性の結膜炎が疑われた。
日曜日だけど、やっている眼医者あるかな…と調べると、駅前に春にオープンしたばかりの眼医者が、休日もやっているらしい。
オープン時間を待ち、連れていく。
休日診療やっているところは珍しいこともあり、かなり混んでいた。
この頃には少し痛みが治まった、とは言っていたが待っている間も辛そう。でも、仕方がない。
結局、医者の診断は「ウィルス性の急性結膜炎」。
医者としてはアデノウィルスを疑い、ウィルス検査もしたのだけど陰性。
でも「陽性なら必ず存在するけど、存在しても陰性の場合がある検査方法」とのことで、アデノだろうとの判断。
目薬2種類処方されました。日和見感染を防ぐ抗生物質と、炎症を抑える痛み止め。
対症療法しかなくて、自然治癒を待つということですね。
この時医者でもらった「急性結膜炎」の小冊子があって、子供に細かな症状聴きながら判断すると、たぶんエンテロウィルスによるもの。
エンテロだと、アデノよりも急に症状が進み症状が重いのだけど、その分早く治る、というのが不幸中の幸い。
なお、こちらも知識がなくてあまり細かな症状を伝えられていなかったので、医者の誤診と言うわけではない。
「感染症だから学校は休んで」という医者の判断で、2日間お休み。
お休み期間は目が充血しているだけで痛みもそれほどなく、体は元気なので「つまらない~ 学校行きたい~」と言っておりました。
さて、長男の発症と同時並行で、この週末は妻もオフ会。
詳細は知らないけど、妻の知り合いがイベントを行うというので「見に行く」つもりでいたら、うっかりチケットを買い逃していた。
すると、その知り合いから「手が足りないので、手伝うならチケットなしで見せてやる」という寛大な言葉を頂いたようだ。
スタッフの一人となったことで、「打ち上げ」にもお呼ばれして、2日連続で外出。
生物系のイベントで、珍しい食べ物なんかも売っている。
おみやげに珍しいおにぎりいただきました。
「桜の葉のみを食べる毛虫の糞を一緒に炊いた炊き込みごはん」で作ってあり、具は蚕の甘露煮。
ごはん全体に桜の香りが付いていて、具も非常においしいごはんでした。
これ、先に説明うけたら食べれない人も多そうだけど、何も言われなかったら「すごく美味」の部類です。
ちなみに僕は、説明うけてから食べました。
(ちゃんとおいしい食べ物として作られた物であれば、なんでも抵抗なく食べるタイプ)
さて、この週末。金曜日は保育園の遠足。僕は仕事があったので妻に行ってもらう。
土曜日は、近所の「こどもフェスティバル」の日。
近隣の小学校4校の持ち回りで行われている「こどものための」お祭りなのだけど、中学生や高校生も参加しているし、子供を持つ親も参加している。
妻はお手伝いに参加して、ひたすら「スライム」作りの材料用意していました。
子どもが通う小学校PTAの出店で、毎年スライムづくりやってます。PVAに硼砂入れて作る奴ね。
お手伝いの2時間、ひたすら硼砂水溶液を 5ml づつフィルムケースに入れていくお仕事。
大人気で、休む暇もなかったようですが、理系出身者としては「客対応よりも気が楽だった」ようです。
色を4種類から選べ、さらに中に「ラメ」を3色から選んで入れられます。
無料で、一人3回まで。
うちの子供たちももちろん3回作って大喜びでした。
さて、フェスティバル終了後、再び妻のオフ会。
前週のとは別の人が主催なのだけど、メンバーは結構被るそうです。
「今日、科学未来館でサイエンスアゴラやってるんだよねー」と妻。急に言われてもよくわからん。
聴けば、研究者が各種発表を行うイベントで、自由にブースを見て回る形が中心なので、時間拘束が無いので子供でも見られるだろう、とのこと。
科学未来館と言えば、先日なにかテレビで企画展の宣伝をやっていて、次女が見たがっていた…
と話をしていたら、聞きつけた次女が「あれ見たい! 今日行こう!」と言い出す。
