2013年07月19日の日記です


ネズミとチーズとマティーニと  2013-07-19 01:05:35  コンピュータ
ネズミとチーズとマティーニと

Mouse in Maze は、日本では「迷路のネズミ」とも訳されている。

世界最初のテレビゲームとも呼ばれる…とは以前も書いたけど、僕も実物で遊ぶまで半信半疑だった。


「ユーザーが作った迷路を、ネズミがゴールまでいく」というのがゲームだとは思えなかったのだ。

迷路を抜けるのを見ているだけなら、デモプログラムでしょ?


でも、遊んでみてわかった。これは明らかにゲームだ。


「迷路のネズミ」以前にも「テレビゲーム」は作られていて、そちらの方が古い、とされることもある。

そのことは否定しない。どれが最初だ、という論争は見解の相違も含むため不毛だから。



そして、「迷路のネズミ」に隠しキャラが入っていたのに驚いた。

こういう遊び心こそが、これが「ゲーム」である証拠だと思う。


でも、隠しキャラって、ゲームの歴史としては「ゼビウス以降」ということにされているよね。


「迷路のネズミ」以前には、ゲームのキャラクターは存在しない。ただの点とか記号だ。

はじめてキャラクターを作ったゲームで、すでに隠しキャラクターが作られていたというのは、すごいことだと思う。




「迷路のネズミ」にキャラクターを差し替えた別バージョンがあった、というのは「ハッカーズ」にも書いてあった。


「迷路のネズミ」のプログラムを見つけ、動作するようになった時、別バージョンの方も見てみたいと思った。

しかし、残念ながらどこにもプログラムはなかった。


長い時代を経る間に失われたのだろう…と残念に思っていたら、そうじゃなかった。

正確には、「別バージョン」ではなく、「隠しキャラ」だったのだ。



「迷路のネズミ」を遊ぶ際に、簡単な操作を行うことでチーズがマティーニグラスに変わる。

これは、VIP だけに許される…と説明に書いてあった。


そう、隠しキャラと言っても何のことはない、ちゃんと説明があったのだ。

ただ、あくまでも「隠し」扱いだったようで、「こんな操作すると何が起きるかな?」的に軽く触れているだけ。だから気づかなかった。



この操作、難しくはないが、TX-0 の操作を理解している必要はある。

当時から「ゲームのプログラムを読み込ませる操作だけ理解していて、ゲームを遊ぶ」人はいたらしい。


だから、VIP だけに許される、というのはちゃんと TX-0 を理解している人だけが見られる、と言う意味だ。




エミュレータで遊んでいると、少し動作がおかしいところがあるように感じた。

これが元からあるバグなのか、エミュレータのバグなのかわからないため、「迷路のネズミ」のプログラムを解析している。


非常に巨大なプログラムの上、当時のプログラムなのでスパゲティ具合が半端ではない。

どうもどこかの段階で元ソースは失われたらしく、パッチあてに次ぐパッチあてで機能が拡張されている。


空いている隙間メモリにプログラムを突っ込んで、ジャンプしまくって動かしている状態だ。

解析を拒んでいるとしか思えない。


でも、解析してわかってきたこともある。



ネズミは、単に迷路を進むだけではなく「体力」が設定されている。

歩きすぎて疲れると停止してしまう。続行不可能なわけで、ゲームオーバーだ。


遊んでいて停止してしまうのはバグだと思っていたけど、これはゲームを難しくする演出だったのだ。




ネズミがチーズを食べる(もしくはマティーニを飲む)と体力が回復する。

チーズはゴールなのだが、3つまで置けるのでうまく配置し、迷路を隅々まで探索させることが目的になる。


そして、無事ゴールしたらもう一度スタートする。

2回目は、ネズミが迷路を覚えているため、無駄な道は通らない。


1度目に時間がかかった迷路を、2回目はスマートに解く。

これが可能な迷路をうまく設計するのが、このゲームの楽しみだ。


#TX-0 実機では、迷路を記録しておく方法も用意されていた。(紙テープにパンチする)

 今のところ、エミュレータでは紙テープパンチ機能がないため、保存はできない。


体力だけでなく、ネズミがあまり頭がよくないのもゲームを難しくしている。

ネズミがどのような行動をとるか、試行錯誤しながら人工知能のルーチンを理解する必要がある。




もう一つ、これはプログラムの都合上の制約があって、チーズを複数置くときは、それらが「最短経路」上になくてはならない。


2回目はスマートに解く、という都合上の制約なのだが、袋小路にチーズを置くことはできない。

これを明確にするためか、チーズを食べると、その時の進行方向に対して「前」と「後ろ」に見えない壁ができた状態になり、後戻りはできなくなる。


そのため、これもややこしいのだが「途中のチーズを食べたら、曲がらなくてはならない」という制約が生まれる。


なんか変な制約でバグっぽく感じる。

だからプログラムを解析していたのだけど、「学習の都合」だという気がしてきた。



というわけで、遊んでみたい方はTX-0 エミュレータで迷路のネズミを遊ぶことが出来ます。




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