今日はアメリカザリガニが日本に輸入された日(1927)。
…だそうですよ。朝テレビで言ってたので調べたらどうやら本当らしい。
いつものようにコンピューターの話ではありませんが、これは僕としては是非いろいろ書きたいところ。
日付は知らなかったけど、ザリガニを輸入してどこに持ってこられたのかは知っています。
うちの子が通う保育園の前の広場です。
今は公園になっているけど、1927年当時はウシガエルの養殖場が作られていて、餌として100匹のザリガニを輸入したんです。
ちなみに、ウシガエル養殖場はここが最初ではありません。1918年に輸入され、良質の蛋白源だというので国の指導の下、各地に養殖場が作られています。その一つが鎌倉にも作られた、というだけ。
でも、鎌倉の養殖場は失敗でした。
ザリガニだけでなく、ウシガエルも輸入したのですが、温度変化に弱い両生類は船旅で全滅。ザリガニも100匹のうち生きていたのは20匹だけでした。
そこでザリガニの養殖を先に開始し、後にウシガエルも入手します。しかし、ある嵐の日に土手が決壊して逃げ出します。
この広場、2本の川に挟まれている(現在1本は暗渠化)ので、水があふれたらすぐ川に落ちるでしょうね。
嵐の後に干上がる心配もなく、ザリガニは増え続けます。
で、今に至る。現在は北海道から沖縄までアメリカザリガニがいます。
ペットとしてお祭りの夜店などで売られたこともあるので、範囲を広げたのは人間の手伝いもあってのことでしょう。
こんな話を知ったのは大人になってからですが、子供の頃はよくザリガニ釣りをしました。
近所が発生源だったので、いっぱいいたのだと思います。
この養殖池、数年前までは「マンモス広場」と呼ばれていました。
正式には「いわせ下関青少年広場」なのですが、非常に大きいので「マンモス」と呼ばれていたのです。
うちの子の通う保育園は、すぐ前にあるお寺です。
古いお寺で、入り口の百日紅は樹齢400年だそうです。
で、住職(園長先生)にザリガニの話を聞くと、とくとくと語ってくれます。
ところで、マンモス広場は個人の持ち物で、一般に開放する(公共の用に供する)ことで、税金免除してもらっていたのだとか。
それが数年前に持ち主の方が亡くなったそうで、相続するとなるとさすがに相続税はかかるのですが、広すぎて高額なので遺族は払いきれない。
仕方なく売却して税金を払おうと言うことになり、マンション業者が購入。マンションの設計まで行ったところで「マンモス広場が無くなる」という噂が広まり反対運動勃発。
でも、マンション業者は偉かった。
地域の人に反対されてまで建設したいわけではない、と態度表明したうえで、設計などにかかった費用はいらないから、購入金額で土地を買ってくれないかと市に掛け合う。
市の方でも紆余曲折あったものの、最終的に買取で合意。
(広すぎて一括支払いする予算がなかった模様)
個人が開放しているときは、ただの広場でした。
でも、市が買った以上はちゃんと整備しないといけない、と3年計画で公園として整備することを決定。
…このタイミングで震災が起き、公園は「防災公園」計画へと発展します。
結局、工期は2年に短縮され、先日完成しました。
新しい名前は「岩瀬下関防災公園」。
…マンモス公園じゃないんだ。
余談になるのですが、鎌倉市では公園の名前にけっこう生物の名前を付けています。
こねこ公園、やまどり公園、げんごろう公園、あけび公園…
植物も動物も取り混ぜてますが、近くにある大小の公園が「こい」と「めだか」だったりとか、結構面白い名前の付け方をしています。
で、その慣習に従って、ここは「マンモス公園」になるものだと期待していました。
マンモス広場の片隅には、自噴式の井戸がありました。
これ、上総掘りという特殊な方法で掘られた井戸です。10年くらい前に、上総掘りの研究会が、掘り方を残す目的でここに井戸を掘ったのだそうです。
もちろん、地主の許可を得てのこと。
こんなことも、個人の持ち物だったから出来たことです。
上総掘りっていうのは、元々は千葉の上総で考え出された井戸掘りの方法。
時間はかかるけど労力はそれほどかからず、必ず井戸を掘りあてるという優れた方法です。
通常、井戸を掘るのはギャンブルで、結構労力がかかるのに水が出ないこともあります。
上総掘りにはそれがありません。ただし、時間がかかるので根気は必要。
江戸末期から明治期にかけて完成した技法なのですが、もちろん今では井戸が掘られることは珍しいです。
現在日本で上総掘りで掘られた、と判っている井戸は、マンモス広場のものだけなのだそうです。
(別府温泉には上総掘りに寄ってほられたものがある、とわかっているが、どれがそうか特定できない模様。
また、上総で技術保存のために新たな井戸を掘削中。)
東南アジアなどでは未だに水事情がよくないところもあり、上総掘りの手法は労力もかからず確実に井戸が掘れることから、日本の技術が伝えられて重宝していると聞いたことがあります。
マンモス広場から防災公園にかわり、井戸は残されましたが周辺は再整備されました。
以前はただ池に注いでいて…周辺にも水がしみて湿地化していた(子供を近寄らせたくなかった)のですが、綺麗な人工の小川になりました。
人工とはいっても、すでにカエルも住んでますし、子供たちを遊ばせても安心。
もちろん、この水は飲めます。おいしいです。
飲み水が確保できている、というのは、防災公園としてはかなり重要な事でしょうね。
防災公園、主要な部分は広いグランドです。
野球だってできますが、野球場ではないので使い方は自由。
周囲に整備された道ができました。
子供たちが自転車乗り回して遊んでいますが、よく見れば、ちゃんと車が通れる幅になっています。
公園内には車が入れないように車止めがありますが、外せるようにもなっています。
災害時には、救援物資などを積んだ車を中に入れられるようにしてあるのでしょうね。
ベンチの上はパーゴラになっていますが、屋根ではありません。
でも、丁度のサイズのシートが倉庫に入っていて、被せることで雨が降っても大丈夫なようになっています。
公園の片隅には大量にマンホールが並んでいます。
緊急時にはパーテーションを立てて、仮設トイレになるのだそうです。
普通の公園に見えるのだけど、かなりよく考えられた作りになっています。
鎌倉の片田舎にある、とりたてて何もない公園なのですが、日本におけるアメリカザリガニ発祥の地であり、国内唯一の上総掘りと判明している井戸もあり、東日本震災以降に作られた、最新設備の伴った防災公園でもあります。
なんか、自分の地元に「誰も知らないけど日本初」とかあるのは好き。
というか、そういうものを探し出すのが好きなんだな。多分、どこの地域でも探せばそういうものは少しくらいあるはず。
#以前に住んでいた地域でも、そういうものを探し出して愛着持っていたし。
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