連日外出の妻が疲れてなければ、と思ったけど、妻はこんな話を持ち出したくらいで問題ないらしい。
(当初は疲れているだろうから行かない、と思っていたけど、案外大丈夫なので言ってみたらしい)
というわけで急遽外出。
まず最初に書いておくと、次女がみたがっていたイベント、今月末からでした (^^;
宣伝は事前告知するための物。残念、また来ましょう。
サイエンスアゴラは、科学館だけでなく、周囲のビルにも分散して行われるイベントでした。
まぁ、気軽な「研究者の発表会」だと思っていいでしょう。
講演会をする人もいるし、
子連れでビル間を廻るのは大変なので、科学館部分のみ見る。
(これも、子供はいろいろ見たがるため、一部見られただけ)
各種研究者の発表、家族みんなが一番興味を持ったのは、「カードに対するプロジェクションマッピング技術」。
天井にカメラとプロジェクタがあり、テーブルに多数のカードがあります。
このカードを識別して、トランプの絵柄が投影されている。カードを動かせば当然絵柄も動く。
(一瞬遅れてついてくるのが、子供にとっては非常に面白いらしい)
トランプの絵柄は動いていて、マークがクルクル回ったり、絵札がウィンクしたり。
ジョーカーなんて、常に踊っている。(ジョーカーは、カラーと白黒の2種類ある)
カードには9個の点が付いているのは、誰が見てもすぐわかる。
でも、表と裏をちゃんと認識している。クルクルひっくり返しても、表も裏も9個の点で、あまり違いは無さそう。
興味深くずっとクルクルしていたら「表と裏で、少し違う形になっているんです」と説明された。
…よく見ると、確かに違う。「あー、これで表裏見分けているんだ」と言ったら、それだけでなく、54種類全部のカードを見分けているという。
しかも、カードの「向き」もちゃんと認識して、正しく投影する。組み合わせてカードの「テント」を作っても、斜めになっているのを認識している。
カメラに映るサイズで距離も把握していて、上下にカードを動かしても、常に適切なサイズで画像を投影します。
カードの「点」が隠されると認識できなくなるので、重ねて開くことはできない。
上から投影しているので、カードを手に持っていると消えてしまう。
だから、7並べもできない。多分、できるのは神経衰弱程度。
ただ、別にカードゲームがやりたいのではなくて、これは「現状で可能な範囲の技術デモ」にすぎません。
本来は、カーテンや服などの「柔らかいもの」に投影するのを目的としているようです。
なので、このシステムがそのまま世に出ることは無いのでしょう。
しかし、うちの長女は新発売のおもちゃだと思ったようで、家に帰ってから「あれ買いたい」と言っていました。
発売されないし、特別な展示だったので次にあの科学館に行っても遊べないし、本来の目的はカード表示ではないので、研究が進んだらもう2度とみられないだろう、と言ったらすごく残念そうでした。
そのほか興味持ったもの。
折り紙を応用することで、小さくたたんで大きく展開できる構造物。
ミウラ折の延長にある、と言えばわかる人はわかるでしょうが、単に平面に展開するのではなく、ドーム状になるなどダイナミックな構造物が作れます。
ヒラムシの動きをロボットで作る研究。
ヒラムシは、プラナリアの仲間だそうです。名前の通り平たく、直系5cm位までの生物。
長女がエイの動きが好きで、ロボット見て「エイだ~」と言っていたら、みんなにエイと言われるけどヒラムシなんですよー、と残念そうな研究者さんが。
ロボット自体は非常に単純(3つの腕しかない)なのですが、柔らかな素材で作られていることで、裾が綺麗なサイン波を描き泳ぎます。
試薬をピペットで正確に測りつつ、パレットに入れていくロボットがありました。
デモとして延々と試薬を入れたり、吸ったり、パレットを移動したり、ピペットを捨てて交換したり…を繰り返していたのですが、それを見た子供が「何やってるの?」と。
昨日お母さんが、スライム作るための薬をずっと測りつづけていたでしょ?
