今日はジョン・エッカートの誕生日(1919)。
世界最初のコンピューター、ENIACを作った人です。
モークリーのアイディアに対し、回路を設計したのがエッカートでした。
その後、2人はエッカート・モークリー社を作って、2進法コンピューター BINAC を作ります。
でも、商業的には失敗。
技術的には 10進数で計算を行った ENIAC よりも、2進数の BINAC の方が優れています。
しかし、普通の人々は 10進数で計算をしたい、という当たり前のことにこれで気づきます。
商業的な失敗で資金難となったエッカート・モークリー社は、事務機器メーカーに資金援助を頼みます。
最初に頼みに行った IBM には断られ、次に訪問したレミントンランドがこれを快諾。レミントンランドに買収され、コンピューターの開発が続けられます。
ここで作った、二進化十進(BCD:10進数1桁ごとに区切って、2進数で計算する方式)コンピューター、UNIVAC I は 1951年に発売。1号機はアメリカ国勢調査局に納入されました。
翌1952年のアメリカ大統領選挙では、レミントンランドがテレビ番組の CBS NEWS に働きかけ、開票待ち時間の「余興」として、どちらが勝利するかを予想しました。
事前の専門家予想では、勝負は五分五分、どちらの候補が勝ってもおかしくない、というものでした。
UNIVAC I には、あらかじめ過去の大統領選のデータにより傾向を予測し、わずかなデータがあれば最終結果を予想できる、というプログラムが読み込まれていました。
そして、開票1%時点で、その開票結果が入力されます。
すると… UNIVAC I は 531人の投票人の内、438人がアイゼンハワーに投票する、という予測をはじき出します。
これはあまりにも専門家の意見とかけ離れていました。
プログラムの予測式を立てた学者ですら、結果を信じられませんでした。
予測式のミスが疑われ、プログラムが調べなおされます。
その結果、1桁間違った数値データが見つかりました。そのデータを修正した新たなプログラムで新たに予測を行うも…やはり、438人がアイゼンハワーに投票する、と言う同じ結果。
結局、CBS NEWS のキャスターは、「UNIVAC I は8対7でアイゼンハワーの勝利と予測」と伝えます。
その数時間後、すべての開票が終わると、アイゼンハワーの得票は 442票でした。
予測と、たった4票しか違いません。
あまりの衝撃的な結果に、CBS NEWS のキャスターは、当初の予測があまりに衝撃的だったため詳細を隠していた、と言う事実と共に詳細を公表、謝罪します。
これは人々に、どんな宣伝よりも強烈な印象を残しました。
コンピューターを適切に使えば、わずかなデータから、人間の予想よりもはるかに正確な予測を可能とする!
これにより、UNIVAC I の売れ行きに弾みが付きます。
事務機器として普及した最初の機械となり、最終的には、47台が販売されました。
#当時、コンピューターと言うのは「1台限り」で作られるのがほとんどで、大量生産品ではありませんでした。
軍事用だったコンピューターが民生品となり、世の中を変え始める。
…その最初の一歩でした。
同じテーマの日記(最近の一覧)
関連ページ
クリストファー・レイサム・ショールズ 命日(1890)【日記 15/02/17】
クリストファー・レイサム・ショールズ 命日(1890)【日記 15/02/17】
スティーブ・ファーバー 誕生日(1953)【日記 15/03/21】
ポール・バラン 誕生日(1926)【日記 15/04/29】
別年同日の日記
申し訳ありませんが、現在意見投稿をできない状態にしています。 |