今日は、オーレ・キアク・クリスチャンセンの誕生日(1891)
LEGO社の創始者ですね。
木工職人で、子供向けおもちゃを作っているうちに「凸凹があって組み合わせられる積み木」というアイディアに至ります。
1949年には、この積み木を元に、プラスチック製の LEGO ブロックを発売。
当時のデンマークの子供のおもちゃは木製が普通であり、自然のぬくもりが発育にも必要だとされていたため、「子供向けにプラスチックを使うなんて」と批判されて全然売れません。
それでも、木製ブロックよりもしっかりと接続して形を作れるブロックは良いものである、と言う信念から、プラスチック製のブロックを作り続けます。
…というと信念の人でカッコイイ感じだけど、木製のブロックも並行して販売しており、そちらの収益で会社を保っていました。
1958年には、現在の LEGO ブロックの形が完成します。
(それ以前のブロックと互換性がありますが、結合力が強くなりました)
オーレ・キアクは 1958年に死去します。
なので、彼の話としてはここまでで終わりになってしまうのですが、もう少し続けましょう。
1960年、倉庫の火災で、木製玩具の在庫を焼失します。
これを機に、LEGO ブロックは完全にプラスチック製一本に絞られます。
さらに、1963年にはプラスチックの材質が現在と同じ ABS 樹脂に切り替わり、1969年にはサイズが2倍(体積比8倍)であるにもかかわらず LEGO ブロックと接続性のある低年齢向けブロック「デュプロ」が発売になります。
1982年、上級者向けに歯車などを組み合わせる「テクニック」シリーズが確立します。(これ以前から複雑なブロックを使う「エキスパートビルダー」はあった)
1983年、デュプロよりさらに低年齢向けに「プリモ」発売。ブロックと言うより積み木に近いのですが、ちゃんとデュプロと接続できますし、つまりは LEGO ブロックと一緒に遊べます。
1986年、テクニックをコンピューターで扱える「テクニック・コンピューター・コントロール」が発売。後に発展して「LEGO LOGO」、さらには「MIND STORM」になっています。
細かな話をするともっとあるだろうけど、ここでの話の流れは、対象年齢層をどのように広げてきたか、です。
LEGO ブロックは、6歳から~12歳くらいのおもちゃ。
でも、デュプロは3歳からだし、プリモは1歳から遊べます。
一方で、テクニックや MIND STORM は、大人でも真剣に遊べるおもちゃです。
LEGO ブロックが大人の使用に耐えうるのは、工学的に美しいため。
LEGO GEOMETRY (レゴ幾何学)と名付けられているようですが、各部位のサイズが、厳密に一致するように作られています。
ブロックの「上側」には凸があり、基本的に空っぽの「下側」に食い込んで、ブロックを保持します。
最初期の LEGO ブロックには、側面の板しかなく、保持力は弱かったようです。
しかし、かなり早い段階で裏側に「パイプ」を用意する構造となり、側面だけでなく、このパイプも凸部の隙間にはまるようになります。
ちょうど、すべての「凸」を、側面とパイプで両側から抱えた状態。
これがLEGOブロックの保持力の高さを作り出していて、かつては特許技術でした。
…過去形なのは、すでに特許は切れているため。
今ではこれを真似して、LEGOの互換品ブロックも作られています。
LEGO 社としては、LEGO の「見た目」を立体商標とすることで類似品を防ごうとしていますが、登録の認可状況はは国ごとに異なり、類似品を防ぎきれない状況。
まぁ、類似品の話は余談。話を続けましょう。
この裏面のパイプ、四角く並んだ4つの凸の中央にはまるように作ってあります。
パイプの外周が、凸の四角に内接する、ということ。
そして、このパイプの「内周」は、凸がちょうど中にハマるサイズになっています。
これにより、通常の接続だけでなく、凸を斜めに半分だけずらした位置でも接続できます。
そして、凸のサイズと、レゴの人形(ミニフィグ)の手のサイズは同じ。
ミニフィグの手は、わざと少し出っ張って作られています。ここにブロックの裏のパイプをはめると、「ブロックを持っている」ように出来るのです。
これ、遊びの幅を広げるうえで重要。
さらに、ミニフィグの手の内径は、レゴブロックの「旗竿」などに使われているパーツがちょうどハマるサイズ。
さっきまでブロックに接続され、地面に挿さっていた「旗」を、人形が手にもって持ち上げる、というような遊び方ができます。
いろいろな個所で、サイズをあわせているからできること。
今は凸を中心に話をしましたが、凸と凸の隙間サイズも、いろいろな部分で使われています。
たとえば、一番「薄い」ブロックの厚みは、この隙間の厚み。
だから、普通に接続するのではなく、隙間に薄いブロックを「立てる」ことができます。
立てると、凸部の方向(上側)を90度違う方向に向けることができます。
そして、隙間も含めて凸1つ分のサイズが、レゴブロックでは「基本サイズ」として扱われます。
標準の、2×4に凸が並んでいるブロックを「2x4 ブロック」と呼んだりするわけです。
ブロックと同じように、レゴ・テクニックで使用される車軸のような特殊部品も、凸何個分、と言う長さで作られていますので、同じように凸何個分かで「長さ4の車軸」なんて呼ばれます。
テクニックでは、この車軸を通すための穴の開いたブロック、と言うものが存在します。
この穴のサイズ、実は凸と同じ大きさ。つまりは、ブロック裏のパイプの穴と同じ大きさです。
テクニックには歯車も出てきますが、この歯車の直径も、凸何個分、と言うサイズに合わせてあります。
だから、ブロック同士を組み合わせた位置で、ちょうど歯車がかみ合うのです。
テクニックシリーズはLEGOブロックよりずっと後に作られたものですが、最初に正確な「基準サイズ」を定めておいたからこそ、テクニックの歯車のような、精巧な組み合わせが可能となっているのです。
先に書きましたが、LEGO ブロックには、低年齢向けのデュプロ、さらに低年齢向けのプリモと言うシリーズもあります。
デュプロはブロックの大きさはかなり違うのですが、正確に「2倍」に作ってあるため、LEGOブロックと組み合わせることが可能です。
さらに、プリモはデュプロの2倍。これもデュプロと組み合わせられます。
(LEGO ブロックとプリモを直接組み合わせることはできません)
ここら辺の、サイズが違っても接続できる仕組みは非常に巧妙で面白いのですが、余りに長くなるので、解説はまた別の機会に。
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