あれを自動でやってくれるロボット、と言ったら、一発で何をするものか理解しました。
3Dプリンタで、分子モデルを作り出すデモをやっているグループがいました。
3Dプリンタに興味を持って子供が寄っていく。そこには、チェスのコマなどもいっぱいありました。
「こんなので簡単につくれたら、チェス買う人いなくなっちゃうよ?」と長男。
大量生産の方が安いこと、でも1つづつ自由な形を作れると応用が利くこと、などを教えます。
研究者の方が分子モデル見せてくれました。ポンデリングみたいの出てきたから「ベンゼン環ですね」というと、「お、正解。こちらわかりますか?」と別のを。
判らなかったので答えが出ます。エタノールでした。
エタノール、という名前で長男はちゃんとわかります。
妻が「あー、エタノールかわいいって、バケガクの人みんな言いますよねー」と。
研究者の方も「そうなんですよー、立体モデルにすると、ぬいぐるみみたいでしょー」って、なかなか判ってくれる人はいないようです。
あー、なるほど。僕は初めて聞いたけど、確かにぬいぐるみっぽいかも。
「虫を食べる」ことを研究している人たちの場所もあったのだけど、行き忘れた。
先に書いた、虫おにぎりとか作ってた人たちが出店しているらしい。
(この日は妻の友達はいなかったようです)
ちょっと食べたかった。
サイエンスアゴラ以外にも、もちろん科学館の中も見ました。
以前に来ているので特筆すべきものは無いのだけど…以前から見たかった「アナグラのうた」をやっと体験できた。
「原因不明の理由で世界がほろんだ1000年後」の設定で作られたスペース。
滅ぶ直前に、5人の博士が「世界を救うために」研究していた装置が残されている。
これ、計画し、作成中に震災があったそうです。
「世界が滅んだ」などの設定を追い越すような現実に戸惑ったとか。オープンは2011年の夏。
で、先にリンクしたものも含め、当時の記事はそれなりにあるので、「展示内容」については特に書きません。
それよりも、3年たった「今」見に行った、当時の「最先端研究」について書きます。
これ、出来た時から興味ありましたが、もし当時見ていたら、展示を見て「面白い」で思わっていたでしょう。
この展示は、博士たちの残した「研究内容」を示すビデオをみて、その研究内容が展示全体にリンクしていること、そして、それは展示だけではなく、我々が住む世界を大きく変えるかもしれない技術であることを感じてもらう、というのがテーマです。
でも、3年前なら、絵空事でしかなかった。
多分、研究内容は先進的過ぎて意味がりかいできず、「面白い空間だった」で終わり。
「世界を変える技術の説明を受けた」という感情は残らなかったでしょう。
でも、今だからこそ見るべきです。
ネタバレになるかもしれないけど、博士たちの研究技術は、みんなの「ライフログ」を、個人のプライバシーに配慮したうえでビッグデータとして活用し、他の人に情報を伝えることで生活を豊かにする、というものです。
たとえば、車が現在走っているところを伝えることで、渋滞情報などを共有する。
…いまは当たり前ですね。でも、3年前は「最先端技術」で、まだ十分な活用はされていなかった。
震災の時、ホンダのナビゲーションシステムだけが、位置情報を共有するシステムを持っていました。
でも、これはホンダ車にオプションで取り付けないと使えないシステムで、使えるデータが少ないので精度も十分ではありませんでした。
それでも、震災時にグーグルに情報が提供され、渋滞情報ではなく「走れる道の情報」としてグーグルマップに示され、物資輸送で力を発揮しました。
それからたった3年で、自動車間で渋滞情報を共有するナビゲーションシステムは一般化し、無料で使えるようになりました。
データが多いため精度も十分に出ます。
ただ、こうしたシステムが急激に整備されたため、「個人の位置を常にサーバーに送り続けるのは気持ち悪い」と感じる人もいる。
そうした人こそ、「アナグラのうた」を体験すべきでしょう。
そこでは、データを活用しながらプライバシーを確保する、ということにどれだけ気が使われているか、どのような方法でプライバシーを保護しているか、などの博士の研究を見ることができます。
そして、実際に簡単な形で「体験」できます。
