今日はダグラス・エンゲルバートの命日(2013)。
一周忌です。
昨年追悼文かいたので、そちらも参照のこと。
50年代の画面技術も彼に関係の深い話です。
さて、一昨日はブッシュの命日。
昨日は、ブッシュが「MEMEX」の構想を発表した日でした。
そして今日命日のダグラス・エンゲルバートは、MEMEX を実現しようとした、最初の一人。
「今日は何の日」で3日連続で話ができるとは思いませんでした。
ブッシュは、情報を記録する最先端メディアであったマイクロフィルムと、情報を整理する最先端メディアであったパンチカードを組み合わせたようなもの、として MEMEX を構想しました。
ブッシュ自身は、若いころに「デジタル計算機」の限界を感じ、機械式アナログコンピューターを作った人です。
その経験から、デジタルコンピューターなんて信じていませんでした。
でも、エンゲルバートは海軍のレーダー技師で、SAGE を使った経験から「コンピューターを使えば、情報の記憶と整理の両方が可能である」ことに気が付きます。
これを使えば MEMEX が実現できるでしょう。
そして彼は NLS を作りました。
世界初の、コンピューターで文章を執筆し、推敲し、共有できる環境です。
このために、彼は(正確には彼と仲間たちは)世界初をたくさん考案しています。
一番有名なのは「マウスの発明者」ですが、ディスプレイ、ワープロ、GUI、メール、チャット…などなど。
MEMEX の「トレイル」…現在では「ハイパーリンク」と呼ばれているものに相当するものはありません。
でも、MEMEX では「マイクロフィルムによって友人と情報を共有できる」としていた情報を、オンラインで共有しながら会議ができるようになりました。
エンゲルバートは NLS を大々的に発表します。
直接見たわけではないようですが、テッド・ネルソンにも影響を与えました。
エンゲルバートの NLS は、使いやすくしようと頑張っていたのですが、実はまだまだ非常に使い方の難しい、技術偏重のシステムでした。
アラン・ケイは、NLS に触発されながらも MEMEX の目指した「我々の考えるように」使えるシステムをめざして研究を開始します。
テッドネルソンは、NLS に足りないもの…情報を繋げる「トレイル」を、コンピューター上に取り入れる方法を考え、マイクロフィルムではとても実現できなかった「ハイパーテキスト」に辿りつきます。
現在の WEB は、アランケイの目指した「使いやすいシステム」と、テッドネルソンの目指した「ハイパーテキスト」の上に作られた…今すぐ実現しそうな機能だけで作られた、小さな箱庭。
…違うもので比較ができません、というのであればよいのですが、残念ながら WEB は、先行する研究者の考えたもののサブセットに過ぎません。
サブセットでも十分便利ではあるけど、問題がいろいろあるのもまた事実。
いつか、新しい技術で解決されると思いますが、その方向性を見極めるためにも、先人たちの研究には敬意を払っておくべきでしょう。
同じテーマの日記(最近の一覧)
関連ページ
ダグラス・エンゲルバート 誕生日(1925)【日記 16/01/30】
別年同日の日記
申し訳ありませんが、現在意見投稿をできない状態にしています。 |