シャープのパソコン、ってなんてアバウトな。
僕もさっきまで知りませんでした。
Twitter で、SHARP GALAPAGOS 公式氏が気を吐いておりました。
1984年 MZ-1500 発売
1984年 X1Cs および X1Ck 発売
1990年 X68k SUPER-HD 発売
1990年 All in Note (ノートパソコン)発売
…だそうです。
個人的に X68k が好きですが、SUPER-HD はバリエーションの一機種に過ぎないので、
MZ-1500 の話題行きましょうか。
MZ-1500 って、あまり歴史に名を残していない機種に思います。
でも、当時のパソコン少年で憧れた人は多かったはず。
だって、この機種すごい性能なのに、結構安いんですよ。
MZ-700 の完全上位互換でした。
ある程度資産のある、MZ-700 のソフトは完全に動作する、ということです。
ちなみに、MZ-700 は、黎明期のパソコンである MZ-80K の上位互換です。
…MZ-80 には、K 系列と B 系列の2つがあり、MZ-80B の互換ではない、と言うのがややこしいところ。
(B系列の後継機は MZ-2500 )
さて、MZ-1500 ですが、PCG を搭載していました。
当時のパソコンは遅く、ゲームを作るためにグラフィックを使おうものならさらに遅くなります。
ところが、PCG というのは、「文字の形を自由に変えられる」機能で、グラフィックではなく文字として、
ゲームの画面を作ることができます。
これだと非常に速いのですね。
当時のコンピューターでは PCG を持たないものが多く、持っていた場合もアスキー文字と同じく、256文字程度で白黒、と言うのが普通でした。
ところが、MZ-1500 では画面全てを違うキャラクターで覆えるほどの PCG が使えます。
さらに、ドット単位で好きな色(デジタル8色)が使えます。
さらに、PSG を2つも搭載していました。
当時、音楽と言えば3重和音が最大、と言うのが普通でした。
ところが、そのチップを2つ搭載することで、6重和音を可能としていたのです。
さらに驚くことに、まったく新規開発の「クイックディスク」を搭載していました。
ディスクドライブがまだ高嶺の花でとても手が出なかった時代に、特殊な機構で非常に安いディスク装置を搭載したのです。
こんなに機能を盛り込んでいて、その割には値段は高くない。
専用モニタ不要で、家庭用テレビに接続できる、というのもセット価格を安くする要因でした。
…いつかこれを購入して、面白いゲームを自作してやるんだ。
僕はそう思っていました。
でも、先に書いたように、MZ-1500はあまり歴史に名を残していません。
たいして売れなかったのです。
非常に優れた性能を持っていましたが、「他機種よりちょっといい」程度で、とびぬけた部分がなかったのです。
PCG は、「画面を違うキャラで覆えるほど」と書きましたが、実はその画面の解像度は低めでした。
家庭用モニタに接続できるように、と言う配慮もあり、40x25 …つまり、画面上に1000文字しか出ないのです。
(PCG の定義数は 1024キャラクタ)
この文字数は、ゲームをやるには十分。でも、他の機種と比べると見劣りがする感じです。
PSG による6重和音も、すぐ後には FM音源の時代がやってきます。
FM3重 + PSG3重の6重和音。同じ発声数なら、音がずっと良い FM音源の方が見栄えがしました。
クイックディスクは…後にファミコンのディスクとして流用されるものなのですが、渦巻き状にシーケンシャル記録する仕組みでした。
ディスクの良さは、ランダムアクセス可能なところにあります。
しかし、シーケンシャル記憶ではランダムアクセスは出来ず、ただ速度の速いカセットテープと同じなのです。
MZ-1500 は、PCG や 6重和音など、エンターテイメント性…はっきりいえば、ゲームターゲットでした。
しかし、ゲームを作るには「スプライトが存在しない」ことが足枷でした。
MZ-1500 の前年には、MSX とファミコンが発売されています。
MSX はスプライトもありましたし、PCG も持っていました。
ファミコンなら、画面に表示できる色数もずっとありました。
しかも、どちらとも MZ-1500 よりずっと安いのです。
高級機ほどの性能を持たない、しかし廉価機種ほど割り切れていない、中途半端な存在。
それが MZ-1500 でした。
結局、発売されたゲームもそれほど多くありませんでしたし、商業的に失敗だったようです。
当時シャープは全く異なる2つの部署がそれぞれパソコンを作っていました。
パソコン事業部の MZ と、テレビ事業部の X1 です。
一番古い、MZ-80K の互換路線は MZ-1500 で終わりとなり、パソコン事業部は高級路線である MZ-80B の互換機として後に MZ-2500 、さらには 16bit 化した MZ-2861 に続きます。
X1 シリーズはより新しい設計で、テレビ事業部らしく画像に力を入れていました。
PCG も豊富に持っていたため、MZ-1500 の直接のライバルは、X1 だったかもしれません。
X1 は後に互換性のない X68000 へと進化しますが、こちらも「美しすぎる」設計が足を引っ張って時代の変化に合わせられなくなり、性能があまり変えられないままシリーズ終了しています。
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別年同日の日記
申し訳ありませんが、現在意見投稿をできない状態にしています。 【とおりすがり】 80カラムモードが無いことと、癖が強すぎることが問題だったかもしれませんね。PCGの書き換えタイミングに制限があったので、予め定義したPCGを積極的に使わないとグラフィックの遅い低解像度機になってしまうので、高性能とも言いがたい。個性的で面白い実装ではあるのですが。 (2017-05-13 21:28:00) |