アナグラのうたでは、いくつかの展示を好きなように見て回りますが、自分の歩いた経路は常に監視されています。
ここにプライバシーは存在しないのです。
でも、それを「活用」して、皆が幸せになる歌を作り出せる。
この際、データを匿名化するか、自分のデータとして明示されて良いか選べます。
自分のデータで歌を作れば、歌の中に名前が織り込まれたりする。
匿名化すれば、その部分はすべて「キミ」などの代名詞となる。
でも、匿名化しても自分だけは、自分のために作られた歌だとわかります。
周囲の人もその歌を聴くことはできるから、みんなで幸せになれる…かもしれない。
歌の内容が自分の行動を意味しているので、それでもプライバシー侵害だ、と思う人もいるかもしれない。
自分のデータは提供しないけど、人のデータは欲しい、というわがままな人もいるかもしれない。
そういうこと全てを、考えさせる内容になっています。
アナグラのうたは「原因不明で人類が滅んだ1000年後」の設定です。
設定を理解するためのヒントは用意されていますし、ここの展示が人類を救うための物だった、とは示されますが、滅んだ原因はわかりません。
プライバシーが守られなかったことによるストレスかもしれない。
お互いのデータを十分活用できなかったことによる、エネルギーや資源の無駄遣いかもしれない。
プライバシーを気にするあまり、人々のコミュニケーションが失われたせいかもしれない。
いろんな原因が思い浮かぶようになっています。
そして、プライバシーとデータ活用という「相反する」内容をどう考えるか、展示を見た後に宿題として残される形になっています。
WEB 見てると、余りにも的確に自分の興味内容の広告が出るので不気味、という問題ありますよね。
その一方、知らなかったおすすめ商品を教えてもらえてうれしい場合もある。
これが「プライバシー侵害」なのかどうか、という問題。
個人のトラッキングはしているけど、その個人が何処のだれかは全くわからず、匿名化されている。
これを許せないと思えば、おすすめ商品で、気づかなかった良いものに巡り合うこともできない。
Google のナビで現在位置を送って「渋滞情報」を教え合うのも同じ。
でも、これは実は携帯位置の追跡でもあり、持ち主はちゃんとログを見られるようになっている。
持ち主は、ということは、個人と結びついた現在地データが収集されているわけです。
ただ、「利用するときは匿名化している」という言葉を信じるしかない。
これは気持ち悪い、という人もいるでしょうが、渋滞情報を使えるのは実際に便利。
自分が使わせてもらうのだから、自分のデータも送った方が良いようには思う。
多分、アナグラのうたがオープンした直後に行ったら、こんなに身近な例が思い当らなかった。
でも、たった3年の間に、技術が大きく進歩したからこそ、この壮大なテーマが身近に感じられます。
5年間の期間限定展示、ということなのだけど、3年で現実がこんなに変わってしまうことを考えると、5年と言うのは適切な期間なのかも。
そろそろ、理解しやすくなっているうえに、当初ほど混まなくなっています。
今だからこそ、見ていない人は見に行くと良いかと思う展示です。
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別年同日の日記
申し訳ありませんが、現在意見投稿をできない状態にしています。 |
今日は、2人の方の誕生日。
デーモン閣下(紀元前98036年)。
ドラキュラ公、ヴラド・ツェペシュさん(1431年)。
…すみません。見て判る通り、ネタです。
デーモン閣下の方は、残念ながら良く知りません。
ファンの人、多いよね。
大学時代、友人が「あんなに綺麗な日本語を使い、綺麗に歌うヘビメタは他にいない」と言っていました。
ヘビメタはあまり趣味でないので聞いてませんでしたが、解散後普通に芸能活動をし、普通に歌うのを聞いて、非常に歌の上手い方だと思いました。
最近でもNHKの朝の番組0655で歌ってたりしたけど、50歳越えてあの艶のある声は、なかなかすごいと思います。
ヴラド・ツェペシュ。
15世紀ルーマニアの君主です。
当時はヨーロッパとオスマントルコとの戦いが増えていました。
