今日は襟川陽一さんの誕生日(1950年生まれ)。
本名よりもペンネームの方が有名で、シブサワ・コウと言ったほうがわかって貰えるんじゃないかな。
コーエーテクモゲームスの社長さんで、元はコーエー(光栄)の創業者。
信長の野望や三国志などの歴史シミュレーションジャンルを作り出しました。
シリーズはたくさん出ているから、どれか一つくらいは遊んだことがある人が多いのではないかな。
シブサワ・コウ名義に関していえば、当初は「架空の人物」で、信長の野望以降のすべてのコーエーのソフトのスタッフクレジットに入っているのだそうです。
途中から襟川さんのペンネーム、ということになったのだけど、襟川さんがまったく参加していないゲームにもクレジットされるなど、いまでも曖昧な存在の模様。
MSX2 がメインマシンだったころかな、「シブサワ・コウの作品」ということでコーエーがやたら宣伝していて、そこでは信長の初期からメインプロデューサーだったことになっていました。
その一方、その数年前の雑誌などに乗っていた襟川さんのインタビューでは、一人で信長とかを作ったことになっている。このシブサワ・コウって人物はいったい誰なんだ? と思った覚えがあります。
架空の人物だと知ったのはずっと後。
Wikipedia によれば、信長の野望以降の「歴史シミュレーション」にしかこの名前は使われていないようです。
ということは、以降ではあっても、「オランダ妻は電気ウナギの夢を見るか?」にはクレジットされていないのでしょうね。残念。
#公開後の追記:これ、Wikipedia の記述を僕が勘違いしていました。詳細は最後に描きます。
僕は当時のアダルトソフトはあまり興味がなくて遊んでいません。
男だからエロに興味がないわけではないよ。でも、若さゆえの気恥ずかしさと、ゲームとして面白そうでなかったのでやらなかった。
で、コーエーは日本初のアダルトソフトを作った会社、ってことにもなっています。
先に書いたように興味のなかったジャンルなのであまり事実関係は裏を取れていませんが。
で、そのアダルトソフトが「ナイトライフ」。コーエーのアダルトソフトはナイトライフと「団地妻の誘惑」、それに先に書いた「オランダ妻~」の3本だけで、…まとめて歴史の闇に葬られています。
葬られて、というのは無視されて放置されているという意味ではありません。
広報の人が公式に「なかったことに」と言っているそうなので、積極的に葬りたいのです。砂漠にでも埋めるか (^^;
#一応注釈をつけると、この3本以外にも、コーエー以外のブランドから出したソフトもあります。それもまとめて歴史の闇へ…
でも、「ナイトライフ」は闇に葬るには惜しいですよ。なんせ日本初です。
しかも、いわゆる「エロゲー」ではなくて、正しい意味で「アダルトソフト」なのです。
…夫婦の夜の生活を支援するソフト、と言えばいいでしょうか。パートナーがいることが前提で、夜の生活を楽しむためのソフト。
体位を解説していたり、安全日の計算機能もあったそうです。
長崎大学医学部の教授が感謝状を送った、というエピソードもあるようですね。
これ、体位を解説する書籍を発売して物議をかもしたことがある人かな。今情報を検索しても見当たらないので正確なところがわからないのですが、昔新聞の記事で読んだことがあります。
うろ覚えの内容で申し訳ないのですが、新聞の記事を解説すれば、次のような内容。
日本人は性をタブー視しすぎるので、正しい性生活の知識も広まらない。
だから正しい性知識ももたないまま初体験して、ぜんぜん気持ちよくなれないし、望まぬ妊娠をして堕胎しなくてはならない女性もいる。そのまま性交渉が怖くなり、男性恐怖症になったりする。
これを憂いた産婦人科の医師が、正しい性知識を伝える書籍を企画する。正しい、というのは医学的知識だけでなく、「性を楽しむための」知識と言う意味も含む。
そこで、体位などの解説も写真付きで掲載しようとしたのだけど、これは猥褻図画に相当するのではないかと出版社がしり込みする。
警察も交えて相談し、デッサン用の人形を使って体位を取らせ、写真として説明するのであれば猥褻ではないだろう、と事前了承をとりつける。
ところがデッサン人形と言うのは思ったより思い通りに動かないもので、苦労しながらやっと写真を撮影し、書籍の発売にこぎつけた。
この書籍は物議もかもしたが、真意が理解されて「もっと性を語らなくてはならない」という風潮が社会に生まれる。
今では当時ほど性はタブー視されなくなったが、書籍を企画した医師は現状はまだ不十分、と考える。
まだ、強姦された被害者が、風評被害を恐れて泣き寝入りしないといけないような状況がある。
そんな理不尽で女性が泣いてはならない。性に対するタブー視を無くすために頑張らなくては、と…
…と、たしかそんな内容だったと思います。
で、ナイトライフに感謝状が送られたとすれば、上の話の流れに関係するような気がするのです。
この書籍を作った人が送ったか、もしくは同じ憂いをもった人が送ったのではないかと。
ナイトライフは、性をタブー視するのではなく、後のエロゲーのように男性の妄想を炸裂させるのでもなく、「正しい知識を与えようとした」のですから。
そんな素晴らしいソフトを作成した襟川陽一さん、誕生日おめでとうございます!
#信長も三国志も結構好きだったし、語ろうと思っていたのに自分でも思わぬ方向に話が進んでしまった。
まぁ、そちらは僕が語るまでもなく名作なので、他の方に任せます(笑)
公開後追記
本文中に、シブサワ・コウを「歴史シミュレーションにしか使われていない」と書きましたが、誤りでした。
Twitter で情報をいただきました。ありがとうございます。
@wizforest I/Oの1983年12月号に載った広告で「団地妻の誘惑」に「シブサワ コウの書き下し、絶対の自信作」と書き添えられているので、歴史シミュレーションゲームに限ったクレジットではないようです
— タイニーP (@Kenzoo6601) October 26, 2013
Wikipedia の記述を引用すると
『信長の野望』『三國志』各シリーズなど、数々の歴史シミュレーションゲームにクレジットされるプロデューサー。
となっています。これで「歴史シミュレーションだけ」と思ったのですが、この記述は「歴史シミュレーションにクレジットされている」ことを意味するだけで、「それ以外に使われていない」とは書いていませんね。これは僕の早とちり。
さて、Wikipedia の同記述によれば、シブサワ・コウ名義が使われるのは初代信長以降。
発売日の関係で「団地妻」の方がわずかに後なのはわかっていたのですが、わずかな時間では開発順ではないかもしれない(発売タイミングと開発順は必ずしも一致しない可能性がある)ため、ネタとしては「オランダ妻」を使用しました。
でも、Twitter での指摘にあるように、「団地妻」でちゃんと使われているとのこと。
当時の雑誌、ほとんど処分してしまったなぁ…。ネットで調べたら、画像がありました。
「レトロゲームでピッコピコ」と言うサイトの「キョーレツだったタイトル」と言う記事。かなり下の方にあります。
探すのが大変、と言う方のために「団地妻の誘惑」の広告画像を直接リンクさせてもらいます。
でも、元記事結構面白いから、ぜひ読むべき、と書いておきます。
#この人、エニックスのエロゲには「黒歴史」と書いているのに、「団地妻」がコーエーとは気づいてないのね。
…で、問題の広告。たしかに、Twitter での指摘通りの宣伝文句です。まさにこれなのでしょう。
自信作だったのですね。なんで闇に葬りたいんだろ。
株式上場時のイメージ…というのはわかるけど、もう大会社なんだから、その原点を素直に認めてもいいと思うのに。
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