戦いには資金がいります。民衆を守るための戦いであっても、税を集めなくてはならず、民衆の恨みを買います。
しかし、そこで君主の力を見せなくては、統制が取れなくなります。
ヴラドは、反抗勢力を片っ端から処刑します。
当時の処刑は、斬首か串刺し。
斬首の方が苦しまないために「軽い刑」なのですが、統制を取るために見せしめとして処刑しているため、ヴラドはほとんどを串刺しとしました。
もちろん、戦う相手のトルコ人は、片っ端から串刺しです。
トルコ兵は、ヴラドを「串刺し公」と呼びました。
「串刺し公」のルーマニア発音が「ツェペシュ」。これは、本名ではなくあだ名です。
しかし、これは不名誉なあだ名。ヴラドはこの名前は使っていません。
ヴラドの父は、非常に勇敢な騎士で「竜公」の異名を取りました。
竜は英語でドラゴンですが、ルーマニア語ではドラクル。
そして、末尾の音を「a」に変えると、その子供である、という意味になります。
ブラドは、みずからは「ドラクラ」を名乗りました。
竜の力を持つものの息子、ですね。カッコイイ名前です。
話は急に変わります。
19世紀の初頭、詩人バイロンと友人たちは、スイスに滞在します。
その年は異常気象で、長雨が続きました。
外出できない退屈を紛らわすため、当時の科学の最先端について談話をしたり、怪奇小説を読み聞かせ合って楽しんだりします。
そして、この時に「みんなで怪奇小説を書いて、発表し合おう」というアイディアが出ます。
このアイディアは、旅行の間には実現されませんでしたが、2つの小説を生み出します。
バイロンとスイス旅行をしたメンバーの一人、メアリー・シェリーは、「フランケンシュタイン」を書きあげ、匿名で出版します(1818)。
フランケンシュタインは、「科学談義」と「怪奇」をくみあわせた、科学者が死体を材料として、人造人間を作り出してしまう話でした。
科学の延長として恐ろしくも悲しい事件が起きる、というこの小説は、女性作家らしい細やかな心理描写などもあり、ちょっとした話題になります。
#当初匿名でしたが、話題になったため、数年後には実名で版を重ねています。
そこへ翌年、バイロンの名で短編「吸血鬼」(1819)が発表されます。
フランケンシュタインによって、怪奇小説が話題となっているところに、著名人であったバイロンの名で発表されたのです。
これは大流行となりました。そして、次々と新しい「吸血鬼小説」が発表されます。
#当初バイロンの名で発表されただけで、実際の作者はバイロンと共にスイスで過ごした、友人で主治医の医者、ジョン・ポリドリです。
1872年には「女吸血鬼カーミラ」が発表され、ブームが再燃します。
そして、このカーミラに影響を受けて作られた小説が、ブラム・ストーカーの「ドラキュラ」(1897)でした。
ドラキュラの名前と、「ルーマニア出身」という設定以外、ヴラドとは何の関連性もありません。
しかし、「串刺し公」として伝えられた、血を好む貴族のイメージと、紳士的だが恐ろしい吸血鬼のイメージをうまく重ねたのでしょう。
この「ドラキュラ」、僕の非常に好きな小説の一つです。
お話は日記形式で進みます。日記なので、すべては「すでに終わったこと」です。
でも、不思議なことが連続し、主人公は何が起きているのかわからない。
徐々に吸血鬼の存在が明らかになり、主人公の危機がわかってくる。
明日は命がけの脱出を行おう、と主人公が記した最後の日記で、ひとまず第1部終了、というハラハラする流れ。
その脱出がどうなったのか、全くわからないのです。
第2部では日記を書く人が増え、それぞれの視点で一つの事件を見ていくことになるのだけど、第1部から読み続けている読者にだけ、危機が見えている。
でもそれぞれの書き手は一切気づいていないのがもどかしい。
当時最先端だった「録音機」を使って日記を記録している人がいたり、日記と言っても皆が違う文体になっているので、性格の違いまで見えてきます。
やがて、別々だった人々が集まり、お互いの記録を読んで事実に気付き、吸血鬼を追い詰めていくのですが…
すごくカッコイイ。覚悟を持った男たち(+女性1人)の活躍が感動的です。
余りネタバレしようと思わないので、興味ある人は買ってね。
古典的な小説ではあるけど、今読んでも十分面白いから。
日記風にしたことがお話を面白くしている部分が多々あり、映像化の難しい作品でもあります。
ドラキュラ映画は数あるのだけど、原作に比較的忠実なコッポラ作品ですら、原作とは全然違う…
そして、ファミコンディスクで発売されたゲーム「悪魔城ドラキュラ」。
このゲーム、大好きでした。
今回「悪魔」であるデーモン閣下とドラキュラを一緒に紹介しているのも「悪魔城ドラキュラ」でつなげたいという、ネタのための仕込みでした。
そして、ゲームが大好きだったので原作に興味を持って、上の小説も読んだのです。
先に書きましたが、ドラキュラの原点とフランケンシュタインが「同じときに生まれた」と知って、フランケンシュタインまで読みました。
バイロンの「吸血鬼」や「カーミラ」は読んでませんが。
ヴラド・ツェペシュについて興味を持ったのもそのころ。
今日の日記は Wikipedia 見ながら書きましたが、当時は資料少なくて、断片的な情報を集めていました。
話が脇にそれました。ファミコンゲームの話に戻します。
元々ジャンプアクションが好きで、スーパーマリオとかも遊びこんだのだけど、悪魔城ドラキュラはものすごくやり込みました。
多分、生まれて初めて「本気でやり込んだ」ゲームではないかな。
中学生の時で、夏休みの 40日間、少しくらい休んだかもしれないけど「毎日1周」してました。
1周すると難易度が上がって1面に戻るので、そこまで行ったらわざと死んでセーブ。
1周18ステージ。たしか3周で難易度最高になっているし、ステージ数も 99 以上カウントされない(6週までしかわからない)のだけど、とにかく遊んでた。
慣れちゃってるので、もちろんミスなんてしません。
これは「敵に当たらない」という意味ではなくて、わざと敵にぶつかって、跳ね飛ばされることで近道を通ったりもする。
とにかく無駄のない動きを目指したプレースタイル。
そこまでやり込んでしまうと、続編遊んでも「何か違う」なのですね。
ドラキュラ2は、単純なアクションではなく「謎解きありのアドベンチャー風」になってしまってつまらなかった。
ドラキュラ3は、友達が購入したので少し遊ばせてもらったけど、キャラクターを変えられるシステムが「ゲームの流れを中断させてしまう」のが嫌で、好きになれなかった。
#とにかく無駄のない動きを目指していましたから、途中でキャラクターチェンジのため一時停止、とか嫌だったのですね。
X68k でドラキュラが「リメイク」されたのは、購入して遊びました。素晴らしい出来でした。
リメイクだから、初代と大体おなじなのね。同じ雰囲気で遊べる。
それでいて、ハードウェアの進化によって、昔にはできなかったような演出が入っている。
これも好きで、6周目をクリアして何週もやった覚えがあります。
#難易度は徐々に上がり、6周目で最高になる。
ただし、「怖さ」の演出は5周目がマックス。
6周目は、遊びこんだ人へのサービス精神旺盛なギャグが多数仕込んである。
これは後にプレイステーションにも移植されましたが、移植版はちょっと残念な出来でした。
#この移植「悪魔城年代記」としてシリーズ化する、とのことでしたが、この一作で終わったように思います。
残念移植で批判が多かったので、続けられなくなったようです。
その後、ゲームボーイアドバンスが発売された際に、同時発売タイトルで遊びたいものが「ドラキュラ」しかなく、購入。
PCエンジン版の流れを汲むもの、とのことでしたが、迷路を探索するようなゲームだった。
せっかく買ったのでやり込んだし、これはこれで面白いゲームだったのだけど、自分の好きなドラキュラとは違いました。
自分の好きな作品とは違うから駄目だ、というのではないよ。
ただ、僕は今でも初代と、その初代を上手にアレンジした X68k 版が好き、というだけの話。
というわけで、ゲームが好きで好きで、原作小説に手を出したばかりか、その小説がモチーフとした人物まで調べてしまうような馬鹿がここにいますよ、と。
ゲームの話は日記に余り書きませんが、基本的にやり込みゲーマーです。
気に入った小数のゲームを、とことんやり込みます。
#だから、ゲーム好きならこれ知ってる? と話をふられても、知らないゲームが多い。
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